2008年10月6日月曜日

やっぱり変だよ世界の金融

何となくここのところ月曜日は雨降りと円高が多いと思うのは私だけでしょうか。
さて、今日はこれから大ベストセラー『やっぱり変だよ日本の営業』で有名なソフトブレーン創業者の宋文洲さんを直撃インタビューです。角川さんとのご縁とご協力で、これまで世界ソムリエコンクール日本代表の佐藤陽一さん、最新刊『投資のレッスン88』が話題の逢坂ユリさん、そして今更解説を必要としない森永卓郎さんという尊敬すべき仕事人の方々をインタビューさせていただいております。
「月刊ビジネスアスキー」「マネージャパン」で内容はご覧いただけます。どうかお楽しみに。

●米金融安定化法案下院可決で一辺倒の週末各マスコミ・・・
しかも尚、共和党は造反者が多数。我が国で言えば、今となっては飯事の郵政民営化法案、大平内閣不信任案可決、40日抗争くらいしか思い浮かびません。議員あっての二大政党と言えば聞こえは良いが、サブプライム関連資産(今では危険資産toxic assetと改名済)証券化同様、議会制民主主義も流動化しているということか。

●ドイツ、最大の不動産金融会社の救済失敗。新たな救済枠組みを策定へ(10/5FT)
総資産€4000億と欧州最大級の商業用不動産金融会社の破綻は現代ドイツ最大の金融破綻になりかけていたところ。護送船団による€500億の資金注入が予定されていたのだが・・・

●イギリス、預金保険の限度額を一口座当たり£350,000から£500,000に引き上げ(10/4FT)
ご存知の通り我が国のペイオフは1千万円。これでも「『貯蓄から投資へ』とは名ばかり」と証券業界の諸先輩社長が嘆かれます。イギリスのペイオフ、もともと随分高かったんですね。アイルランド政府が銀行預金全額保護という電撃発表で、ブラウン首相は怒り心頭。週末直ちに対抗策をとったもの。

宗教戦争とは言いません。が、明らかに保護主義合戦に入ってしまっている欧州金融事情。結果として、ユニバーサルバンクは守ってあげざるを得ないという欧州の事情が底流にあり、米国よりも破綻処理になりふり構わずという構図ゆえ、対米ドルでユーロのほうが銀行間のフォワード市場(スワップ市場)に安心感がある。その分、逆日歩が跳ね上がり続けている米ドルより空売りされやすい。よって、ユーロは対ドルで非常に弱いということになっております。

もし私の分析が正しいとすると、米国の金融が安定化し銀行間市場が落ち着きを取り戻すと、対ユーロでは高止まっていた米ドルが底抜けする恐れがあります。しかし、週末ご覧のとおり、バラマキ政策では金融安定化は無理。資金決済と金融商品ブローカー業務だけをグッドバンクとして残し、ヘッジファンドの真似事は良かれ悪しかれ独立してやりなさいという切り口を替えた新グラス・スティーガル法こそ今の米国金融に求められているのではないかと思いますが、何度も申すように私の意見は極々少数派。こうはなりませんので、米ドル暴落には意外と時間が掛かりますよ。
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2008年10月3日金曜日

金融安定化法案、下院を通過か?

9/29(月)金融安定化法案が下院で否決。3年前の我が国の小泉郵政解散のときの造反劇が単なる飯事として忘れ去られてしまう程、意外な与党共和党からの夥しい造反。それでも、恥を掻かされたのはブッシュ大統領よりもポールソン財務長官よりも、むしろ政策を抱き込まされた民主党オバマ候補だったのでは?

