2009年12月29日火曜日

チェルノブイリ救援チャリティコンサート(4月24日)










「今年は、フェニックス証券主催のチャリティ・オペラ・コンサートをやらないんですか?」と大勢の方々からお問い合わせを頂きまして、嬉しくもあり、恥ずかしくもあり、ただただ期待を募らせて頂き有難うございました。七転び八起きにとっては、能力的にも体力的にも、そして金銭的にも大変なイヴェントでありまして、昨年は勢いでやらせていただいた感があります。今年の年末は、ちょっと、御休みをさせて頂きます。
さて、主催こそフェニックス証券とは異なりますが、来年2010年4月24日(土)に文京シビック小ホールにて、チェルノブイリ子ども基金主催による24周年救援イヴェントに(勿論手弁当にて)参加させていただくことになりました。ハッキリ申し上げて、私だけ場違いな音楽歴(音学歴)ですが、企画力と愛嬌(?)で少しでも素敵なイヴェントに出来るよう頑張っていきたいと思います。

曲目は、これから固めて行きます。現時点で決まっているのは、ヴェルディ作曲「椿姫」より第一幕アリア「ああ、そはかの人か~花から花へと」(オクサーナ・ステパニュックさん)、第二幕二重唱「天使のように清らかな娘を」(オクサーナ・ステパニュックさんとわたくし)などなどです。

右の写真は、昨年末、フェニックス証券主催チャリティコンサートでも大活躍をしていただいた、我が国を代表する新進気鋭のヴァイオリニスト印田千裕さんです。

超絶技巧を見事に弾きこなすヴィルトゥオーゾの印田千裕さんへのリクエストはありますか???

ヴァイオリン独奏曲の他に、オペラ・ハイライトとのコラボにも挑戦をしていただく予定です。
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2009年12月24日木曜日

Let it snow♪

今年も色々ありました。と書きはじめると、ブログも今年はこれで最後かと思われますが、それはわかりません。フェニックス証券は、当然、大晦日まで営業致しておりますので。しかも、御心配をお掛けしていた左目の網膜剥離もお陰さまですっかり良くなりましたから。ブログの頻度を減らしたのは、眼を労わるだけではなく、質の向上を目指しているからでもあります。

質の向上は、勿論、FX事業そのものにも求められているものであります。逆風が吹きすさぶFX業界ですが、ほんとうにお陰さまでフェニックス証券は順調に新規のお客さまが増えており、預かり資産も右肩上がり、そして取引量も増えております。付利を求めない経営スタイルが認められてきたのであれば、心から嬉しいです。

まったく提灯記事ではないのに、我が意を得たりという記事を2つ見つけました。
http://journal.mycom.co.jp/column/fx/028/?rt=na
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/fx/news/ne091222.htm
フェニックス証券の歩みが決して遠回りではなかったことを裏付ける内容で、経営者としてはとても嬉しいです。

Let it snow♪と歌わなくても、未曾有の豪雪でライフラインを遮断されている北国の方々や、欧米各所の皆さんは、複雑な思いでクリスマスを迎えることでしょう。金融業界も、殆どのビジネスレイヤーで風雪を耐え忍ぶ必要があり、FX業界もその例外ではありません。しかし、現在の流れには必然も此れ在り。知恵と誠実さで、降りしきる雪を、雪だるま、かまくらにメタモルフォーゼさせていきたい気持ちです。
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2009年12月18日金曜日

ギリシャの悲劇・・・その第二幕は?

今世紀最初の社会実験
今月4日(金)のブログ北朝鮮のデノミを考えるのなかで引用した塩沢由典先生の著書「マルクスの遺産-アルチュセールから複雑系まで」のなかの言葉のとおり、共産主義は20世紀における人類最大の実験であったとすれば、それに続く(次ぐ)21世紀最初で、もしかすると同世紀最大かも知れない(まだ先は長いですけど)社会実験は通貨ユーロの導入になるかも知れません。一丁前の独立国家が財政政策に制約を課せられるどころか、金融政策に至っては、自国国債の引き受けも買いオペも出来ない(マネタイゼーション=非不胎化介入が出来るのは欧州中央銀行(ECB)だけ) というマーストリヒト条約にはデンマークやイギリスなどEU参加国でも批准し得なかった経緯は記憶に新しいです。民主主義の独立国家は、選挙に勝つために減税や国債増発などばら撒き政策を志向します。その結果、自国通貨が腐敗・下落すれば輸出産業の保護にもなり一石二鳥なのです。ユーロによる通貨統一という哲学は、不換紙幣の輪転機をどれだけ回転させるかという不毛な競争をやめようというある種の国家間のカルテルのようなものであり、カルテルに加わるメリットの対価として、独立した財政金融政策を犠牲にしましょうという発想だとも考えられます。

後になって、そのカルテルに参加しておけば良かったなぁ~というのが、リーマンショック後のデンマークでした。
http://phxs.blogspot.com/2008/10/blog-post_16.html

リーマンショックが理不尽なストレステストであったかどうかは別として異例なストレステストであったことは確かです(「百年に一度」説)。デンマークは一長一短を差っ引いても、ユーロに入っていたほうが良かったかも知れません。しかし、今回のギリシャはユーロに入っていても袋小路に陥ってしまったケースです。むしろ、ユーロを導入していなければ、同国財務大臣が示唆したように、IMFに駆け込むという最終手段があったかも知れません。

ギリシャは何処へ向かうのか?
ギリシャ国債の借り換えが大幅に未消化に終わるとなると、ギリシャ国としての元利払いの遅延、すなわち債務不履行となります。ECBやEU政府がこれを放置することは常識的・現実的ではないですが、モラルハザードに対して厳格なカルテルのなかで当然に躊躇なく一歩踏み込むということは難しいでしょう。ユーロ離脱を条件に、EUとIMFが費用を分担して救済するという絵も理論的には有り得ます。勿論、本来はギリシャの国家財産を切り売りするなり増税するなり形振り構わず財政再建をするのが筋なのですが。

そしてユーロ相場は??
対ドルで買われ過ぎていたユーロ相場の修正は、ユーロ圏拡大を急ぎ過ぎたツケと言えるかも知れません。
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2009年12月17日木曜日

ギリシャの悲劇

早過ぎた「敗北宣言」 ?
「ドル安、ユーロ高」は行き過ぎている。早晩修正される筈。ユーロドルは1.3・・・台を目指すという持論が、まんまと外れて反省の弁をブログにアップしたのが 2ヶ月半前でした。
http://phxs.blogspot.com/2009/09/blog-post_24.html
やっぱり当たっていた。ブログを応援し続けて下さっているFX投資家の皆さん、おめでとうございます・・・と手放しに喜んでいるわけではないのです。ユーロドルの修正を予想したのは、欧州経済が苦境という名の様々な爆弾を抱えていることよりもむしろ、米国の商業用不動産に関する不良債権の未処理問題などに端を発し、米国発のリスクマネーが再び収縮するだろうという予想に基づいたものだったからです。一時は1.5台にまで再び突入していたユーロドル相場がトレンド転換したのは、第一のキッカケがドバイショックであり、続くスペインの格下げ、そしてギリシャの格下げであります。

敢えて先見の明があったとすれば、スペイン、ギリシャ、ポルトガル、アイルランド(、イタリア)というユーロ圏の劣等生達の国々のことを頭文字を取ってPIGSと呼ぶのだという英エコノミストの記事を1年半前に取り上げていたことです。
http://phxs.blogspot.com/2008/06/blog-post_06.html

PIGSという、マネー業界では流行語になるのに時間が掛った言葉がある一方、今となっては口に出すのも恥ずかしいようなお笑い業界の流行語もあることに気付かされるブログでもありました。

ギリシャ悲劇を対岸の火事だと笑えない日本の財政赤字
有史以来、初の民主主義を実現した元祖先進国、ヨーロッパや通貨ユーロの語源となったエウロペの産みの親であるギリシャが、その域の通貨、信用の足を引っ張っているというのは皮肉です。そして、格付機関やギリシャ国外のギリシャ国債(もちろんユーロ建て)投資家が問題視している「財政赤字や国家債務の対GDP比の不健全なまでの大きさ」こそ、実に日本の数値と大差ないのであります。

「日本は外国債を出していない」すなわち「国内の貯蓄で国債が賄えている」という大言壮語が政府内外から聞かれますが、国内貯蓄が海外(の通貨建ての金融商品)に流出しない規制がない以上、根拠のない楽観だと唾棄せざるを得ません。

