2008年9月30日火曜日

根回しと造反

●7000億㌦金融安定化法案、下院で否決(各紙)
共和党からの造反が相次ぎ、大差で否決。米国株はダウ平均の102年の歴史上最大幅の下げ(下げ率では9.11テロ以来最大)。

昨夜、フェニックス証券オンラインセミナーの“結論”として申し上げたのは、「7000億㌦のパッケージが完全燃焼しようと不完全燃焼に留まろうと、米ドルは“絶対評価”で売り!」という内容。

「ばらまき政策」を肯定⇒ハイパーインフレ⇒米ドル暴落

「ばらまき政策」を否定⇒デ・レバレッジ⇒デフレ・スパイラル⇒米ドル長期下落

国際協調介入という雑音の可能性は寧ろ大きくなりますが、米国の現政権が孤立するならば、通貨防衛のために打つ手は殆どないという見方です。

先日の中曽根康弘氏の著書引用にあります通り、一般の日本人の認識に比べて、わが国の改革総理大臣の権限は大きいのですが、逆に名実共に国家元首である米大統領の権限は意外なほど大きくないのです(いわゆる拒否権はあるが、否決された法案を覆す権利はない)。法案は修正して一から出し直すしかないということです。

自らが率いる党の造反で異例の否決を目の当たりにしたブッシュ政権は終わりの日が近いから良いようなものの、民意を読み違えて同法案に乗っかってしまった両大統領候補にとっては更に深刻な致命傷なのではなかろうか。今後の具体的な見通しについては、調査+考察の進展に応じて更新して参ります。
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2008年9月29日月曜日

ビール会社のようには売れないベルギーの銀行

●ベルギー系大手銀行Fortis、破綻処理間近?(9/29WSJ)

19世紀設立の伝統ある大手銀行、ベネルクス3国主導で救済か。

週末、同行に関する報道は二転三転。厳しい財政規律を求めているEU憲法。加えてユーロ圏の各国中央銀行はECBの出張所になりさがっており、勝手に同国政府発行の国債を引き受けられる筈がない。それ以前に、民間企業、とりわけ民間金融機関を公的資金で救済するためには世界中で最も高いハードルをクリアする必要がある。

したがって、Fortisについても、資産売却、営業譲渡、身売り(オランダ系INGやフランス系BNPパリバの名前があがっていた)のいずれかしか選択肢は無いと一旦は報じられていた。が、生命線を維持するにはベルギー、ルクセンブルグ、そして恐らくはオランダが国家レベルで関与するしか無いと急展開。

米ドルの機軸通貨性に疑いが持たれつつある今日この頃、ユーロを参考にして、東アジア圏も統一通貨を導入すべきと論ずる“専門家”が出現しています。天変地異でもない限り、中国、韓国、香港、フィリピン等をまとめるのは無理。残念ながら、日本自体が中央銀行の独立性や裁量的かつ柔軟な財政出動を放棄することはあり得ないのでは。

今回のFortisの事案、ユーロという通貨の難しさを改めて思い知らす、多分ユーロ通貨統合以来初めて試練ではないかと考えられます。

●米国金融システム救済法案、暫定合意は達成?(9/28WSJほか)
今夜20:00からフェニックス証券オンラインセミナー第6回で今後を占います。どうぞご覧下さい。
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2008年9月26日金曜日

貨幣錯覚は幻想に過ぎない

●麻生内閣、支持率53%―衆院選の支持は自民と民主が伯仲(9/26日経)
あれほど盛り上がりに欠けた自民総裁選でも効果があったというべきか、選挙民が愚弄されているというべきか、選挙民が阿呆だというべきか?米国での7000億㌦法案で「ばらまき政策」への抵抗がなくなっている雰囲気もプラスなのでしょうか?

「ばらまき政策」が意味を持つのは、勤労者に支払われる名目賃金の伸びが物価上昇に追いついていなくても平気または気付かないことが前提。これを貨幣錯覚money illusionと言いますが、情報化社会⇒ネット社会においては貨幣錯覚を前提とすること自体が幻想。「ばらまき政策」で作為的にインフレ経済を実現しても、それ以上に名目賃金が上がらなければ、勤労者は豊かさを感じ得ない。物価統計の取り方を変えるという奥の手はあるでしょうが、それを言うなら作為的インフレを起こさなくても勤労者は今直ちに豊かさを感じることが出来ます。ヘドニック法、、、なんて言うと難しくなってしまいますが、敢えて想像してみて下さい“5年前と同じ性能の”パソコン、デジカメ、薄型テレビ、携帯電話を。。。これらに対する支出が家計に占める割合に沿って物価バスケットに反映され、低価格化に高品質化を加味して計算すれば、我が国の実質賃金、実質成長率は恐ろしく高くなることでしょう。「ばらまき政策」は無意味なうえに、モラルハザードをもたらすので百害ありて一利なし、というのが持論です。

金融インフラの根幹であるインターバック市場。インターバンク市場からの調達が許される退屈で平凡な商業銀行業務と愚直に手数料を追求するブローカー業務または投資銀行業務。これらをヘッジファンド業務(含む裁定取引)や投資業務と切り離すことで、インターバンク市場は健康を取り戻せる筈。決して7000億㌦は必要ない。投資銀行と呼ばれる金融機関が“投資銀行業務”と“投資業務”をごっちゃにしたところが、過当競争下の禁断の果実だったのではないでしょうか

残念ながら筆者の意見は極々少数派。ここまで来たら7000億㌦を通さないと、インターバンク市場も含めどうにもならないのかも。。。

そんな中、
●英中央銀行、インターバンク市場への流動性供給を大幅削減(9/25FT)
先週が£250億⇒今週は£50億£。インターバンク市場の参加者がイングランド銀行に低金利で預けるくらいならお互いに貸し付け合ったほうがましと判断しているため、とFT紙。

最後に、日本時間昨夜11時台のCNNで、7000億㌦法案の是非について視聴者アンケートを行なっていました。結果は53:47で反対多数。メールで寄せられた意見のなかに、「叩き上げのアジアの企業経営者が、その何倍~何十倍もの役員報酬を貰っているハーバードやウォートンのビジネススクール卒業者よりも優れていることを思い知れ!」というのがありました。アジアに日本は含まれるでしょうか。
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2008年9月25日木曜日

7000億㌦の行方

●今週末予定の大統領候補による討論会、マケイン候補が延期を提案するもオバマ候補は拒否(9/25WSJ)
「今こそ討論しなければならない時だ」とオバマ候補。マケイン候補は議会に戻り7000億㌦の金融“システム”救済法案の審議に参加したいので、木曜日の選挙運動も中断したうえでの提案だったのだが。

ポピュリズムはモラルハザード批判が苦手。オバマ候補も、貸し手批判は出来ても借り手批判は出来ない。加えて、筆者の知る限り、ファニーメイとフレディマックにも民主党の仲間は多い。

ちなみに、WSJ/NBCの共同調査では、オバマ/マケインの支持は現在48対46と僅差。同調査は7000億㌦計画についても数字を明かしています。31%が賛成、33%が反対、28%が意見無しとのこと。

●米中古住宅販売、8月は再び下落(9/24WSJ)
市場予想を下回り、発表直後はドル安、株安。

ところで、米国の住宅価格というのは幾ら位なのでしょうか。米国は大きな国で、ニューヨークもあれば田舎もある。格差社会でもある。そこで平均値では誤解を招きますので、中間値(メジアン)で表しますと、去る8月の1戸当たり価格の中間値は203,100㌦だそうです。昨年同月は224,400㌦でしたので1年で約1割も下落したことになります。

