2013年3月4日月曜日

酸っぱいプレゼンテーション

何かと批判の多い日本放送協会と日本銀行ですが、臍曲がりのわたくしとしては理屈の通る限り精一杯弁護してきたつもりがこのブログでした。

一方で、海外のメディアと日本のメディアとで、ニュースの扱い方がどのように違うかに注目してもきました。

ニュースの優先順位や報道の切り口が違うのは当たり前。土曜日の正午のNHKニュースで、北海道の暴風雪の被害状況を一番に報じていたのは至極妥当だと思うのです。しかし、わたくしが注目していたのは、日本時間の当日午前中、英国放送協会や米国ケーブルニュースネットワークあたりは、毎時報道していた「米国議会が8兆円相当の財政削減を決定するか覆すか?」という緊迫した状況で、その期限が日本時間の午前11時に迫っていて、議論が暗礁に乗りあげていた挙句の果てに、オバマ大統領が共和党議員団に妥協する形で、財政支出削減が決定したと臨時ニュースで大々的に報ずるに至るなか、果たしてNHKはこれを何番目にどの程度の重みで伝えるだろうかということでした。

答えは、取り扱い無し。暴風雪のあとは、吉祥寺の殺人事件、陸前高田の奇跡の一本松。そして毎度お決まりの誰も注目していない地方の朗らかな話題、で終了です。

日曜日のサンデースポーツも、事前にサッカー中心に番組が組まれてしまっていたのがかえって悪かったのかも知れませんが、どう考えても香川真司のハットトリックをトップで伝えるべきところ、J2の試合からはじまって、J1も開幕しましたねぇ、という流れ。

それでもわたしは言いたいのは、空気を読めないのは、国営機関にとって強みでもある一面があるということです。

最近のNHKで注目しているのは、米国TEDで行われているスピーチを題材にした「スーパープレゼンテーション」という教育テレビの番組。

http://www.nhk.or.jp/superpresentation/

TEDにリアルで参加するには高額の入会金が必要らしいですが、ネットでスピーチを聞いて、ものによってはスクリプトを読んだり、日本語訳を読んだり、更に多機能に対応しているコンテンツもあり、これらが無料で提供されているわけですから、英語の教材と見るだけでも、たいへんな時代になったものだなぁと感心してしまいます。

http://www.ted.com/

そこで、日本語ではありますが、わたくしも先週、既報のとおり、慶応義塾大学のビジネススクールで酸っぱいプレゼンテーションをしてきたという話です。こちらもまた高額の授業料を払って、また社会人入学の大学院生のほとんどは会社を辞めてコースに来ているという気合のはいった人達を前に話をするので、こちらも気合負けをしてはいられません。と同時に、そのような状況ゆえ、話の内容を詳しく網羅してお伝えすることはできません。

ひとつだけ、ビジネススクールらしいやりとりを申し上げたいと思います。教室設例ならぬ本当にあった話で、「大王製紙の二代目社長がマカオのカジノで大損して会社の純資産を毀損させた」事例を踏まえて、「これは大王製紙が、オーナー系企業であるにもかかわらず公開会社になってしまっていて、少数株主が(市場を通じて)存在するので、そのひとたちの利害を蔑ろにしえいるから悪いのであって、非公開会社のままで、大損した経営者(一族)が100%株式を持っていたままであれば、これは悪いことではない。公私混同ではない。」とわたしは思うが反対意見はありますか???

という質問でした。

質問や意見がちゃんと飛び交うところも、慶応義塾大学のビジネススクールの実に良いところだと思いました。

わたくしは、債権者が居なければ、かつ会社法上許される範囲であれば、株主=経営者の場合、株主がタコ配だろうとなんだろうと純資産を幾ら払いだしても問題はないというのが答えだと思っているので、大王製紙の事例も、少数株主との利害相反に問題は帰すと考えています。読者のみなさんの意見はいかがでしょうか?

・・・この話、続く。

0 件のコメント: