2009年8月6日木曜日

円周率とゆとり教育-経済のイロハ①


ゆとり教育からの揺り戻しで、円周率(π)が3から3.14に戻ったらしいです。


小学生の娘から「円周率は何故3.14なの?」と聞かれて、答えに窮しました。勿論、πは3でもなければ3.14でもない無理数(かつ超越数)ですが、それは措くとして、「何故3.14(・・・)か?」という問いと、「どのような円でも円周率は一定(=π)かどうか?」(答えはYes)という問いとは質が違います。
当たり前のことのように思っていることでも、何故かと聞かれて答えられない命題は色々あります。「人間の手(足)の指の本数は何故5本(×2)なのか?」「何故、澱粉(でんぷん)にヨード液を落とすと(赤でも緑でもなく)紫色になるのか」・・・「何故、株価が下がると失業が増えるのか?」

知っていることと、理由を納得していること(或いは、世間では常識とされているが実は理由が曖昧だと見破っていること)は全く別。

上記の例の中で「何故、株価が下がると失業が増えるのか?」という問いだけは異質で、特に理由が曖昧かも知れない、と言いたいわけではないのです。実にそこが経済学の難しさだとは思います。しかし「世間の常識の殆どが理由は曖昧」というのは経済学(や生物学)だけでなく数学や物理学でも五十歩百歩です。平行性公準(言いかえれば、三角形の内角の和=180°)や質量保存の法則も今では絶対真理ではないからです。

「フィリップス曲線」というのがありまして、経済学部を出てこれを知らないと「お前、やっぱり勉強してなかったな」と笑われる定番商品です。縦軸に失業率、横軸にインフレ率をとると(短期的に)反比例みたいな関係になる。したがって、インフレ抑制と雇用対策は「あちらを立てればこちらが立たず」の関係なのだ、みたいな言い方をします。 現在、この経験則を知っているかいないかというのは大した問題ではなくて、「普遍の法則ではないのではないか?どういう前提なら成り立つのか?」と疑って掛る姿勢のほうが遥かに重要だと思うのです。
ついでにもっと大事なことは、主要国各国の指導者政治家の多くが、「フィリップス曲線」を平行線公準と同じような絶対真理だと思い込んで、ばらまき政策のポピュリズムにどっぷり漬かっていること。その結果どうなるかを予測すること、です。
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