2011年12月30日金曜日

割れかけたコロンブスの卵

昨日、12/29(木)のブログで、

「欧州の危機には、統一通貨ゆえに急成長し過ぎたツケと、個別国国債の買い切りには(独立通貨国以上に)抵抗がある中央銀行の存在という特殊要因があるものの・・・・・・」

と書きました。日本のような独立通貨国でも、日銀総裁が頑固だからというだけでなく、中央銀行による国債の直接の引き受けは原則禁止なのです(「国債の市中消化の原則」財政法第5条)。

この「原則」は先進各国共通のようです。しかも「例外のない原則(で)はない」というところも似ています。つまり、いったん市中の銀行に消化された国債を、金融調整目的で、中央銀行が買い上げることは可能であり、結果としてそれを満期まで持つことも可能であり、償還と同時に借換債を購入することも可能なのです。

この抜け道に注目したのが、今月、欧州で決定されたLTRO(長期リファイナンス・オペレーション、または長期レポ・オペレーション)だと言えます。

借り換えが困難な国の国債をECBが直接買えないのは、市中消化が原則であるだけでなく、健康な国の税金で運営されている(欧州)中央銀行を病気(の国の国債)のリスクに曝(さら)すことへの愛国心的な抵抗があります。そこを、やや健康な国の銀行にまで病気のリスクが蔓延していることを奇貨として、今回はまずイタリアの国債でしたが、これを買って担保に入れることを条件に(?)、それらの銀行に金を貸してあげるという枠組みになったのです。

中央銀行が助けたいのは国の財政だが、それが直接できないから、民間の銀行を導管として使う(使われた銀行も悪い気はしない)というのは見事な抜け道ですし、コロンブスの卵です。

このコロンブスの卵、ユーロ圏では、(市中消化の原則だけでなく)自らは健康だと思っている国の愛国心を回避するためのアイデアであったわけですが、愛国心の問題を気にしなくても済む日本でも米国でも応用できるかも知れず、そうであれば、消費税のことで与党内で揉めたり、離党議員や支持率の低下で悩まなくても良いのです。

ほんとうにそうでしょうか?イタリア国債の入札が、上記理由で順調であったにもかかわらず、ユーロは対ドルでも対円でも大きく下落しています。
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