2014年6月30日月曜日

集団的自衛権の思い出

もう30年以上も昔の話なので、正確に思い出せる自信もなく、いい加減な記憶に基づいて公に文章を書いて良いものかどうか悩ましいのですが、タイミングとしては今しかないのかなと。

実は、前回のブログ(+メルマガ)執筆からちょうど半年もサボっていることになっていて、今日あたり更新をしないと、何千ものメーリングリストが消失してしまうらしいのです。

高校生のころ、もうちょっとだけ詳しく憲法を勉強しようと思い、本屋で買うことを決めたのが、伊藤正己著「憲法入門」(有斐閣双書)でした。

入門という文字と、本の薄さと、自分のお小遣いでも買える値頃感の三要素で選んだのであって、伊藤正己先生がその後最高裁判事としてMr少数意見と評されるほど東大卒のエリート中のエリートとは思えない反骨精神を知ったのはもっと後のことでした。

その当時は、「集団的自衛権は国連憲章で保障されている」「国連憲章は日本が批准した国際法であり、国際法は憲法に優先する」「したがって日本には集団的自衛権が当然に存在し日米安保条約は合憲である」というような三段論法に違和感を覚えたものでした。

そのころの憲法議論は、冷戦下、保革逆転なるかならないかという政治情勢(政権交代とは言いません)と、どちらかと言えば革新陣営の論客が大手を振るっていたアカデミズムの影響もあり、憲法第九条の解釈の争点は、第二項の冒頭の「前項の目的を達するため」の日本語解釈みたいなところがあり、完全非武装か(専守防衛の)自衛隊なら合憲かという問題でした。

時は移り、集団的自衛権までもか、個別的自衛権どまりか、と争点がシフトしたのは皮肉では片付けられません。

ところで、米軍基地というのは世界中にどのように分布しているでしょうか???

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E8%BB%8D

一ヶ月半ほど前に、アイルランドから昼間の会社の出張者が、ドイツからは知人が来たので、この話をしてみました。結果は、日本同様に米国べったりの両国ですが、ドイツは日本以上に、というか世界一米軍の兵隊を受け入れている国であるのに対して、アイルランドは米軍機がヨーロッパに飛んでくるときに頻繁に停留する場所なのにあくまで自国の空港を貸しているだけだというのです。おそらくドイツだけがダントツの例外で、他の西側諸国は、我が国における沖縄基地負担問題のようなものは存在しないとのことでした。

アジア特に極東は、これとは全く地政学上の位置づけが異なることが想像でき、実際そうなっています(上記ウィキペディア参照)。

さて、ドイツは日本同様、第二次大戦の敗戦国ということで、在独米軍の依存(?)が高いということで、米国に集団的自衛権の行使を迫られやすいと言えるでしょうか?上述の地政学上の位置づけの違いに加えて、EUへの所属問題もありますが、現実としては米国主導のイラク戦争に対して、フランス同様、反対し、参戦しなかったことは記憶に鮮明です。

それでは、日本は、ドイツ同様、在日米軍依存の体質を変えずに、集団的自衛権を拒否できるのでしょうか?右翼のひとでも、左翼のひとでも、商売目的ではなく、純粋な政治信条に基いて政治的主張を行うのであれば、在日米軍依存を断ち切り、自国防衛を確立し、集団的自衛権受け入れによる不確かな義務と権利に翻弄されないようにするというのが正論でしょう。わかりやすく言えば、米国主導の戦争に協力していれば、米国は日本を守ってくれるという、互恵的な関係、つまり契約には担保がありません。

しかし、この潜在的な不平等条約の前に、既に顕在的な不平等条約が存在していることを忘れるわけにはいきません。しばしば平和目的であると誤解されがちな核拡散防止条約です。我が国の自衛隊が実はどんなに強いからと言っても、またそれをどんなに強化すると言っても、我が国の周囲の国々には核があり、我が国にはないというのは動かせない事実であり、平和利用という大義名分で占有していた原子力発電用のプルトニウムも含めて米国の掌上にあるわけです。

日本としては米国の核の傘の下に入っているという虚勢を張るべく、非核三原則をねじ曲げ、日米軍事同盟と核拡散防止条約には甘んずるという方法以外にはないように思えます。

そして、最も重要なことは、このように独立国家とは名ばかりの今のところ表面上は豊かな国にしてしまったこの国の指導者の多くは、開戦や敗戦、そして戦後日本の繁栄と没落を導いてきた指導者またはその子孫であるということです。

そういうオボッチャマ政治家の口々から、他に手がないのです、と土下座して説明してもらったら、われわれ市井人としても、もうちょっとスッキリするのではないかと。

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