NTTの政府保有株をグーグルやアップルに(グーグルかアップルに)引き取ってもらえば、財政再建と技術立国再生の一石二鳥になるかも知れませんが・・・

実は難しい「信用リスク」と「市場リスク」の峻別
前回のブログでは、悪徳な投信が、信用リスクと為替リスク(⊂市場リスク)を混同させた提灯記事(広告)で金融リテラシーに乏しい一般大衆を一網打尽に騙そうとしているという話をしました。今週のもう一つの話題だったバーゼルの銀行自己資本比率規制。ここでも規制の骨格が出来た1987年以来、信用リスクと市場リスクは別々に管理しうるもの(すべきもの)という前提に立っています。しかし、今回のギリシャ悲劇は、かつてまたは現在のウクライナや、メキシコ、アイスランドのように、通貨の市場リスクと通貨発行権(シニョリティ)を持つ、または持てない国家(債務)の信用リスクが密接不可分で峻別が難しい事例が少なくはないことを示しています。

それにしても、今回のギリシャの事例はユニークです。他の国家破綻は、通貨発行権を持ちつつも、外貨建て債務を(当然のことながら主として海外投資家に)売り過ぎて、元利金の弁済が出来なくなったという点で自国通貨(為替)の暴落スパイラルを経た結末です。この点、ギリシャはユーロ圏に属した故に通貨発行権も持っていないし、外国向け債務も通貨はユーロ建てですが、基準金利(Euribor)に対するプレミアムが暴騰しているので、たとえギリシャ政府が、EU議会に財政規律違反に関わる違約金の支払いを覚悟してでも、自国通貨建ての国債を乱発することで、外国向け債券の借り換えを行うにしても障害が出る(「消化不良」を起こす・・・このようなシナリオは少なくともギリシャ政府首脳は公式には言及していないが)ということです。

つづく(?)
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2009年12月11日金曜日

金融商品取引法を守るとはどういうことか?

「高格付」なのに「高金利」???その名も“トリプルエース”
そんなことを考えさせられ、我が心を虚しくさせたのが、今朝の日本経済新聞の全面2ページぶち抜きによる投資信託の広告です。

投資信託委託会社がDIAM、追加型投信であり、みずほ銀行が窓販を開始すると。

何せ新聞2ページですから、免責事項など、法律上書き逃してはならないことはきっと全て網羅されているのでしょう。しかし、常識的に考えれば、FXや不動産投資をやっている人はこんなものを買うとは思えない。。。そこまで金融やリスクや資産形成について深い洞察をもって取り組んだことはない一般の人たちにとって、この広告というか記事広告(所謂ちょうちん)の斜め読みは、高格付け(≒低リスク)なのに高金利という「高リスク高リターン⇔低リスク低リターン」という常識を打ち破る夢のような金融商品が誕生したとの錯覚を与えるものです。

ごっちゃにされたら騙される(!)「信用リスク」と「為替リスク」
この錯覚というか詐欺を判り易く“斬る”ために、「高格付けを信用してはならない」という問題(エンロン事件やサブプライム問題)と、特に信用力が低い新興諸国の通貨については為替リスクと信用リスクを分解することが不可能なケースがある(かつてのウクライナやロシア)ことを無視します(※)。

スタンダード&プアーズ社やムーディーズ社のような格付機関がちゃんと機能しているとは言っても、それは公社債の発行体の元利金支払能力が満期(償還期限※)まで維持されている確からしさ(信用リスク)についてだけ。発行体(発行会社)とは何の関わりもない、例えば良くあるケースとして(為替リスク)を内蔵させた仕組債においては、発行体(発行会社)が約定にしたがって元利金の支払いを継続していたにせよ、発行体自体の財務の健全性とは全く無関係な要因によって、投資家が受け取る元利金の価値が大きく変動します。世界銀行債やアジア開発銀行債がトリプルAという最高格付けをつけているからと言って、為替絡みの仕組債の元本割れリスクについては何の判断も示していないのです。

かつて何度も一般大衆の貯蓄を収奪してきたこの手の為替絡みのファンドが、このような売り方で、繰り返し、しかも支店の数だけは立派にあるメガバンクのネットワークで大量販売されようとしている現実を見ると、金融商品取引法というのは一体全体機能しているのかと、やるせない気分になってしまうのです。

虚業としての金融vs実業としての金融
金融という生業には、資金を運用したい人と調達したい人とを結び付けて「ウィンウィン」の関係を作る、その金融仲介者を含めた三者が「三方よし」の関係を築くという本来的な側面のほかに、残念ながら、知恵のあるものが知恵のないものの資産を詐欺収奪する「ウィンルーズ」の関係、すわなちゼロサムゲームにしかならない側面があります。後者の典型は、我が国の商品先物や、多くのFX事業と考える人は多いでしょう。日本株の信用取引も含め、マージン取引には流通市場の中でも特にゼロサムゲーム色の強さを感じるのは致し方ありません。しかしながら、一層問題なのは、ゼロサムゲームとは知らずにアプローチされる、いかにも庶民のための資産形成を謳った公募投信のような世界で、品の悪いえげつない詐欺商法が繰り返されていることであります。

※満期(償還期限)が大きく異なる債券、例えば東京電力の5年債と20年債で、格付けは同じだが、償還リスクは同じなのかという問題があります。大手格付け機関は、それぞれのロジックでこの問題を処理していますが、満期までの長さに限らず同一の発行体格付けが同ランクの債券には適用されてしまうことを理解するのはた易いことではありません。
※かつて、日本国債の格付けが大きく格下げされたことがありました。外貨建て債券なら理屈は判りますが、自国通貨建て(つまり円建て)債券ですら格下げしたロジックは、今となっては無理があったことが明らかですが、ロジックがまったくなかったわけではありません。本日の論旨と全く無関係ではありませんが、かなり専門的すぎるので、上記の問題とあわせ、機会を改めます。
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2009年12月8日火曜日

長銀と日債銀の違い

旧日債銀粉飾、高裁に差し戻し・・・今朝の日経新聞は「それでも無罪が遠い日債銀」と題する社説で、
「不良債権を積み上げた歴代経営者や、金融政策・行政の舵取りをしてきた大蔵省・日銀、政治家の責任が問われないまま、“最後”の経営者だけが刑事罰を求められるのが不公平であるのは間違いない」

と断じています。その通りだと思います。 この点について、些か長文ですが、約14ヶ月前のリーマンショック直後に是非是非トラックバックしていただきたいと思います。
http://phxs.blogspot.com/2008/10/blog-post_15.html

日本共産党ビラ撒き事件でも、呆れる程の非常識を晒した、我が国の最高裁。司法に求められるのは法律の解釈以前に、法律の公平な適用です(例:万年野党のチラシ⇔ピンクチラシ、人身御供の最後の経営者⇔極悪やり逃げ経営者、などなど)。加えて、トラックバックしていただいたように、自らの金融失政に甘い米国との金融敗戦の結果の象徴が、2長信銀破綻であったわけですから、この裁判は、「勝てば官軍、負ければ有罪」という歴史観に翻弄されていたという一面を忘れてはならないでしょう。

一部のA級戦犯(だけ)を処刑し、残りは戦後日本の国づくりのキーパーソンとさせた東京裁判を彷彿とさせます。
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2009年12月4日金曜日

北朝鮮のデノミを考える

緩やかなデフレに悩む国から近くて遠い国は、慢性的なインフレなのであります。北朝鮮では、したがって、過去5度も「通貨改革」を実行しているらしいのです(12/1朝鮮日報日本語版)。
http://www.chosunonline.com/news/20091201000018

今回、17年振りとなる「通貨改革」または「通貨交換」を、単にデノミと呼んでは本質を読み間違えてしまうようです。但し、北朝鮮というお国柄、奥の院からの公式発表が何も行われず、各国大使館宛に理由の説明を欠いたブリーフィングがなされただけ(12/2フィナンシャルタイムズ)ということで、各国主要メディアではその取り扱いの大きさから憶測や解釈に至るまで報道内容が様々であることが特徴です。

デノミの教科書的な解釈を軸に、無難にまとめているのがフィナンシャルタイムズ紙でしょうか。すなわち、

★大筋としては、11月30日から12月6日の間に、旧紙幣は、二桁少ない新紙幣に交換される。
★公式発表はいまだに無いが、インフレ対策に加え、闇市場(実態は行商人など)が不正蓄財した旧紙幣を召し上げることも目的。
★一部で不平不満が出ているとの噂あり。
★北朝鮮ウォンは著しく歪んだ通貨であり、公設市場では1㌦=140ウォンだが、実態は3000ウォンでしか取引されない。