筆者はこれから、日本の住宅価格の中間値、それと住宅ローンとの絡みで、主として勤労者世帯の年収の何倍(何年分)まで銀行が貸して住宅取得が可能になっているか、米国と比較するべく調べてみたいと思っています。調査結果が月曜日間に合えば、オンラインセミナーでお話しする予定です。
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2008年9月24日水曜日

リーマン、モルガン、ゴールドマン。

フェニックス証券オンラインセミナーも回を重ねること第6回。来週9月29日(月)夜8時から。
今回の演目は「リーマン、モルガン、ゴールドマン」。既に、ご愛読いただいているブログでの考察を更に深め、立法府や市場参加者の中にも浸透し始めた財政負担や国債需給の問題にも言及しつつ、従来どおり&期待通りの“ひねくれた”視点で、これから先の為替相場動向を占ってみたいと思います。

お申し込みはこちらから_m( 。。)m_
http://phxs.jp/

どうぞお楽しみに!
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良い銀行と悪い銀行

●バークシャー・ハザウェイ、ゴールドマン・サックスに出資―永久優先株50億㌦など(9/24WSJ)
永久優先株の配当利回りは年10%。加えて新株予約権も購入(普通株50億㌦分)。GSは同時並行で普通株公募増資により最低25億㌦調達予定。

ソロス氏登場かと思いきや、バフェット氏でした。長期投資に値する割安条件と判断したということか。

●バーナンキFRB議長とポールソン財務長官、議会証言で7000億㌦の「非流動性」資産買取予算の重要性を強調(9/23各紙)
日本時間昨夜10時台(米国東部時間朝9時台)、英BBCは国連総会の開会演説を、米CNNはフィンランドの大学内での銃乱射事件を、そして日経CNBCは、本件米国上院銀行委員会をそれぞれ特番で臨時中継していました。

GS勤務時代に稼ぎまくって個人資産500億円以上と噂されるポールソン氏が、議員たちから袋叩きに遭っている姿が痛々しい。やはり幸せはお金では買えません!

7000億㌦という金額が尋常でないこと、それがMain Street(一般庶民)のために使われると言うが、庶民の犠牲のもとにWall Streetを助けるのが目的ではないか?という声が議員の間で少なくないという現実。

筆者は、モラルハザードの問題はもう少しわかりやすく理解すべきだと考えています。この先、不動産相場が上がると読む人は(借金してでも)自宅住居を買うでしょう。逆に、下がると読む人は賃貸を選ぶでしょう(但し、金利と賃料利回りの差《機会費用考慮後のネガティブ・キャリー》を無視した議論ですが)。今回、米国で発生し、恐らく日本にも伝播spilloverするであろう状況は、「賃貸派の皆さん、相場観が当たっていました。おめでとう」を意味します。7000億㌦等の使われ方次第では貸し手だけでなく借り手も救済されるべく、インフレ期待を通じて【不動産価格】【長期金利】【賃料水準】が三つとも上昇するでしょう。かくして固定金利で住宅ローンを組んで土地建物を買っていた人は救われ、賃貸派の皆さんは賃料アップという形で収奪されることが予想されます。FXも株式も不動産も、相場変動で損をした人がいれば、得をした人もいる。金融は所詮その程度の虚業に過ぎないと謙虚に構えなければなりません。
野村證券がリーマン・ブラザーズの欧州部門のうち、Fixed Income部門(FXや国債などを取り扱うブローカー・ディーラー部門)には興味が無いかも知れないとの報道があります。

出来る限りこのFixed Income部門を核として各銀行がGood Bankを切り離す。不動産リスクを背負い込んだBad Bankは整然と破綻処理を進めてもらう。モラルハザードをなるべく回避(経営責任と株主責任は利得の範囲内で取らせる)。無リスク金利でしか運用させてもらっていないインターバンク市場は国債と同じ信用リスクのインフラであるという本来の姿を取り戻す。。。Fixed Income部門でCDOが組成されている等、実務上難しいところはあるのでしょうが、FX業者の社長としては精一杯のポジショントーク?否、正論であります。
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2008年9月23日火曜日

小学生からマネー教育を!?【祝日なのに夕刊】

9歳の娘に外国為替証拠金取引(FX)のデモ口座でもやってみろ、というマネー教育ではございませんので誤解無きようお願い申し上げます(^^;)

リーマン・ショックに揺れた先週一週間。そうでなくても毎晩帰宅時間は遅い中、金曜日の夜やっと家族が起きているうちに家に到着したかと思いきや、母娘が口論中。「どうしてこんな点数しか取れないの!?」(中略)「ニンテンドーDS買って。クラスで持ってないのは私だけだから・・・」「テストで満点取ってから言いなさい!!」

そこで父親の登場。「勉強は嫌々やっても身に付かないから、やりたくなければやらなくても良い。ただし、DSが欲しいのなら自分のお金で買いなさい」と告げ、12月28日のチャリティ・オペラ・コンサートのチケットを額面3000円につき、2000円で渡してやり、「クラスの友達やその家族に売って来い。3000円で売れたら、そのウチの1000円がお前の儲け。これを貯めてDSを買え」。娘は意気揚々として、種銭であるお年玉で取り急ぎチケット3枚を6000円で仕入れ、「早く月曜日にならないかなぁ」と学校が始まるのを楽しみにしているようでした(お年玉で即DSを買いに行かせないところが話の味噌ですvV)。。。

小職にとって、フェニックス証券の言わずもがなの本業である外国為替証拠金取引(FX)で薄い鞘を重ねていくことは勿論大変な仕事です。が、お蔭様でブームとか評判など追い風に乗り、細々とながら順調に経営させていただいております。片や、オペラのチケットを売り歩き、中規模のホールを満員にするというのは、誤解を恐れずに言えば、FX事業よりも汗と涙が必要。ホール代、チラシ等印刷代、ゲスト出演者の車馬賃などの必要経費を打ち消す売り上げでチャリティを可能にするための黒字を達成することが如何に難しいことか、娘に体感して貰えればとの思いです。お金を稼ぐことの大変さ、経済的に独立して生活することの大変さを理解させるのに早過ぎる年齢はない・・・それがマネー教育。

DSを買ってお釣りが出て、「FXをやりたい」と言われても、最初はデモから始めろと言うつもり。これもマネー教育(^^;)
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再び、投資銀行っていったい何ですか?

●野村ホールディングス、リーマンブラザーズのアジア部門を買収(9/22各紙)
英系2社(バークレイズ銀行とスタンダード・チャータード銀行)との三つ巴の争いの末。買収金額は2.25億㌦(5千万㌦の暖簾代が含まれる)。

一方、
●三菱東京UFJ、モルガンスタンレー株の20%を取得へ(9/22各紙)
この報道を受け、モルスタ株はニューヨーク朝イチ急騰するも、ほぼ行って来いの展開。

昨夜は、金融株が急反落。ドル安、原油高となりました(勿論、貴金属も高い)。金融株の中で印象的だったのは《投資銀行を救済した商業銀行の象徴》JPモルガン・チェース株の暴落。

長年、筆者の相場見通しは、当たるのに時間が掛かりすぎると批判をされてきました。だいたい2ヶ月早過ぎるのです。米国の展開の速さのお陰で、ドル安商業銀行の株安も意外なスピードで当たってしまいました。

問題は、米国ほど展開が速くない経済圏が依然として存在すること。大陸欧州と英国がそれです。先程、JPモルガン・チェースのことを《投資銀行を救済した商業銀行の象徴》と申しましたが、此れ即ち欧風のユニバーサル・バンキングに他ならない。《証券》が《銀行》より破綻させやすいのは、預金保険機構に守られた退屈な調達手段に頼れないことだけでなく、有価証券~証券化商品を含めより広範囲に時価会計に晒されている宿命によるところが大きいと言えます。

