2008年12月31日水曜日

良いお年をお迎えください!

「米ドルの次の機軸通貨はユーロではなかろうか・・・」と私との対談で語ってくれた森永卓郎さん。そのご高説に100%与しているわけではないですが、クリスマス以降の年末相場でもユーロドルの動きは活発。FXには正月1日しか休みがないというのを実感できる市況です。

昨日、「2008年、読者の皆さまにとって最も心に残ったことは?」という一節で、リーマン破綻が、福田首相退陣「あなたとは違うんです」や四川大地震を抑えて堂々一位だったという話をしました。そこから話が反れて国防論議に移りました。FXと関係がなさそうで実に大有りな「我が国が非武装国家として成り立ち得るかどうか?」という議論は、来年いつか皆様と一緒にしたいものです。そのときは、是非コメント欄を開放して・・・ブログが炎上するでしょうか?

もし話が反れなかったら、本当は取り上げたかったのは北島康介選手の「何も言えねぇ」でした。何故かと言うと、北島選手の真骨頂である「有言実行」と対をなしていることと、オリンピック年に自分のピークを持ってくること。いずれも普通に出来ることではない、その果てに「何も言えねぇ」だからです。

「有言実行」~「何も言えねぇ」に対して、今年私はと言えば、年賀状で「2008年、フェニックス証券はベトナム株の取扱を開始する予定です」と宣言し、見事に「有言不実行」になりました。また全国各新聞に載りましたのでご存知の方も多いでしょうが、火中の栗を拾うべく親会社再建のために立ち上がりましたが、意半ばにして現経営陣によるクー●ター勃発で内定取消。自己責任を越えているとは言え、第三者がご覧になればこれまた「有言不実行」です。

一年間付き合ってくれた私の手帳は、赤、青、黒のボールペンで一年分読み返すのも大変なほどギッシリ詰まった数字や文字。このブログを始めるまでの4ヶ月間だけでも、上記2つの「有言不実行」を私は犯しています。例えばベトナム株であれば取次ぎ方法をどうしようか?決済をどうしようか?その決済方法は法令上認められるのか?等等、コツコツ詰めてきていよいよというときに新興国バブルが崩壊。実務の詰めが間に合わなくて良かったのか悪かったのか、それはまた別のことです。

「有言不実行」を恥ずべきものと自戒し過ぎて何も言わない、何もやらないというので済まされれば、それが最も人畜無害な生き方かも知れないし、今年以降暫く続きそうな縮小均衡の時代においては上手な生き方なのかも知れません。

「有言実行」の難しさと、それを乗り越える勇気の尊さを教えてくれた北島選手。彼もまた子供の頃から、全国の心無いライバル達から東京スイミングセンターの彼のロッカーに酷い苛めの落書き等被害に遭っていたこと、同じような悲しい足の引っ張りは国際大会でも大の大人である世界のライバルからもされていること、二種目連覇で略全レーンから北島選手を祝福に来たシーンの陰では、報道されない暗い影もある。それもまた北島選手が乗り越えてきた大きな挑戦であり、それゆえの精神力でもあるというお話を最後に、今年一年の感謝の気持ちを読者の皆さまにお届けしたいと思います。

どうぞ来年もよろしくお願い致します。よいお正月をお迎えください。
CoRichブログランキング

2008年12月30日火曜日

自衛隊とソープランド

七転び八起きブログ読者の皆さま、5月以来長々とした駄文にお付き合いくださいまして本当にありがとうございました。既に帰省されている方々や、旅行中の方々もいらっしゃるかも知れませんが、どうぞ良いお年をお迎え下さい。

さて、2008年、読者の皆さまにとって最も心に残ったことは何でしょうか?100年に一度の金融危機と言われた今年は余りにも変化が大きく、1つだけを取り出すのは難しいかも知れません。フェニックス証券が広告を出稿している日本語ロイターの投票では、やはりリーマン危機が断トツ1位でした。天邪鬼の私が陰ながら応援していた福田前首相の「貴方とは違うんです」は残念ながら、というか案の定、順位は低かった。忘れてはならない私が繰り返し申し上げてきた四川大地震も、他国のことだからなのか、発生したのが5月だからなのか、やはり順位は低かった。

ご本人の固辞により流行語大賞を逃した福田発言ですが、その前半の「自分を客観的に見ることが出来る」という部分のほうがより重要ではないでしょうか?「政権を投げ出した」「他人事みたいだ」という馬鹿な記者の質問に対する回答。何となく受け答えになっていないところが奥ゆかしいという点に加え、激しながらもここまで言い切れる人はいるでしょうか。自分達一人ひとりの置かれた立場で自分自身を客観的に見ることが出来ると言い切れれば、日本の社会や政治は随分まともになると思われます。

