2009年8月26日水曜日

バーナンキ再任に「異議あり!」

モルガンスタンレー(アジア)会長で反骨のエコノミストであるスティーヴン・ローチ氏が、英FT紙に、オバマ大統領によるバーナンキFRB議長再指名の早期決断は短視眼的と批判する論稿を載せました。

曰く、「医療過誤をしでかした医者に、奇跡的な治療法を発明したとおだてるようなもの。患者は新しい医師を求めている」と、容赦なき論調です。
http://www.ft.com/cms/s/0/a2ba2378-9186-11de-879d-00144feabdc0.html
取り返しのつかない資産バブルを見逃した中央銀行家として、グリーンスパン同様、バーナンキも罪を背負うべきかも知れません。オバマ大統領は、ブッシュ政権の大失敗を暴ける立場であるにも関わらず、そこを突き詰めることが自らの政権の危機を招くとの直観から、ガイトナーをして米銀ストレステストを、そしてこの早過ぎるタイミングで、バーナンキ再任をと、敢えて茶番を繰り返して来ているのでしょう。米国型金融システムの抜本見直しよりも、短視眼的に症状を糊塗するほうが米国の国益に資するとの判断は或る意味正しいということは、世界中の殆どのメディアがバーナンキ再任に肯定的である点からも窺い知れます。

米国の国益に最も近い立場である筈のモルガンスタンレー。論稿の著者であるローチ氏のような、何かと大本営のシナリオに対して水を差す人物を、ITバブルやお家騒動など紆余曲折を経つつも永年クビにせずに言いたいことを言わせている点に、米国そのものとも言える大銀行の懐の深さを感じます。
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