さて、《証券》≒《投資銀行》の筈ですが、既に巨大な証券会社の機能を持つ三菱と野村が《投資銀行》機能取得に懸命なのは何故でしょうか?M&A仲介・助言、株式引受、証券化、、、これらの機能強化が狙いでしょうか?これら手数料ビジネスが競争激化で成り立たなくなり、「レバレッジを効かせて資金をお付けするので、どうかひとつM&Aにも噛ませてください」流の商売しか出来なくなったのが、ブローカーだった筈の証券会社が(銀行なのか証券なのか判然としない)『投資銀行』に変貌せざるを得なかった理由なのでは?リーマン⇒ライブドア⇒ニッポン放送にしても、BNPパリバ⇒アーバン・コーポレイションにしても、ブローカーとしての販売能力が評価されているわけでは全くなく、情報とか知恵の対価として手数料を稼ぐ伝統的な投資銀行部の仕事を大きく逸脱しています。投資銀行業務の超過利潤の源泉が人材でもなければブランドでもない。そして勿論バランスシートでもないという現実を吟味したうえで作業に入ってもらいたいものだと、三菱と野村には期待します。
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2008年9月22日月曜日

モルスタとGS、銀行へと業態転換【号外】

●モルガン・スタンレーとゴールドマン・サックス、投資銀行から伝統的銀行持株会社への業態転換をFEDが承認(9/22WSJ)

ウォール街の歴史に終止符と、ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えるのは皮肉。しかし、感傷は兎も角、銀行免許でFEDの融資枠も確保されました。日本時間10時40分頃のWSJ電子版で、この臨時ニュースが流れるのと平仄を合わせるかの如く、一部のカウンターパーティで、スワップ水準が正常化に動き始めております。先週、木端微塵に崩壊したFXのフォワード市場、修復に向けて大きな一歩。キャリー・トレード派のお客さま、いま暫くお待ち下さい。
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銀行にお金を預けるな、とは言いたいが・・・

●リーマン倒産、メリル身売りから一週間―商業銀行も危険な住宅ローン債権を抱えていることを忘れてしまうのは簡単なことだが・・・(9/22WSJ)

先週末金曜日の筆者ブログ夕刊でお伝えした指摘がWSJ紙に見事に“逆流”。何故、シティグループやUBSは標的にされない理由は、単に、規模の大きさと(保険付きの銀行預金という)退屈ho-humだが頼り甲斐のある調達手段だ、と。投資銀行に対する商業銀行の優位性は零細預金をビジネスに使えることだ。あのワシントンミューチャル(WaMu)ですら、今年に入ってから預金レベルは殆ど増減していない(驚き!)。

それでもなお、単純な銀行業務plain-vanilla bankingがウォール街危機の万能薬cure-allとはならないだろう、と同紙。「株式を売る横で自動車ローンも取り扱う」金融版スーパーマーケット、その典型例がシティコープとトラベラーズグループが合体したシティグループだが、約10年間の実績が示すようにパッとしないと手厳しい。

但し、WSJ紙は「退屈な調達手段に頼れない」投資銀行が可哀想だと主張しているわけではありません。レバレッジの負の側面がモルガン、ゴールドマンを傷つけていると語っています。具体的には、レバレッジ比率(純資産に対して金融機関のリスクが何倍になっているか)は、メリルリンチで28(5年前は15だった)、モルスタは33、GSは28(以上UBS調べ)。
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2008年9月19日金曜日

カインの末裔であってはならないモルガン家【夕刊】

米国発住宅バブル崩壊(リーマン・ショック?ブラッディ・マンデー?)が第一次大戦後の世界大恐慌以来の深刻なものだとの声が高まってきています。

1929年10月24日の「暗黒の木曜日」。その後3年間で米国は工業生産が37%減。銀行の破産は4500行を超え、失業者数は1930年には300万人、33年には1500万人に達したそうです(山川出版社「詳説世界史研究」463㌻)。このような状況のもとで成立したのが1933年銀行法、いわゆる「グラス・スティーガル法」です。

我が国の証券取引法第65条(現 金商法第33条)の範となったこの法律は、銀行と証券の分離を規定したもの。この規制強化により、JPモルガン(現JPモルガン・チェース・“ベアスターンズ”)からモルガン・スタンレーが分離独立することになります。

現在、銀・証分離が残っているのは日本くらいで、版元の米国は既に規制緩和されており、JPモルガンはかなり前から証券業務に参入しています。破綻寸前のベアスターンズを(2㌦で)買収できたのも、規制が緩和されていたからです。

昨日のブログ、♂♀性の起源♀♂で「単細胞生物も危機が迫ると合体する」ことを書きました。現在の米国の銀行大手と証券大手。財務がどちらが悪いのか?定量的な判断は出来ません。情報の正確な開示は事実上不可能でしょうし、格付機関も当てに出来ませんから。しかし、実態の評価とは関係なく空売りに仕掛けられやすいのは証券のほう。「有権者の支持を得やすい血税の使い方」という物差しでは証券救済は劣後してしまうと売り方は考えるのでしょう。

かくして破綻を逃れるには証券は大手と雖も、銀行に跪かなければならない風潮になってきました。
今回の騒動の比較対象として言及される大恐慌では銀行と証券が分離させられたのに、今回は結果的に再融合が奨励されてしまわざるを得ないのは、良し悪しは別途論じるとして、皮肉な現象だと感じます。

実際には内容の良し悪しは判別できない“兄弟分”のJPモルガンとモルスタ。本日昼過ぎのWSJで「モルスタCEOのジョン・マック氏が『JPの株式営業がモルスタやGSの株式の客に対して、《証券会社に預けておくと危険だからJPに移し変えましょうよ》という営業手法。これは許されない。今すぐやめてくれ』とJPのCEOに殴り込み」との記事がありました。JPはマック氏の懇願を聞き入れ、「今後このようなことが発覚したらJPを首にする」と社内を粛清。以降はトラブルはないそうです。

わたくしたちFX業者、ひいてはFX投資家の皆さまにとっては、銀行・証券の区別なく、世界の大手金融機関は業績の浮沈とは無関係に必要不可欠なインフラ。毒入り餃子のような風説の流布や相場操縦を乗り越えて欲しいと願っています。

最後にFXの話。弊社に限らず、またカウンター・パーティとしては、モルスタに限らず(ここ重要)、フォワードのマーケットは木端微塵に崩壊しており、非“常識”なスワップレートをお客さまに返さざるを得ない状況が続いております。改善を期待しつつも、良くも悪しくもインターバンク市場に直結し依存しているフェニックス証券のビジネスモデルとしては出せる条件をお出しするということに徹しさせてください。

不動産不況でマンションが売れないのは自己責任かも知れないけれど、登記簿が信用できなくなる(ってことはないと思いますが、極端な話・・・)等の混乱で誰しもが売買を手控えるような惨状は自己責任の範囲を超えて、業者にとっても投資家にとっても不可抗力であり、あってはならないこと。FXも同じ。インターバンク市場のインフラがまさしく“極端な話”になっているところ健全を取り戻してもらい、銀行自らが箪笥預金しないように、早ければ来週初には立ち直って欲しいものです。
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AIGは留守番電話

昨日は日本証券業協会「代表者セミナー」~「全国証券大会」。全国の証券会社の社長が一同に会する年に一度の会議は、毎年9月中旬に開かれます。証券業協会の支部長さんに「大変な時期の開催になりましたね」と挨拶すると、「毎年この時期は鬼門なんだよ。9・11直後だったこともあるし。期末前で相場が荒れていることも多い。ようこそお越し下さった」と。

証券業界の大先輩にも挨拶。聡明で何事にも一家言を持っておられる尊敬する社長さんから「丹羽くんの為替の相場観を聞きたい。休憩時間にちょっとコーヒーでも」と誘われ、10分間の集中討議。