実際、オバマ候補の支持率は今週に入りマケイン候補に急迫される始末。ペイリン副大統領候補やペロジ下院議長の空気を読めない言論が撹乱材料たりうるかどうかは論じません。ちなみに、空気を読めない人材は企業組織に無くてはならない貴重な存在だっ、と言うのが零細企業経営者である七転び八起きの確信ではあります。

思い起こせば、①ベア・スターンズは救済⇒②ファニー・メイとフレディ・マックは救済⇒③リーマンは破綻⇒④AIGは救済⇒⑤ワシントン・ミューチャルは破綻⇒⑥ワコビアは救済、、、そして7000億㌦の金融安定化法案は与野党大統領候補まで抱き込み「根回し」をやり遂げ、下院での大量造反劇で否決。

全てが想定外、または政権末期のダッチロールだ、、、というのが一般の論調です。にもかかわらず、これでも筋書きのあるドラマである可能性を否定できないと疑うのが筆者の仕事であります。

ロシアに触発されても動かなかったグルジア情勢。筆者ブログは西側メディアが伝えない当該紛争の真相をお伝えしました。米政権は軍事的な負担や資源問題を含むロシアとの不毛な対立を見事に避けつつも、日本の殆どの無能メディアを自然と掌握し軍事専門家をしてロシア批判を繰り広げさせました。直後、オバマ候補の支持率はマケイン候補に急迫または逆転されるという事態が発生しました。

金融が政局となっている大統領戦直前の米国。ここで再び、オバマ氏率いる民主党が共和党の手練手管に弄された背景には、ファニー・メイとフレディ・マックという大衆迎合的なバラマキ機関が実に民主党陣営の恥部であるという実態があります。クリントン政権の財務長官でオバマ候補のブレインだとされるサマーズ氏もこの件になると途端に雄弁を失うことも思い出されます。

以上のお話は、筆者ブログを愛読して下さっている某上場会社の社長との昨日の談義の成果。本業は証券会社システムでいらっしゃいますが、話は不動産市況やM&Aのことまで及び、さすが上場会社の社長さんだと敬服するばかり。これからもお世話になります。

おっと、勿論、為替相場の話もしました。絶対的に弱含むと筆者が予想した米ドルよりも更に弱いユーロ。理由はユーロ圏の景況感だけではありません。銀行間市場の機能不全はむしろ米ドル相場にプラスなのです。少なくとも短期的には。。。。失われた10年・・・という言い方が嫌いな筆者ですが・・・ジャパン・プレミアムを要求された邦銀各行ですが、この間実に円高基調であったことと理由は殆ど同じです。解説は改めて・・・・・
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2008年10月2日木曜日

秋の夜長に欧米か

●ヨーロッパ各国の首脳、銀行救済案で意見が分かれる(10/1FT)
欧州全体に蔓延しつつある銀行破綻の嵐を食い止めるべく、各国首脳は10/4(土)パリに集結の予定。その前に、仏サルコジ大統領から「€3000億規模の銀行救済ファンドを立ち上げるべき」との提案が報じられたが、反発する声も多く、サルコジ氏も程なく撤回!?米国金融安定化法案の7000億㌦が主として「不良債権を切り離す」ことを目的としているのに対し、サルコジ案は銀行そのものを公的資金資本注入で助けるというもの。

ドイツ、イギリス、アイスランド、アイルランド、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、、、と銀行破綻と個別救済が相次ぐヨーロッパ。“市場原理主義”の米国と異なり公的資金の導入や国家権力の介入に抵抗が少ないから、、、との論調が多いが、EU統一精神には反する筈。産業界も「自分達は関税や補助金が撤廃され、のんびりしたヨーロッパをエンジョイ出来なくなって久しい。銀行(と農業)だけは例外、というのはもう我慢できない」という声が上がっても不思議ではない状態。

昨日、ベルギー当局に公的資金投入を受けることになったDEXIA銀行。わが国の公営公庫と似たビジネスモデルの同行のCFOが昔東京にいらした折お話する機会がありました。EU発足後、アイルランドが金融特区として金融機関の事業所税を極端に下げることで、欧州各国の金融機関のコールセンターを呼び寄せることに成功させたのはズルいゎ(怒)とおっしゃっていたのが印象的でした。

