2009年3月3日火曜日

NYダウ、終値で6800割れ-AIGショック

★前週末比299.64(4.2%)下落。12年ぶり安値
シティグループが20%下落(1.20㌦)。金融のみならず、GE(11%下落)、ボーイング、キャタピラー、3M等、製造業含め全セクターにわたって、大幅下落。

シティグループとAIGの二社に対する米国政府による公的関与が暴落の引き金。英HSBCの時価発行増資(180億㌦)と米国の消費者金融事業撤退のニュースで同銀行株が18.7%下落したことも寄与。

しかし世界の金融業界の現実を直視すれば、「公的資金による銀行株の希薄化」を世界中の株安連鎖の犯人扱いするのは間違い。公的な関与をせず、第二、第三のリーマンブラザーズを出してしまえば、暴落の度合いはこの程度では留まらないからです。

シティグループとAIGに対する関与の在り方は、バーナンキ&ガイトナーのコンビ以外でも結論が大きく変わることはないでしょう。

公的資金と言えば、
★バンカメの社長、「メリル買収のための200億㌦の(追加)公的資金は“戦略ミス”だった」
フィナンシャルタイムズ紙の独占インタヴューで、「公的資金導入のせいで、バンカメがシティグループと同じ類の駄目銀行だと見られてしまったことは失敗」と懺悔。

バンカメに入った公的資金は、9月に250億㌦、12月に追加で200億㌦。後者は、メリルからの“お土産”(四半期損失150億㌦)に対処するためのバッファーだったが、必要なかったと。

バンカメ社長は、メリルリンチ買収に200億㌦も費やしたこと、その後に上記“お土産”が発覚したこと、買収直前の12月に支払われたメリル役職員への巨額ボーナス、そんなこんなでメリル買収以降2ヶ月でバンカメ株が約8割も下落したことで、引責辞任を求める声が高まっている。FTのインタヴューは「公的資金を返済するまでは、辞められない」という理屈で批判をかわすための、戯言かも。

ところで、シティグループとAIGに戻りますと、

★公的資金は惜しみなく投入する

しかし、

★国営化はしない(する必要がない)

と米国当局が嘯く(うそぶく)のは、大きすぎて潰せない問題のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)の「信用事由(クレジット・イベント)」の中に、倒産や債務不履行だけでなく「公的管理」というのも入ってしまっているからです(2002年度版ISDA)。格付偽装でCDSを引き受け、または保証しまくって浮銭を追っていた巨悪の金融機関に対するモラルハザードの泥濘(ぬかるみ)相場は当面続くと考えざるを得ません。

金融サミットのような“世界政府”で、または(BIS規制が見事に機能しなかった反省で)バーゼル主導でも良いから、

☆公的資金が入った金融機関は、海外での事業から撤退すべし

というルールをぶち上げるべきでしょう。まあ、無理でしょうけど。
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