「リーマンが助けられなかったことも驚きだったし、AIGが助けられたことも驚きだった。」と大先輩に告白。「しかし大事なことは、

☆『公的資金⇒金融システム救済』=ドル買い材料

★『自己責任原則⇒金融機関倒産』=ドル売り材料

という経験則を鵜呑みにすると危険ではないか。」

時間的制約から政治上の意思決定が間に合わない金融支援は、財政政策と金融政策が一体不可分となって行なわれる。平たく言えば、ドル紙幣が好きなだけ輪転機で擦られるのと同じこと。インフレによる生活水準低下という経路での実質増税が米国民に強いられる方向は、明らかにドル安材料だ。

ご質問くださった大先輩の証券会社は外貨建て債券を売りまくってらっしゃったらしく、円高要因を心配しておられたが、私の説明に納得。市場は私の捻くれた論理に直ぐには与しないだろうが、時間の問題だろうと。

こんな話をしていたら、北浜で親しくさせていただいている社長さんから、「丹羽さん、日銀がFRBとドルのスワップ6兆円を発表して、一気に円安ドル高になったよ」と携帯を見ながら教えてくれた。

分不相応のデカい家を買った借り手と貸し手の責任を問わずに究極のディープポケット中央銀行が自ら印刷したお札で代位弁済してあげたら、第一次大戦後のドイツよろしくリヤカーに山済みされた紙幣の束を想像してしまうのは私だけでしょうか?金が一瞬反発したのは理解できます。原油も通貨機能はありますが、金地金のように箪笥において置けないのが難点!?しかし「すべての金融活動=信用創造は不毛で虚業だ。金本位制に戻して一から出直しだ」という議論も万能ではありません。何故、ニクソン大統領が金⇔ドル交換を停止せざるを得なかったのか?覇権国家だったスペインが銀本位制を悪用し、アステカ文明とマヤ文明を蹂躙して安い銀を還流させることで(当時はハイパワードマネーじゃ無かった筈の)マネタリーベース自体を膨張させ、インフレを起こし、自国の製造業の競争条件を優遇。「価格革命」は15世紀のダーティ・フロートに他ならず、これにより北ドイツ経済圏は衰退してしまったのです。バブルの起源はその後短期間で覇権を奪うオランダのチューリップより遡るのです。

政治経済の教科書だけでケインズの乗数理論とマネーサプライの信用想像を理解するのは高校生にとっては頗る難しいこと。高校生の皆さん、センター試験のうえでは不利かも知れませんが、是非とも政治経済と世界史を選択してください(教科名、変ってますか???)

最後に、AIG。やっと電話が繋がったかと思ったら、応対は録音テープだけ。「親が潰れても、子は大丈夫ですから、契約はそのままで」ですって。潰れても潰れなくても良いから、もうガン保険は解約したいんだけど、どぉすりゃ良いんだろうぉ(TT)
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2008年9月18日木曜日

♀♂性の起源♂♀

●モルガンスタンレー、ワコビア銀行と合併観測(9/18WSJ)
更にもう1行との噂も。昨今の株価下落で、時価総額はモルスタとワコビアで略トントン。対等合併か。

●ワシントンミューチャルにも、ウェルスファーゴとシティグループが興味津々(9/18WSJ)
現大株主のTPGは、支店の売却、または住宅金融部門全体の売却を勧告している。

●ロイズTSB、HBOSを買収か(9/17FT)
世界最大の銀行のひとつHBOSの前進は、イギリス住宅金融第二位だったハリファックスとスコットランド銀行。昨年、取り付け騒ぎと破綻の記憶が生々しいノーザンロックと同業態。ちなみにロイズも英4大銀行のひとつだったがスコットランドのTSBとの提携を経て合併している。

ミッドランド銀行は香港上海銀行に、ナットウェスト銀行(ナショナル銀行+ウェストミンスター銀行)はロイヤルバンク・オブ・スコットランドに買収されているので、英4大銀行で“イングランド”系として“純血”を貫いているのはバークレイズ銀行だけ。フェニックス証券の重要なカバー先である同行、リーマンブラザーズの米国投資銀行部門をショッピングすると報じられています。

生物の実験にこんなのがあります。無性生殖で繁殖する単細胞生物を水槽で飼っているとします。その水槽全体にストレスを与え、住みづらい環境にさせると、細胞たちは通常では決して観察されない“合体”を繰り返し、個体数を減らしつつ、種の保存を目指します。それから水槽の環境を元通り暮らしやすい状態に戻すと、得意の“細胞分裂”により個体数を復活⇒増加させます。

このとき、合体前の個々の遺伝子配列と(再)分裂後の個々の遺伝子配列は、組み変わり変化しているというのです。これが有性生殖の起源。進化論のうえでは遺伝子の多様性が確保できる有性生殖のほうが無性生殖よりも環境変化への対応能力という点で優れていると言うのです。
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2008年9月17日水曜日

森永卓郎さんを直撃!?リーマンとAIG

AIG救済の情報が本当かどうか?実現するかどうか?確かめたいと逸る気持ちを押さえつつ、朝は9時から森永卓郎さんを取材で直撃。リーマン関係者、AIG関係者には申し訳無いですが、絶好のタイミングで識者の意見を聞ける私は運が良いと実感。決して考え方の全てが一致しているわけではない森永さんと私。しかし、リーマンとAIGの現実に金融資本主義の限界を読み取る点では完全一致。

詳しくは11月発売予定のビジネスアスキーマネージャパンをお読みいただきたいのですが、随分先なので骨子を少々。。。

機軸通貨―あるいは“金が金を生む”麻薬に誘惑される覇権国家

産業革命を先んじた大英帝国はアダムスミスやリカードの慇懃無礼な自由貿易論で周辺国から富を集めた結果、自国通貨ポンドは機軸通貨に格上げされ、ポンド高というプレミアムが付いてしまった。結果、それまでドル箱、、、じゃなかった“ポンド箱”(!?)だった製造業は競争力を失い、働けど働けど・・・じっと手を見る状態に陥る。機軸通貨プレミアムをどうせなら利用して“お金に仕事をさせる”金融立国になったほうが楽だ、と路線転換。行き着く先は、製造業の空洞化と二度の大戦による経済疲弊で、機軸通貨と覇権を米国に譲ることに。

その米国も、第二次大戦後も相当期間は「世界の工場」だったと森永さん。製造業空洞化を補うべく「強いドル」政策で世界中から余資を集め金融立国を目指したが、なれの果てが昨日今日だと。

Too big to failではなくてToo big to saveだったリーマン・ブラザース(この微妙に韻を踏んだコピーは私のオリジナルです、ハイ。。。)

ベアスターンズを助けてリーマンを助けなかったのは、通説と異なり、大きすぎて助けられなかった。もうそこまで米国の財政力は枯渇しているというのが森永さんの見方(AIGは米国版日銀特融だから苦肉の策?)