そもそも、我が国において最大の「他人事」は恐らく自衛隊では。賛否両論は当然ながら、田母神「論文」が「自衛隊は他人事で良いのか?」という問題提起をなし得た意義はとても大きい。ビートたけしさんの「TVタックル」は、昨夜登場した田母神前航空幕僚長を挟んで、マネージャパンMoney Japan+ビジネスアスキーBusiness Asciiの対談でお世話になった森永卓郎さんと日本共産党の穀田議員、片や自公議員の論戦は、地上波の限界を意識した絶妙な編集。逆に言えば地上波の限界への挑戦でした。

田母神「論文」と反対の立場に属する森永氏と穀田氏も、番組の中では当然触れられない「『日米軍事同盟』なかりせば一体どうするの?」という問いかけには全く異なる意見の筈。森永氏は「北朝鮮だろうかどこだろうが日本を攻めてきて日本人が全滅するというのならそれはそれで構わないではないか。憲法9条を守り通したが故に絶滅した平和主義の民族が昔居たのだ、と語り継げられれば良い」的な趣旨の発言をされたことがあります。これも一理あり、森永氏の発言の背景には、日本のような無資源国には攻めてくる軍事国家は居ないという前提があるのでしょう。穀田氏は、現在の日本共産党の公式見解は別として、同党が一貫して主張する『日米軍事同盟』破棄後はやはり独立した軍隊を持つべきだ(独立国家の定義だ)という考え方を持っていないとは想像できません(私個人の推測です。間違っていたらすみません)。

平和主義を押し付けてきた米国から傭兵を雇うという人類史上稀に見る偶然のうえに成り立った戦後日本の高度成長の枠組みが成り立たなくなったのは、冷戦終結後の我が国の有様を見れば明らかです。街を歩くときに、自分の身を守るために、銃を携帯していたほうが安全か、かえって危険か?これは百家争鳴でしょうが、小さい島国を取り巻く国際情勢に翻弄されざるを得ない議論であることは指摘せざるを得ません。

司会者ビートたけしさんの〆の言葉「自衛隊はソープランドだ」というのは見事なまとめでした。(以下は私個人の補足ですが)売春防止法に実質的に違背しているのに形式的に認めている検警察の背景には、性風俗を認めないと性犯罪が著しく増加するという苦々しい経験値があるからなのです。醜いものとして表社会から蓋をされられているタブーこそが、表社会の治安や平和を維持してくれているという点で自衛隊も同じだという趣旨でしょうか。

タブー視された自衛隊の士気を正常状態に保つために、田母神氏による教育、「論文」は避けて通れなかったという事情は、反対意見の人たちも理解をせねばならないでしょう。その上で、今更無視は出来ない中国等の反日感情(日本社会党の自爆テロだったと当ブログで申し上げた村山談話とリンク)と、当ブログでもしばしば取り上げた「歴史は戦勝国によってでっち上げられたもの」でその結果としての自虐史観との喧々諤々のために、昨夜のような番組は24時間でもやって欲しい。そのためにテレビ朝日はくだらないバラエティー番組は全部無くせば良いと思うのですが。
CoRichブログランキング

2008年12月29日月曜日

感謝と反省とお詫び

「チャリティ・オペラ・コンサート2008~世界の名曲をフェニックス証券からあなたへ~」は、昨日12/28(日)、多くの皆さまの応援に支えられ無事終了致しました。主催者を代表し、心から御礼申し上げます。

特に、昨日ご出演くださった演奏家の皆さんは、お聴きの通り、日本を代表する超一流のプロでいらっしゃいます。が、わたくしどもフェニックス証券のチャリティの趣旨に賛同してくださり、「出演料なし」(交通費のみ)という各プロにとって未曾有(みぞう)の条件で負担の大きい仕事をお引き受けくださいました。このことは、従前にもフェニックス証券のプレスリリースでご紹介しましたが、ここで改めて深く感謝申し上げたいと思います。ご来場のお客さまにおかれましては、水船桂太郎さん、豊島雄一さん、田村佳子さん、印田千裕さん、そして矢持真希子さんの、来年以降の芸術活動を様々な形で応援していただきますよう心よりお願い申し上げます。

さて、重要なお詫びと訂正がございます。昨日のプログラムの配布分の一部に、「後援:株式会社東京ドーム」と記載されておりますが、これは事実と異なります。事実はと申しますと、東京ドームの林社長様より「チャリティの趣旨に賛同する。是非聴きに行きたいのだが、あいにく先約があり無理。寄付だけでもさせて欲しい」という御申し越しがありました。会社の代表者としてのご意思であり、身に余る光栄と感じ入り、何とかご恩に報いることは出来ないかと、無い知恵を搾り出し、ささやかながら社名を掲載させていただいたのですが、あくまでも個人としてのご寄付であり、会社としての意思決定に基づいた行為ではない、というのが本当の事実です。

