2011年12月29日木曜日

2012年を占う

フェニックス証券による2012年の「公式」占いについては、来月発売の月刊FX攻略にバッチリ載せておりますので、それまで暫くお待ちください。

今朝ご紹介するのは、フィナンシャルタイムズの論稿のひとつで、元国連事務総長補(当時の国連はアナン事務総長)など国際機関の重要ポストの経験を複数持つユニークなジャーナリストであるマーク・マロック・ブラウン氏によるものです。

氏の予想は至極一般的な悲観論で、①対策の打ちようがないユーロ圏危機、②過熱してしまった中国不動産市況、③先細るインドの改革とブラジルの経済成長、④アメリカの失業と債務、、、これらすべてが来年より悪くなることはあっても、良くなることはないと言い切っています。

ただ、このような普通の結論も、単に来年一年についての占いではなく、過去何十年もの間、糊塗し誤魔化し続けようとした西側経済(※)の病巣に帰するところに、氏の達観があります。

一時しのぎの連続に遂に耐えられなくなった西側経済(※)の病巣とはなにか?

氏はグローバル化はグローバルな優勝劣敗を作り上げた。つまり、二種類の勝ち組(技術革新の担い手たちと新興国の製造業の担い手たち)と負け組(西側の中間層とブルーカラー)が産まれた。問題は、負け組連中が劇的に失った競争力と所得を、それぞれの先進諸国の政治家が、回収不能な(!)ソブリンローンと消費者ローン(または住宅ローン)で取り繕おうと、もがいててきた「成れの果て」であると分析しています。

私自身の仕事を考えてみても、パソコンからインターネット関連サービスの技術の恩恵を受け、新興国の低賃金なのに高意欲でしかも高能力の働き手のサービスを直接・間接に利用出来てきたことで、二十数年前に社会人になった頃の私の上司の働き振り「これコピーしといて」「清書しといて」・・・みたいなコスト構造が是認されていた時代・・・とは隔世の感があります。

欧州の危機には、統一通貨ゆえに急成長し過ぎたツケと、個別国国債の買い切りには(独立通貨国以上に)抵抗がある中央銀行の存在という特殊要因があるものの、ツケの本質は、一度手にした物質的に豊かな生活は失われないものだと勘違いした国々にとっては共通なのです。

ちなみに、氏の予言によれば、経済的にはより悪くなる2012年だが、政治的には意外にも静か、ただし「嵐の前の静けさ」とのことです。

(※)ウェスタンという言葉を使っていますが、日本を含みドイツを含まないようです。
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(2012年3月16日追記)昨年のノーベル経済学賞受賞者の考え方【合理的期待仮説など】と似た切り口です。2011年10月11日の記事もあわせてお読みください。

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