リーマンが倒れたとき、多くの専門家たちは(ヘッジファンド等)投機資金が原油などコモディティーに向かうだろうと予想していた。(森永さんがかねてからおっしゃっていた通り)原油バブルは崩壊したままだ。投機資金はどこに向かうのか?実は、もう投機資金自体が力尽きてしまったのではないか、と森永さん。

投機資金は行き場を失ったのではない。投機資金が失われてしまったのだ。

アジア通貨危機で荒稼ぎ、日本の不良債権で荒稼ぎ。で、米国の不動産バブルで荒稼ぎの予定が、殆ど皆さん逃げ遅れ、商品バブルで誤魔化そうとしたが不完全燃焼に終わった。。。これが株安と原油安。そして米ドルの次の機軸通貨は見当たらないし覇権国家も見当たらない。つまり金融資本主義の終焉だと。

まだまだ続きはあります。中身の濃い取材が快調に続いているビジネスアスキーマネージャパンの企画。加えて、森永さんと私が毎月連載している月刊FX攻略。3誌とも読み応えがありますよ。どうぞお見逃し無く_m( 。。)m_
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AIGな目覚め。朝まで生CNBC

昨夜は午前1時に帰宅。でも何故か朝5時にはスカッと目が覚め、出勤時刻ぎりぎりまでCNBCを“観戦”。FEDが一転してAIGからの資金供給の要求に応ずるとの報道で、同社株が下げ止まりつつザラ場は終了するも、具体的な支援策がハッキリしていないとか、(リーマンを潰す一方で生保を助ける)法的権限はFEDにないという意見とかが取引時間後に噴出。時間外では再び同社株は下落気味に乱高下。CNBCの出演者も文字通り“朝まで生テレビ”状態でFEDの対応を正当化できるか出来ないかで喧々囂々でした。

これから、ビジネスアスキー+マネージャパン共同企画の第三弾で、あの森永卓郎さんに直撃インタビューに参ります。何と言うタイミングの良さ(!?)でしょうか。AIG問題は是非続きをお楽しみに。

ところで、昨日朝のブログに書きました筆者のガン保険@AIG。家内が解約申し出のために電話をしてくれていたそうですが、一日中繋がらなかったとガッカリしていました。

取り付け騒ぎはもう起きているのです。掛け捨ての筆者は諦めがつきますが、積み立て加入者にとっては堪ったものではない筈。上記FED対応を正当化する筋は、保険加入者保護を理由にしています。
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2008年9月16日火曜日

AIGは今夜が山か【夕刊】

早速ですがクイズです。この会社は何処でしょう?
95年4月Aaaを取得(ムーディーズ。以下、同様)
05年3月Aa1(ただし格下げ方向で見直し・・・それでも最高格付けより1段階下なだけ)
同年5月Aa2(最高格付けより2段階下なだけ)
そして
今年5月9日、上記格付けを格下げ方向で見直し⇒同月22日Aa3に格下げ
昨日9月15日Aa3を格下げ方向で見直し

ヒントにならないヒントとして、Aa3(最高格付けより3段階下なだけ)水準の日本「企業」には、イトーヨーカ堂、東邦ガス、そして日本国そのものなどがあります。

答えは、ブログの表題にあります。

ついでにリーマンの格付けですが、9月10日にA2(方向なく見直し)状態のまま、昨日の結果となっています(現在はB3と一瞬で10段階引き下げ)。

ムーディーズの社名にはインベスターズ・サービスとなっていますが、投資家のために何のサービスをしているのでしょうか?

“失われた10年”の後半に、日本国債の格付けをボツワナ以下に引き摺り下ろして一挙に知名度をあげたムーディーズ。ポールソン長官が「リーマンには時間があった筈」と破綻理由を語る脇で、保有資産の劣化や最大可能損失、健全な限度を超えたレバレッジを査定するには「時間がなかった」という言訳が通用するでしょうか。エンロンの倒産直前の格付けがA2だったことを想起させる事象が相次ぐ可能性があります。
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リーマン破綻への専門家コメント集

昨夜、帰宅してからニュース番組をハシゴ。リーマン破綻についての感想や日本経済への影響についてインタビュアーから聞かれて専門家の皆さんが色々なコメントをされていました。

【野村証券】木内氏:株式と米ドルから離れた資金は原油へと再び向かう。株安、ドル安、原油高で日本経済は苦難の道へ向かうだろう(東京放送News23)

(七転び八起きの感想)原油高?

【双日総研】吉崎氏:ベアスターンズには証券化のノウハウがあったため存続価値を認められた、リーマンには存続に値する中身が無かったから潰された(テレビ東京ワールドビジネスサテライト)

(七転び八起きの感想)これはユニークな見方で注目。多数説はベア・スターンズ救済方法の反省(拙速との批判を恐れず頭ごなしに1株2㌦と決めたこと。血税負担の規模が不透明であること。救済したが元ベア社員の活用・転用にJPモルガン・チェースの経営陣が頭を悩ませていること等々)の影響大と見ているのでは。

【MUFJ】五十嵐氏:CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)、リーマンから現物決済(フィジカル・デリバリー)で受け渡される債権がちゃんとしたものであれば、影響はない(日経CNBC特別番組)

(七転び八起きの感想)筆者の理解力を超えており、感想はありません。

昨日朝のブログの通り、フェニックス証券にはテレビが無いので、昨日日中は従業員はロイターとブルームバーグを中心に、筆者はウォールストリートジャーナルやヘラルドトリビューンなどの刻一刻と更新される記事を中心に、動静を見守っておりました。気になったのは、WSJの記事のテンプレート。バンカメ⇔メリルの救済合併成立やリーマンの連邦破産法11条申請に向けて度々更新されるものの、大枠は不動であった中、

朝イチ、「ことリーマンに対しては、ベア・スターンズやファニー&フレディと“一線を画した”米国政府」という表現だったのが、日本時間10時以降は「ベアやファンフレッドの時より“格段に厳しく対応した”米国政府」と表現を入れ替えているのです。

《英語では、draw a line in the sandからplay much tougher (with Lehman)となっている。前後残りは何度更新されても変わらず》

金土日と夜を徹した会議でGS、モルスタのCEOは「モラルハザードと血税投入を伴う軟着陸」案に断固として反対したのではないでしょうか?同業他社を徹底的に見殺しにするという文化は我が国では理解しがたいかも知れませんが、お家騒動で失脚したものの結局実力が評価され再登板した直球勝負のCEOマック・ザ・ナイフにはそういう哲学が感じられます。

「小説 日本興業銀行」という身内が読んでもつまらない経済小説(?)の巻頭に、山一證券の(一回目の)倒産に際し、日銀氷川寮で日銀特融を迫る中山素平当時頭取と最後に「よっしゃ」と言った田中角栄当時大蔵大臣の遣り取りがあります。中山素平氏とジョン・マック氏の考え方、バックグランドは如何にも対照的です。

そんな中、
AIGから緊急融資を懇願されていたたFED。GS、JPモルガンに代わりに出してあげてくれと(9/16各紙)

最後におまけ・・・
【筆者の家内】AIGに月々1500円払わされている筆者のがん保険。「安心を買うのが保険なのに、払えば払うほど不安になるAIG。明日にでも解約して、その分を私の小遣いとしてくれないか」と。

(七転び八起きの感想)どうせ掛け捨てだから、そのほうが良いかも(TT)
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2008年9月15日月曜日

ウォール街の事故米

今朝の休日出勤はFX業者の社長としては当然。でも出勤前に、CNBC、BBC、CNNと忙しなくチャンネルを動かす毎に米リーマン関連の速報が飛び出し、なかなかテレビの前を離れられない始末。会社にもテレビを一台くらいは置いておかねばと反省。ちなみに日本の地上波は何時も通りのワイドショー、事故米で騒いでいる。。。ウォール街の事故米のほうが日本国民にとってもより差し迫った猛毒であることはワイドショーの連中には理解できないのでしょう。

●バンカメもバークレイズも、米リーマンの救世主からイチ抜けた、ニ抜けた(9/15WSJ)
金曜日のWSJ紙は、米リーマンの救済シナリオを週明けまでに策定するため、財務長官、連銀議長、SEC議長のほか、ゴールドマンサックスとモルガンスタンレーのCEOが集められたと報じています。

そのとき何故、GSとモルスタなのか筆者はすぐにピンと来ませんでした。金曜日の時点で救世主候補だったのは、バンカメを筆頭に、バークレイズ銀行、HBOS(以上、英国勢)、野村證券、MUFJ(以上、日本勢)、BNPパリバ等々と記憶しています。

「6850億円ぽっちの公的資金導入を政局にしてしまう日本と異なり、巨額の公的資金を素早く決断できる米国は流石だ」という論調が息巻く一方、97年のLTCM救済や今年3月のベアスターンズ救済のように、「ヘッジファンドや投資銀行如きの救済に血税を使うか?モラルハザードだ!」というグリーンスパン流の論調が、破綻の連鎖が憶測される中で強まってきています。GS・モルスタは、「投資銀行業界の中で資金を捻出し独自のセーフティネットをぶち上げてくれないか?」という説得のために召集されたと考えられます。

世界を代表する商業銀行が次々と名乗りを上げては撤収するのは、ベアスターンズ救済時に用意された瑕疵担保条項(不良債権の将来損失も公的資金でカバー)を今回(以降!?)は付けられないがそれでも買ってくれないかという説得を拒否した結果でしょう。

我が国の失われた90年代(筆者は決して「失われた」とは思っていないのですが、、、)、銀行業界は、
①名ばかりの共同債権買取機構
②住専破綻処理で「母体行責任⇔貸し手責任」の不毛な論争の末6850億円の税金投入
特別検査⇒一時国営化⇒公的資金導入という破綻処理の確立
④破綻前でも公的資金を入れざるを得ないデフレスパイラル
という運命に翻弄されます。現在、リーマンを取り巻くウォール街の議論からは上記④⇒③⇒②or①に逆戻りせざるを得ない状況を感じます。

そんな中、
●メリルリンチとバンカメ、合併観測-株式交換で(9/15NBC、WSJほか)
ただし、最後の最後で破談になる可能性もあるとの報道。
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2008年9月12日金曜日

寝た子を起こすな!

●米リーマン、複数の金融機関に身売りを打診(9/12WSJ)
バンカメが筆頭候補とも。しかし、買収後の追加損失への懸念が根強く、(我が国で長銀・日債銀の一時国有化後のファンドへの売却の際に用いられた)瑕疵担保条項のような、追加損失は政府が補填する形でのバックストップを潜在的買い手は求めているとWSJは報じている。

米リーマンの株は、連日の暴落を演じつつあったところ、WSJのスクープで一挙に反騰。買い手候補の筆頭と報じられたバンカメ株も高い。

●ファンフレッド救済で米財務省が異例の説明-邦銀・生保に対し債権継続保有を個別に懇願(9/12日経)
普通株や優先株の損失は自己責任。でも、ファニーメイとフレディマックの債権は、もともと暗黙の政府保証付きで、米国債よりちょびっとだけプレミアムが乗っているということで、我が国のサラリーマン投資家には魅惑の金融商品であり続けていた。

しかも国家管理に置かれるのだから、却って益々安心していたところ、
「大丈夫ですから、売らないで_m(..)m_^^;~~;**;」
と言われると、寧ろ不安を書き立てられるのではないでしょうか?

米財務省に藪蛇(やぶへび)だと教えてあげたい。
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2008年9月11日木曜日

投資銀行って、いったい何ですか?

●北朝鮮の独裁者、健康状態に重大な疑問(9/10WSJ)
核無能力化交渉は予断を許さず、と同紙。

ここ数日の金正日氏に関する報道をどんなに一所懸命チェックしても、多くの読者の疑問

「金正日氏が亡くなったら(既に亡くなっていたら)北朝鮮はどうなるか?極東情勢はどうなるか?」

に答えてくれる報道は殆ど見当たらないのではないでしょうか?

「天皇に戦争責任は無い」とは先日引用させていただいた中曽根康弘氏の著書の通り。戦後教育に毒された世代も含め、我が国が日中戦争の泥沼に入り込み、日米開戦を余儀なくされ、そして無条件降伏したことが天皇の責任だと信じている人は今では殆どいない筈。明治以降、戦前の我が国は、形式上の権力=カリスマを目に見えない実態上の権力が取り巻き利用するという構造を作り上げていたと考えられます。

恐るべきことに現在の北朝鮮にこれは当て嵌まるのではないかと。金正日氏というカリスマを取り巻く本当の権力者による外交戦術は残念ながら見事としか言いようがありません。

企業の場合だとトップが世襲するような組織や風土では、有能な取り巻きは離散し、日本の場合でも2代、3代と事業が継続繁栄することは稀になってきています。現代の企業制度においては名ばかりの社長というのは難しくなっており、競争しながらの営利追及、重大なリスクを伴う経営判断、従業員のヤル気を引き出す人間力、、、等々の激務は社長に集中してしまわざるを得ないからでしょう。国家の場合は、この権能を象徴的カリスマと目に見えないが有能な権力者=執行部に分けることができる。そういう不透明な構造をぶち上げることが出来る。北朝鮮に限らず、見た目は透明性が確保されていそうな民主国家でも法治国家でもこれは可能。どこかの国の、三権分立とは名ばかりの立法府⇔行政府の凭れ合いは格好の例です。

国家と企業の違い、、、亡命や脱北は転職や離職ほど楽ではない。

我が国の恐らく多くの人々は、正日氏に何かあれば、周りが放っておいても現政権が自ずと瓦解すると期待するでしょうが、以上の理由によりこれは当然には難しいでしょう。ローマ帝国を潰した傭兵オドアケルのような人物が出てきて北朝鮮正規軍を崩壊させれば別ですが。

●米リーマン、39億㌦の赤字-6月~8月(9/10WSJほか)
20年前、社会人1年目だった筆者たちが屯していた独身寮に遊びに来た副支店長さん。日曜日の夕方からビール片手に「投資銀行だ、投資銀行だ、って頭取は言うけど、投資銀行って一体何だい?要は“株屋”になれってことだろぅ?」とおっしゃっていたのが記憶にあります。

事業を分解して、決済リスクを伴うビジネスと、投資リスクを伴うビジネスを分離してくれることは零細ブローカー社長としては手放しで歓迎。
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2008年9月10日水曜日

【夕刊】ただより高いものはない

事故米がFX業界にも存在?FXのスプレッド競争、過熱の果てに。。。

(以下、トレーダーズFX社IRから引用)
平成20年9月9日付、弊社は、財務の健全性を示す自己資本規制比率が低下していることを考慮し、誠に勝手ながら、事業を休止させていただくことを決定致しました。
平成20年7月11日に営業活動を開始し約2ヶ月が経過致しましたが、商品コンセプトとしておりました業界最高水準でのスプレッドにてサービスをご提供していくには、運用している取引システムの現在の機能だけでは、市場リスクを適切に管理することができない状況であると判断致しました。
(引用終了・・・赤い太字は筆者)


日本語として少々理解に苦しむところもあるのですが、「業界最高水準でのスプレッド」というのはドル円のスプレッドが最低ゼロ銭からというもの。いくら仕入れを叩いても小売レベルでゼロ銭は無理。小売客と向かってポジションを呑み、市場リスクを臨界点ギリギリまで張ることでしか事業は継続できないでしょう。だから「市場リスクを適切に管理できない」となると事業を中断せざるを得ない。。。そう読めば良いのでしょうか?