東京ドームの林社長様の個人のご意思に反し、社名を後援者としてプログラムに載せてしまったのは、完全に私個人の勇み足であり、深く深く反省するとともに、林社長をはじめお客さま各位ならびに、このコンサートを陰で支えてくださった多くの関係者の皆さまに心からお詫びを申し上げます。

「重要なお詫び」だけでなく、何せ初めての経験でありますので、開演前、開演中、開演後と、想定外のことが度々発生し、ドタバタの運営となりました。それでも、何とか終演まで導いてくれたのは、繰り返しになりますが、年末の貴重な時間を割いてお越しくださった沢山のお客さま、出演者の皆さま、縁の下の力持ちとしてバリバリ働いてくださったアルバイトの皆さんやフェニックス証券の社員の諸君、そして最後になりましたが社団法人才能教育研究会(スズキメソード)品川支部様からは「音楽を通じて人間教育と世界の平和」を“有言実行”された故・鈴木鎮一先生のご意思のもと陰に陽に多大なるご支援を頂戴しました。実は昨日のカンツォーネ「勿忘草」のヴァイオリン・アレンジ“年末特別バージョン”こそスズキメソードのお力によるものなのです。

そしてまた、東京の冬に相応しい美しい青空にも恵まれました。様々な反省とともに、すべてに感謝、ただひたすら感謝です。
CoRichブログランキング

2008年12月26日金曜日

チャリティ・オペラ・コンサート直前情報【其の四】

まずは読者の皆さまにご報告と御礼です。来たる12/28(日)フェニックス証券主催チャリティ・オペラ・コンサートのチケットは完売=売り止めとなりました。多くの方々に趣旨ご賛同いただきご協力をいただき、本当にありがとうございました。

さて、直前情報【其の四】は、引き続き「第一部 中高生と中高年のためのオペラ入門(!?)」を続けます。「カヴァレリア・ルスティカーナ」「愛の妙薬」「蝶々夫人」に続きまして、本日は「イル・トロヴァトーレ」です。

イタリアオペラにおける作曲家ヴェルディは、交響曲におけるベートーヴェンと同じ存在だなどと、その偉大さが称えられている大家が遂に登場。続いて取り上げる「ドン・カルロ」同様、吟遊詩人という意味の当作品は、ヴェルディの代表的なオペラです。実はこの「トロヴァトーレ」、私にとっては数少ない「チケットを買って観に行った」オペラのひとつです(通常、私はYouTubeでオペラの“勉強”をしており、殆ど金を掛けておりません)。そんなケチな私が、特段事前準備をせずに、日本語字幕を追いかけながら観たオペラの結末は、「何じゃこりゃ!?あり得ねぇ。ふざけるな!」という感想でした。しかしそれはトロヴァトーレやヴェルディを嫌いになることを全く意味せず、支離滅裂の物語の是非を超えて貫かれる全く隙のない音楽の作りと美しさで、むしろヴェルディの才気に魅了されるキッカケとなったのでした。

支離滅裂な物語を簡潔にお話するのは私の能力を超えております。大変素晴らしいサイトを発見しましたので、お時間のあるかたは是非こちらもご参考になさってください(12/28【日】の演奏会の後でもよろしいかと存じます)。

http://homepage3.nifty.com/operasuzume/Trovatore.htm

「隙のない音楽の作り」というのはモーツァルトのオペラ(例えば「フィガロの結婚」など)についても言われる褒め言葉ですが、トロヴァトーレについては少し角度が違うようです。登場人物毎に変化を聞かせたテーマ、情景や登場人物の心境に応じて繰り広げられる和音進行、この二つが縦糸と横糸のように整合的に織り成されている点。テーマというのはぶっちゃけ旋律ですけれども、これが変化しつつ全編に渡り繰り返される。この技法は、モーツァルト的な角度からは、或る意味手抜きなのかも知れませんが、私のような素人の音楽好きにとっては甘美な麻薬なのです。実際、この技法は、同じくヴェルディでは「仮面舞踏会」や「ドン・カルロ」等の後期の作品で発展し(「椿姫」では逆にこの技法が禁欲的にしか使われていないのが味噌だというのが私の独断と偏見)、プッチーニ(「ラ・ボエーム」など)やレオンカヴァッロ「道化師」で一層先鋭化し、今世紀の映画音楽やミュージカルでは完全に定着します。逆に言うと、映画音楽の元祖的要素を持つ劇音楽は、今日でも繰り返し上演されるヒット作またはロングランである傾向は強いのです。

日曜日は、女官レオノーラを横恋慕したルナ伯爵のアリア「君の微笑み」と、ルナ伯爵を拒絶していたものの決闘の末、伯爵軍に捕らえられた恋人マンリーコ(=吟遊詩人?)を救い出すために伯爵に貞操を差し出すというレオノーラと伯爵の二重唱「私の涙をご覧ください」の二曲をお届けします。

CoRichブログランキング