2008年10月14日火曜日

格差は作られた

●ノーベル経済学賞、ポール・クルーグマン氏に(10/13WSJ、FTほか)
昨日のブログ(とは言え、祝日はアクセス数が低いのですが^^;)で御紹介した『複雑系経済学入門』のなかで著者の塩沢由典氏はクルーグマンの著書『経済政策を売り歩く人々』(原題は「経済的センスとナンセンス」)を好著として紹介、クルーグマン教授を米国若手三指のひとりとして大活躍中の経済学者とベタ褒めしています。

実は日曜日に池袋ジュンク堂で購入したのが、菱山泉著『ケネーからスラッファへ』と同時にクルーグマン著『格差は作られた』(早川書房、2008年6月)でした。米国で深刻化する格差。その原因はグローバル化による途上国との競争が原因だから優勝劣敗は自己責任で仕方が無いものだと決め付けている規制緩和論者に対して、ブッシュ政権に象徴される白人、もっと言えばWASP、更には一握りの既得権益を有する超金持ちの独り勝ちを確実にするための屁理屈に過ぎないと看破。中流破壊と絶望的格差の根源が黒人差別にある、と主張する本です。これだけ言うと、何だか朝日新聞の記者がジャーナリスティクに書いた本みたいですが、平易な文章ながらも数字と論理を緻密に積み上げた研究成果だと言えます。

そのWASPの金融版権化と言えるモルスタ。ブッシュ政権の目の黒いうちは大丈夫と思いつつ、フェニックス証券のFXのカバー先(カウンターパーティ)のひとつなので一抹の不安もありましたが、

●三菱UFJ、モルスタへの払込を完了(10/13WSJ、FT)
払い込まれた金額は予定通り90億㌦。

モルスタ株の急落により条件見直しが注目されていました。以下は私見ですが、モルスタ側(WASP?)としては日系企業の議決権は20%程度に留めたいという気持ち。三菱UFJ側としては、株価下落を反映せずに議決権割合(シェア)が調整されないというのでは株主代表訴訟に耐えられないという気持ち。両者の利害が一致して、出資形態は根本的に見直され、優先株(うち大半が普通株への転換権付)で配当利回り10%となったのだと察します。

三菱がモルスタを戦略的にどうしようということはひとまず措き、ショッピングとしては絶妙。生命線を握りながらのファイナンスはハゲタカビジネス同様、成功する筈。

敢えてどの局とは言いませんが、似非ポピュリストのニュースキャスターが「三菱には金だけでなく口も出して、日本の金融機関の存在感をアピールして欲しい」と言ってますが果たして如何なものでしょう?北朝鮮テロ支援国家解除を寝耳に水で聞かされつつ、アフガン・イランという遠方での紛争戦争でミカジメ料をふんだくられ続ける我が国。これら全てにWASPの利害が絡んでいる以上、日米関係の手綱を引くのはそう簡単なことではないでしょう。

●ポールソン財務長官、主要銀行トップをワシントンに呼びつける(10/13WSJ)
バンカメ、JMモルガンC、GS、モルスタ、シティが含まれる。
●米財務省、米国の主要9銀行に総額2500億㌦の公的資金注入を決定(10/14WSJ)
以上2本は臨時ニュース。
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