当事者ではないので断定的なことは言えません。関連する事実として、FX業界の心ある社長仲間による当局への“陳情”の成果なのか、FX注文をカウンターパーティに繋がずに過度な市場リスクを取っていないかどうかという緊急調査を先週末から金融庁が始めています。真の顧客保護という意味で画期的な良い流れだと考えられます。

カウンターパーティと言えば、今夜決算発表の米リーマン。公的救済は避けられないとする意見の主はデリバティブ取引のカウンターパーティリスクが顕現化すれば市場全体が混乱する。税金を使う対象・目的は民間企業一社ではなく連鎖する金融システムという公器に他ならないという考え方。

ちなみにフェニックス証券のカウンターパーティには米リーマンは入っていませんが、それを殊更自慢するのではなく、事業を襲うリスクはどこにでもあるという謙虚な態度こそ大切だと珍しく朝礼で吠えました。
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晩夏の夜の夢

●ファンフレッド救済は歓迎されたが、新たな疑問が(9/9WSJ)

●リーマン株45%下落、韓国産業銀行による買収案件の破談で(9/9FT、WSJ)

ポールソン財務長官が発射したバズーカ砲が打ち込まれたのは月曜日の極東市場でした。メディアも市場もドルと株の買戻しサインだと無条件に反応しましたが、誰しも論理的根拠に心底納得して買い戻したわけではなかった筈。

ポールソン氏の“変心”を手放しで歓迎した中国人民銀行。外貨準備の多くが米国債だけでなくファンフレッド発行の機関債で運用されていることが背景にあるのでしょう。

両立と均衡が難しいセーフティネットと税負担の問題。昨日報じたとおり、オバマ氏側からもマケイン氏側からも政策的立場表明は聞こえて来ません。

●金正日総書記、重病か(9/9WSJ、FT、日経ほか)
米国高官によるとここ1ヶ月以内に脳卒中で倒れた、とか、中国から医者を呼んだ、との説も。

北朝鮮は中国の自治区なのでしょうか?
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2008年9月9日火曜日

歴史法廷の被告

●ファンフレッド、国家管理下に(9/7~各紙)
ポールソン財務長官はブルームバーグテレビのインタビューで「社会人になって以来、はじめて睡眠障害を経験した」と漏らす。「本意ではなかったが」と言いつつ、いつぞやのグリーンスパン氏の主張に相当程度折れた形の政策決定に。

先週の米ドル急反落が決してファンフレッド問題風雲急を告げるという要因ではなかっただけに、週末の絶好のタイミングでの発表で、ドル高株高を演出できたことは、1月の緊急利下げ同様、米国ならでは。

しかし、この話、強引に譬えれば、郵貯簡保を民営化したら、運用の失敗が表に出てしまったので、やはり慌てて国営化し直した、ようなもの。

ファンフレッドとは、住宅補助金ばら撒き政策を担わされた似非民間機関。そもそも長年のばら撒き政策自体が間違っていたというのがグリーンスパン氏の主張。


「アメリカ国民に告ぐ。これまでアジアの同盟諸国の兎小屋に住む人々から羨望されてきた大きな家を諦め、身の丈に応じた生活態度を」という政策に転換できるのか?国営化以降のあるべき姿(分割再民営化とか資産圧縮計画とか)について、大統領戦を控えた両陣営から全く音沙汰が無いことには理由があります。

中曽根康弘氏が2004年に上梓した著書「自省録~歴史法廷の被告として」にこんな一節があります。
(引用開始)
現在の憲法下においては、日本の首相はアメリカの大統領と英国の首相のちょうど中間に位置する存在です。(中略)現憲法はかなり大きな力を首相に託しています。アメリカの憲法、英国の憲法、それぞれの美点を併せ持った内容です。たとえば、首相は内閣の首長として行政各部を指揮監督して、国務大臣を任免し、自衛隊の最高司令官となり、また、内閣の名において天皇に任免される最高裁長官を指名する権限ももっています。

これだけ明瞭に権限があるにもかかわらず、戦前までの消極性を帯びた首相像を払拭できずにいます。これは大東亜戦争敗戦の反動で、強力な政治家、指導力ある首相にジャーナリズムや学界がアレルギーを持っているためです。

また、戦後急速に存在感を拡大したマルクス主義からの批判が首相を萎縮させたことも無視できません。その結果、「調和とコンセンサス」という美名の下、事勿れ主義の政治が続いたのです。そして、これを仕向けてきたのが日本の官僚です。官僚は、縄張り争いで自分の省の権益を守ることのみに汲々として、既存の調和を乱す突出した指導者を好まないのです。

私は、自分が首相になったからには、今挙げたような日本の政治をがんじがらめに縛っている悪弊を全部、断ち切ってやるつもりでした。これが、「戦後政治の総決算」の真意です。
(引用終了)
同著には、中曽根氏が国鉄分割民営化を成功させた情熱と手練手管の両方が記されています。絶大な権限にもかかわらず、多くの首相が行政との戦いに敗れ自滅し短期政権が繰り返される。。。平成のリーダーに手練手管が足りないからなのでしょうか?それだけではないでしょう。冷戦後の我が国のリーダーは、軍事の面でも資源の面でも独立国家ではない現実を突きつけられつつ、世界第二位の経済大国が砂上の楼閣化している事実を国民に突きつけられない。安心・安定な国民生活、軍事独立、資源と食糧の確保、ほとんど解決不能な多元方程式を解かされてきたこと。自民党のなかに上げ潮派がいれば、民主党のなかに公労委にしがみつく派閥がいたりと、二大政党と言いつつ政策論争の軸が見え辛いこと。結果、官僚機構は政権交代という免疫を持たないまま、戦後60年以上、制度疲労を蓄積してしまっており、いざ永田町から邪険に扱われると、社会保険庁よろしく人間爆弾を送りつけてくるという始末。

官僚のなかには、公務員試験に合格した瞬間が最も優秀だったという屑に混じって、民間でも政治でもどこでも力を発揮できる優れた知能と柔軟性、人間力を備えた人物が少なからずいらっしゃいます。こういう人材をいかに発掘し活かしきれる土俵を準備できるか?永田町のリーダーに求められる資質はそこにあるのではないでしょうか?
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2008年9月5日金曜日

総裁選 秋の祭りは 日本だけ?

●巨大ヘッジファンドのアッティカス・キャピタル、清算手続き開始の噂を否定(9/4WSJ)
昨夜の米国株大暴落の犯人扱いされている複数のヘッジファンドの損切り。

尚、日本語ロイターは英ヘッジファンドのオスプレー破綻は、同様に商品先物ロング+金融株ショートのファンド破綻連鎖をもたらしうると報じています。

●中国開発銀行によるドレスナー銀行買収計画に待ったを掛けたのは中国政府だった(9/4FT)
昨年7月にバークレイズ銀行の資本増強に応じた中国開発銀行。ご多分に漏れず価値は半減、中国政府からの批判が強まっていた、と。

今週月曜日のFT紙第一報では、ドイツ国内の金融ナショナリズムの抵抗があったと示唆していたが、寧ろ中国側の問題だったということでしょうか。


8月中に予想外の米ドル調整があると申し上げていた筆者の予想は外れました。今頃になって、ということで、今夜の米国雇用統計からは目が離せません。

●ユーロ、対米ドルで一時2007年12月以来の安値(9/5各紙)
それでも尚、ユーロは割高、米ドルは適性水準だと、IMF報道官やユーログループ議長などが相次ぎ発言。
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2008年9月4日木曜日

鯛の頭と尻尾

●豪ドルとNZドルに下落圧力(9/3FT)
「おたくの社長のセミナーも遂に予想が外れたね」という“苦情”が2件。いずれも長年フェニックス証券とお付き合いいただいているヘビーユーザーのお客さまからの暖かい励ましのお電話。それを聞いた外国為替部長からは「社長、気にしなくて良いですよ。これでもまだ4勝1敗。星野ジャパンより勝率は上です」と慰められる始末。

確かに、4月以降、ユーロ売り、米ドル買い、ポンド売り、南アフリカランド買いは大当たりでした。でも、それぞれ大きなトレンド形成の着火点に至るまで、セミナー直後だったり1~2ヶ月掛かったりと様々。オージー、キウイについても、着火点は近くないという覚悟でした。キウイ60円台でまとめ買いという助平根性を我慢して、70円台中盤以降で大人買いで良いのではないでしょうか。

