2014年9月11日木曜日

スコットランドとは何か

グレートブリテンおよび北部アイルランド連合王国、、、俗にいうイギリス(英国)からスコットランドが独立するかどうかを問う直接投票(レファレンダム)が、たった1週間後に迫っているということで、しかもまさかの賛成派反対はが僅差になっているということで、イギリス・ポンドは暴落。今年前半は深い眠に就いていた為替相場は一転して大荒れとなっています。


スコットランドの分離独立が予想外の現実味を帯びてきたことに加え、ことしは2月から、ウクライナ(クリミア半島)情勢やイスラム国の出現など、そもそも国家とは何かということを考えさせられる事態があまりにも多発しています。

世界中のどの地域においても、民族や地域の分離独立を望む派と望まない派で対立するのは、民族自決主義という大義名分のあるなしにかかわらず、経済的利害が圧倒的な要因であることに間違いありません。日本という国は、そのような「野蛮でドロドロとした欲」とは無縁であったからこそ万世一系の天皇家のもと、臣民は仲良くやってきたというのは、まやかしの皇国史観にすぎないでしょう。

日本のことはさておいて、スコットランドにおいては、スコットランド独立国が誕生するかどうかが9月18日に決着するという単純な問題でないところが問題です。

国家の定義は難しくてある程度曖昧だということですが、現代社会においては国際連合やEUなど、国際社会を引っ張っていると自負する国々による互助会で認められるかどうかもポイントです(国連⇔パレスティナの関係)。スコットランドはEU加盟国のイギリスから分離するのだから当然にスコットランド独立国もEUに加盟できるというのが独立派の主張ですが、大陸として繋がる加盟国はだいたいどこでも民族対立を孕んでいるため、民族問題の波及を恐れる加盟国はスコットランド独立を認めないという説を反独立派は煽っているところです。

もうひとつ国家の定義で最重要のひとつである軍隊を持つことについて。スコットランド独立派=反核(≒脱原発)であるため、スコットランドの海岸線に留め置かれているイギリスの原子力潜水艦を追い出して独立軍を形成しようというのが、直接投票後の計画なのですが、それを相手方の残されたイギリス側がすんなり認めるつもりがないという点。

そして、本稿の最大の目的である「野蛮でどろどろとした欲」の部分は、北海油田の権益と、イギリス・ポンドの採用継続です。

北海油田のほうは、どちらの国の排他的経済水域から油が湧いてきているということだけですんなり決着するはずはないのでしょう。

何と言ってもややこしいのは、現実に独立したあとも、スコットランドはポンドを使い続けたいとしていて、イギリス保守党はこれを許さない姿勢であるというところです。

(スコットランド地域ではロイヤルスコットランドバンクが発券銀行の一部を担っています。。。)

実際、ロイヤルスコットランドバンク(RBS)の破綻はリーマン・ショック時に世界で最大級の規模の血税が投入された事例です。さらにさかのぼれば、スコットランドの田舎銀行にすぎなかった同行が世界最大級の規模に成長したなかで、イギリス4大銀行のひとつであったナショナル・ウエストミンスター銀行を敵対的に買収したというステップがあります。

(ただし、イギリス経済を喰い物にしてきたかに見えるロイヤルスコットランドバンク(RBS)は、公式には、スコットランドが分離独立したら、本店をロンドンに移転すると言っています???)

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今回の新しい英ポンド危機は、9月18日で決着がつかない問題であるというところだけは押さえておく必要があります。