これに対して、同じ英国でも、エコノミスト誌は、現地消息筋の情報を踏まえて、「庶民に対する国家の収奪・搾取」という観点を強調しています。まず、ひとこと目に、

★11月30日、北朝鮮人民の貯蓄が国家の命令により掻き消された。

そして、

★新紙幣への交換可能額は当初10万ウォンと設定されたが、国民の憤慨により、15万ウォンまで引き上げられたようだ。

エコノミスト誌は敢えてデノミという用語を使わず、鍵括弧付きで“revaluation”「再評価」が行われたのが17年振りだが、前回の目的が悪性インフレへの対策であったとは言え、今回の主眼はインフレではない(平壌の生活費用はこの17年間さほど上昇していない)と論じます。寧ろターゲットは、

★主として中国との商取引で金持ちになったビジネスマンや腐敗した公務員

だと。しかし、残念なことに、

★そのような利に敏い策士たちは、たった数百人くらいしかおらず、大抵は財産を人民元やドルや円に変えてしまっている。

なので、実際に最も打撃を受けるのは、平均月収5万ウォン程度の中流層であると報じています。

ちなみに、ウォールストリートジャーナル紙から幾つか補強材料を拾うと、

★政府からの公式発表が無いまま、水曜日から通貨の交換は実行され始めた。

★電話回線は遮断され、外出禁止令が発動されたこともあり、首都平壌は平穏無事である。但し、値札の付け替えのために、商店街はすべて閉店となっている。

★市場活動(≒資本主義的傾向)弾圧のために、これまででも最も大胆なfar-reaching施策で、米の価格が旧通貨ベースで20倍になったり、玉蜀黍が同30倍になったり、そして前述の利に敏いお金持ちが田舎に押し寄せ、「デノミ」についてまだ情報を知らない貧乏人たちから旧紙幣で農産物などを買おうという動きが出ている(この点は、仏教系チャリティ団体「良き友達」という在ソウルの対北朝鮮消息筋の話として韓国中央日報も同様の引用をしています)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=123555&servcode=500§code=500
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=123556&servcode=500§code=500

度々七転び八起きブログでご紹介している塩沢由典先生の著書「マルクスの遺産-アルチュセールから複雑系まで」のなかの一文に「共産主義は20世紀における人類最大の実験であった」というのがあります。この壮大な実験は多大な犠牲を伴いつつ、ソ連崩壊やベルリンの壁崩壊などにより失敗という結論でほぼ終結するのですが、まだ細々と実験を続けている国が、それも我が国の近くにあるわけです。

勝負あったかと思われる資本主義VS社会主義の冷たい戦いのなかで、北朝鮮の事例から日本は学ぶべきものはあるのでしょうか。資本主義陣営とは言え、純粋な「市場原理主義」など有り得ないことを考えれば、国家は民間の財産を簡単に収奪・搾取しうる点では、あまり北朝鮮のことを他人事と考えないほうが良いでしょう。例えば、固定資産税などは簡単に上げることが出来るのですから、不動産を「所有」しているとは思い込まないほうが良い。イギリスと殆ど同じで、御国から半永久的に借地をしているだけで税金という名の地代はこの先どうなるか判ったものじゃないと覚悟すべきです。

相続税や贈与税には色々な抜け道があるようですが・・・

実は、我が国の資本主義をもっとも停滞させているかも知れないのが、前出の中間層ですが、ここに良い顔をしないと選挙に勝てないという現状があります。北朝鮮の「デノミ」は、この集団と向かい合うわけですから、尋常なことではありません。

「まず財源ありきとの議論では駄目」「日銀はまだ寝ぼけたところがある」という金融担当大臣を誰も選挙で選んだ記憶がなくても、政府与党の代表のひとりであり閣僚のひとりなのであります。赤字国債を乱発して、日銀に引受させれば、財政法の脱法で簡単にインフレを起こすことはできます。そのことと、北朝鮮の「デノミ」という名の紙幣の紙屑化と比べると、政府による所得分配への介入という点では実態は同じで、技術的にも殆ど巧拙の差はありません。
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