モラルハザード反対論者の小職としても注目せざるを得ない米国金融安定化法案のスケジュールは、現時点では、上院が将にこれから日付変更線に掛けて行なわれ、下院は《当初10/2(木)の予定が》10/3(金)にずれ込みと日本語ロイターが報じています。10/3(金)は注目(?)の雇用統計の後も秋の夜長となりそうです。
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2008年10月1日水曜日

金融安定化法案の否決で、主なコメント集

●NYダウの寄り付き反発-7000億㌦金融安定化法案に賛成の議員にとっては痛手かも(9/30CNBC)

ブッシュ演説もあり「修正案は通るだろう」という期待で米国株反発、第二の流血の月曜日の残忍な売り浴びせの半分を帳消しに、、、というのが一般の論調。

そんな中、日経CNBCは(フェニックス証券提供の)「夜エクスプレス」枠を柔軟に伸縮させ、ニューヨークからの生番組を取り入れつつ、時機を得た編成で視聴者の投資家心理に応えてくれました。

上記は、NYSE寄り付き中継中のCNBC本家の現場記者の皮肉たっぷりのコメント。彼は共和党右派の支持者でしょうか???

●「これは巨大な牛肉のパテの中に一欠片のマシュマロが混入されているようなもの。パテには目が無い俺も、このパテだけは御免だ」とジョージア州選出の共和党下院議員ブラウン氏(9/30NYTimes)

和食専門の筆者には判りづらい譬えですが、このブログで時々使わせてもらっている毒入り餃子だということがおっしゃりたいのでしょう。不良債権がマシュマロ程度なら問題ないような気もするし、日本だったらマシュマロ業界から失言騒ぎを起こされるかも知れません。これぞ「ごね毒」!
●法案否決で(米国株の時価総額という)国富が一夜にして1兆㌦失われた-ブッシュ大統領演説(9/30CNBCほか)

それに比べれば7000億㌦は安くて済む、というのが趣旨。これは非常に判りやすい説明、ブッシュ大統領のブレインは有能だ。。。

今朝の日経新聞の1面にも、「世界の株、ピークから1年で時価総額2000超円目減り」とセンセーショナルに扱われています。しかし、流通市場の時価総額が減るというのは人類全体が損をしているのでしょうか?国富、いや世界の富がドブに捨てられているのでしょうか?

発行市場と車の両輪をなす流通市場は確かに重要なインフラではあります。しかし、もし読者の皆さんが企業家だとして、元手300万円で事業を始め、幾多の苦難を乗り越え事業が成功し、2007年7月株式公開を実現、(極端な譬えですが)読者の皆さんは創業者株全株を売却して3億円を手に入れていとします。創業から株式公開までの間、配当はなかったとすれば、読者の皆さんは流通市場から2億7000万円という巨額の富を手に入れたことを意味します。勿論、努力の結晶であることは言うまでもありません。1年強経過した只今現在の時価総額は2億円になってしまっているとしましょう。流通市場は1億円の富を失っています。これは逆に言うと、株式公開が現時点であれば、読者の皆さんの富は1億7000万円に留まっていたという意味でもあります。

時価総額の目減りは、流通市場で売り逃げた投資家だけでなく、発行市場を良い時期に活用できた事業家にとっても、言葉は悪いですが流通市場からの富の収奪にほかならないのです。

これは住宅価格を含めた不動産相場にも当て嵌まります。不動産は「空売り」が出来ない資産だから、世界中の人たちが程度の差こそあれロングポジションだ⇒だから不動産相場の下落は世界全体の富の目減りだと信じ切っているひとが大勢いますが、これは全く詭弁です。

FXをやっていらっしゃる読者の皆さんなら、円安だから円資産が目減りしただの、円高だからデフレだデメリットだと評論家に悲観論を叩き込まれても、もう誰も騙されないでしょう。

ブッシュ大統領の「1兆㌦」発言も、モラルハザード政策を導く見事な詭弁ですが、これ以外にインターバンク市場の復活の方法がないのなら、まぁ良しとするか、、、
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