2008年8月6日水曜日

100年に一度か二度の大スクープ

13年前の夏、筆者はロンドンで明けても暮れてもExcelと格闘しデリバティブの計算をさせられておりました。1995年と言えば第二次世界大戦が終わって50年目。つまり人類史上最悪の凶行である原爆投下から半世紀に当たります。この年の8月、イギリスBBCは大スクープ番組を特集しました。「大戦終結に原爆投下は必要無かった。戦時中既に米ソは対立が始まっており、極東のポジションを有利にしたいためだけに原爆を投下した」として“勝てば官軍”的な戦勝国プロパガンダを打ち砕いたのです。

「原爆投下は往生際の悪かった日本の軍事政権の責に帰すべき。第二次世界大戦は民主主義(=連合国)のファシズム(=枢軸国)に対する勝利を意味する」という戦後教育を受けてきた最後の世代に属する筆者にとっても驚愕の報道でした。

その後、イラク戦争で米国に追随を決めるブレア政権下でも堂々と批判を続けたBBC。行き過ぎた報道や一部事実誤認もあり幹部の自殺を招いたという汚点も残しましたが、日本では考えられないほどの国益重視の老大国において、西側大国主義に水を差す報道姿勢を続ける国営放送に快哉を叫びたくなります。

時はベルリンの壁崩壊、冷戦終結で、米軍のアーカイブなどから「もうそろそろ隠しておかなくても良いだろう」ということで様々な動画や資料が入手可能になり始めた頃。NHKも「映像の世紀」と題して、米軍書庫などに隠されていた沖縄戦のカラー映像などを放映しました。ここでもハッキリと「当時の大日本帝国政府は既に敗戦を覚悟し米国と講和条件の交渉に入っていた」と報じています。

あれから13年。アフガン戦争やイラク戦争の米国プロパガンダに世界の民衆は騙されなくなりました。軌を一にして、軍国主義日本の往生際の悪さという原爆史観も流動的になっていると考えられます。

昨日、朝一番で翻訳しましたグリーンスパン氏の「100年に一度か二度の金融恐慌」ではないですが、イギリスBBCの歴史報道も100年に一度か二度の大スクープだったのではないかと評価されるべきではないかと思います。

●予想通りだったFOMC(8/5各紙)
特にコメントはありません。が、原油高は投機でなく実需が原因と嘯いていた著名エコノミストの方々の言い訳をそろそろ聞きたいものですねぇ。

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