2010年9月29日水曜日

ヘッジファンドの黄昏

リーマンショックや9.11テロのように、一日にして歴史が大きく変わる事態については、メディアや評論家は論評しやすいものです。

こんにち、われわれが経験していることは、実はそれよりももっと甚大な地殻変動が、一日や一瞬単位ではわかりづらいものの、これを理解しないと、後々大きな禍根を残すという性質のものです。

北朝鮮の情勢や、尖閣諸島の問題も、これまた放置できないし、かと言ってなかなか具体的に対応できないものです。野党も大衆も、政府与党の体たらくを連呼しますが、中国が核兵器を持っていること、安保理の常任理事国であること、または普天間問題など、整合的に批判出来ているでしょうか?

さて、政治や国際情勢だけでなく、リーマンショック以来、米銀のストレステストなどで、ごまかしごまかしやってきた金融経済のほうも、どうやら色々と麻薬が切れてきたようであります。

★DEShaw(従業員数で世界第二位のヘッジファンド)が従業員1割削減を発表(9/28FT)

ああ、なるほど。と思う人はよほどの証券市場通です。

FT紙の速報ニュースによれば、9月1日現在では預かり資産が210億㌦という世界有数のヘッジファンドですが、ほんのここ数カ月で資産を70億㌦も減らしているということだそうです。

運用成績の急速な悪化と、それにともなう顧客からの解約の殺到が原因とのこと。

FT紙の記事から具体的に読みとれるのはここまでですが、去る5月のギリシャショック以降、米FRBのバーナンキ議長発言「これまでになく不透明」云々以降の金融市場のボラティリティ低下は、同ヘッジファンドの創設者以来の伝統芸である数学を駆使した「隠れたトレンド」や「異常値の発見」を潰してゆくという手法を限界に追いやった可能性があります。

アルゴリズムが市場の取引をいっそう席巻していくことを前提に、世界で戦う取引所たちも、投資銀行たちも、システムの再構築やプライムブローカレッジ営業に躍起になっていますが、このようなトレンドもまた修正が必要になるのかも知れません。

一方、

★非投資適格社債の購入ニーズが米国個人の間で沸いている(9/25FT)

先述のバーナンキ発言以来の米国の金利低下(短期だけでなく長期も)で、米国の個人投資家がジャンクボンドをこれまでになく買っている。しかし、機関投資家は買い越しではなく冷静であり、米当局も事態を注視していると。

米ドルは基軸通貨なので、米国版ミセスワタナベは、FXよりはジャンクボンドだということです。
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