セミナーを熱心にお聞き下さっているお客さまからは「社長は矛盾していないか?原油バブルは早晩崩壊すると力説してたのに、豪ドル買い推奨は早まり過ぎたのでは?」と鋭い指摘も。8月のセミナーでは、対米ドルで買ってしまうと、原油価格との逆相関にやられるリスクが大きいとも指摘。もう一点は、金利差、つまりスワップポイントがあるので(特に対日本円では)買い始めから多少の下落は見逃し得るとも。此れ即ち「鯛の頭と尻尾は呉れて遣れ」という相場の格言であります。

●8月の米自動車販売、不振変わらず(9/4WSJ)
GM     307,285 (20%)、Toyota   211,533 (9.4%)、Ford    155,117 (26.5%)、Honda   146,855 (7.3%)、Chrysler 110,235 (34.5%)

GM関連では、
●GMAC、住宅ローンを取り扱う全店舗を閉鎖(9/4WSJ)
全米200店舗網で米国最大の住宅ローン取扱を誇るGMAC、従業員も6割カットへ。かつてGMの完全子会社だったGMAC、現在はサーベラスが51%の株式を保有している。
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2008年9月3日水曜日

塩漬けの豚肉

福田首相辞任から一夜経って、海外メディアの取扱は極めて小さくなっています。FT、英エコノミスト、ニューヨークタイムズにはフォロー記事が見当たりません。WSJが、自民党内で伝統的ばら撒きか規制緩和による成長かで綱引きa tug of warが始まったと報じている程度です。

筆者がしつこく忌み嫌っている東京放送など地上波の街頭インタビュー。福田首相辞任について、「突然で驚いた」「無責任だ」「投げ出しだ」という批判が大方の反応。編集がどの程度加わっているのかは知る由もありませんが。。。街の声だけでなく野党の反応も同様であることには呆れます。

敢えて言いたい。無責任で、投げ出して、何が悪い!?学級委員や零細企業の社長もやったことのない街の声の主の他人事のような反応を公共の電波で撒き散らすことこそ無責任だ、と。「何故日本の元首(では憲法上はないが)は一年毎に変わるのか」と外国人から素朴な疑問を投げかけられたときにどう答えるか日頃から頭の中が整理されていることこそインタビューされる側として必要な資格。しかし「街の声の主」にその能力を求めるのは無理。どうせ視聴率も上がらないのだから、今すぐこのような似非報道番組は廃止すべきだ。

ところで、WSJ紙で「伝統的ばら撒き」と筆者が約した原文は(the return of) traditional pork-barrel politicsとなっています。このpork-barrelをアルク社さんの「英辞郎」で調べると、、、

pork barrel
豚肉{ぶたにく}保存{ほぞん}[塩漬け]用のたる
ポークバレル法案、特定の議員[選挙区]だけに利益がある助成金[国庫地方交付金・政府事業・地方開発補助金]◆【語源】南北戦争時にアメリカ南部の農場で、奴隷にたるに入れた塩漬け豚肉を与えたことから。

pork-barrel politics
利益誘導型政治、地方開発事業政策{ちほう かいはつ じぎょう せいさく}、予算のばらまき政治、ポークバレル政治

より詳しくは、ウィキペディアを。
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2008年9月2日火曜日

福田首相辞任は突然か?

福田首相辞任を海外メディアはどう伝えたでしょうか?
●政府自民党さえも驚いた?福田首相の突然の辞任(9/1FT)
就任後1年にも満たない福田氏は、解散総選挙の可能性に道筋を残したと?

●慢性的不人気の政権に終止符(9/2NYT)
突然の辞任は、世界第二位の経済大国を一層の政治混乱に突き落とすこと必定?
強いリーダーシップの欠如が日本に蔓延していると、ニューヨークタイミズ紙は締め括る。

●不況漂う日本で、またひとり首相が辞任(9/2WSJ)
後任候補の麻生氏は、国の巨額債務を放置してでも、支出拡大で経済活性を図るつもりだと。
多くの日本人は、小泉首相の退任後も、“過激な”リーダーを望んでいたのだが、、、ビジョンと政治的影響力を兼ね備えた候補者に恵まれていない、とWSJ紙は手厳しい。

ことほど然様に、国内外から総スカンを喰らっている福田氏ですが、筆者は6月11日MIXI上で「『犠牲者は私』首相また恨み節」という記事に絡めて下記の日記を公開しています。

(引用開始)
福田首相に同情する。「二世議員中心の政界が日本を駄目にしている」が持論だが、福田家には伝統的政治に必要な寝技を持ち込まないDNAを感じる。男70代にしてこんな役回り演じたいと誰が思うだろうか。恨みを晴らすためには抜き打ち解散しかない。福田首相は自民党の犠牲者でもあると、いっそ思い込み、人間爆弾となって、この国の形をターン・アラウンドするべきだ。後世に名を残す数少ない宰相となること必定。
(引用終了)

福田首相辞任を“電撃”とか“突然”という形容詞をつけたがるのは報道をワイドショー化させたい地上波メディアの意図に過ぎず、筆者ブログの読者の殆どは、“やはり”とか“またか”という感想なのではないでしょうか?筆者としては、ただでさえ強いリーダーシップが発揮しにくい日本型政治システムの中にあって数少ない首相の秘密兵器である7条解散による総選挙snap electionを行使して欲しかっただけに残念です。

ところで、日本語ロイターのアンケート、福田首相辞任の影響で異例の一日限りに終わってしまったのですが、「11兆5千億円の緊急経済対策」について①不十分、②効果あり、③いい加減ばら撒きを辞めて、改革路線に戻るべき、以上3つの選択肢があり、途中経過では③が圧倒的多数でした。この現実を、麻生・小沢両先生に伝えたいものです。

●グーグル、自前のウエブ・ブラウザーを立ち上げ(9/1WSJ、FT)
マイクロソフトとの捻じれた競争のなかで出てきたプランで、やはりオープンソースです。但し、筆者も利用しているモジラとの提携は続ける予定だとも。

●日本企業による国外企業買収が活発に(9/2WSJ)
塩野義⇒シエラ・ファーマ、オンワード⇒ジル・サンダース、リコー⇒イコン・オフィス、武田⇒ミレニアム・ファーマ、、、世界の株安を勝機と考えている。
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2008年9月1日月曜日

日本だけではないオーバーバンク

ハリケーン「グスタフ」、中国・四川で再び大地震地球が悲鳴を上げ続ける中、愛知県岡崎市のゲリラ雨の傷跡を長々と放映し、野次馬の歓心を得ようとする地上波メディアは報道と呼ぶに値するのでしょうか?

●コメルツ銀行、ドレスナー銀行を買収(9/1FT、WSJほか)
欧州最大の保険会社アリアンツが7年前に230億€を出して買ったドレスナーを(FT予想では)たった90億€で転売することに。

信用収縮による銀行株の価値下落、そもそものドイツの銀行過剰overbank(WSJ推計でイギリスやスペインの5倍の金融機関が犇めく)、アリアンツによる銀行保険一体経営"bancassuarance"からの撤退、そして人員削減(WSJ紙によると合併後67,000人中9,000人カット)を含意。

アリアンツに対しては中国開発銀行China Development Bankからドレスナーを買いたいという提案を受けており、コメルツの提案よりも価格的には有利であった模様だが、政治的な意味合いもありドイツ資本に留めることになったとWSJ紙。

おまけ、、、
●英国は60年で最悪の経済危機、ダーリング財務相(8/30英ガーディアン)
7月のセミナーをご覧になって直ちに英ポンドをお売りになったお客さま、大変おめでとうございました。

月が替わりました。夏休みを取られた読者の皆さんも取られなかった皆さんも、引き続き応援よろしくお願い致します。
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