2009年1月8日木曜日

FXで夢を叶えよう

今日のタイトルは、珍しく、フェニックス証券の宣伝コピー。年初から2月いっぱいまでのキャンペーンです。口座開設をしていただき、どの通貨でもいいので、一回取引をしていただくと3000円のキャッシュバックというもの。宣伝コピーは、東欧通・中央アジア通で知られる(?)フェニックス証券の外国為替部長が考えたものです。

プレスリリースもしました。

プレスリリースでは、同時に、毎日お読みいただいているこの「七転び八起き社長のFXダイアリー」が1月31日に書籍化され出版されることもアナウンスしています。書籍の題名は、

『為替力』で資産を守ろう~世界を見る、経済の先を読む力がつく~

というものです。ブログの内容を抜粋し、現時点でも古びていない記事を中心に、テーマ毎に整理しつつ、日々ブログを読んでいただくときと同様の臨場感や緊迫感を失わないように、原則加筆訂正は殆ど行なわっておりません。森永卓郎さんや宋文洲さんとの対談、『為替力』が身につく用語解説など、書籍ならではの構成をお楽しみいただければと思います。

書店やネットでお買い求めいただければとても嬉しいですが、ちなみに冒頭のキャンペーン「FXで夢を叶えよう」の特別プレゼント企画にもなっております。どうぞご活用下さい。

今週は書籍の準備作業が大詰め。ブログの更新が順調ではなくて、まことに申し訳ございません。
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2009年1月7日水曜日

バーレーンの格付けと米財政赤字

●バーレーンを格下げ方向で見直し、ムーディーズ(1/6FT)
イスラエルのガザ侵攻で中東情勢流動化を受けての措置かと思い、記事を読んだら、全然逆でした。
原油価格の暴落による国家財政の負担増が原因とのこと。ガザ侵攻で原油が50㌦まで戻しているのはむしろプラス材料なのか。

バーレーンは中東諸国のなかでは、原油輸出以外の収入源の多角化が図られているほうだが、それでもピーク時の三分の一程度に低迷する原油価格では財政状態の維持は困難と見られている。ムーディーズの現在の格付けはA2。

もっとも、当ブログでは、格付機関はもとより信頼しておりませんが。

●アルコア、15,000人雇用削減(1/6WSJ)
期間社員含む全従業員の15%に相当。

●米財政赤字、2009年度は1兆㌦へ(1/7Reuter)
財政赤字の天井がなくても、さすがに自動車やアルミそのものを公的資金で買い上げるわけにはいかないでしょう。
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2009年1月6日火曜日

天然ガスと集団的自衛権

●ウクライナに対するロシアの天然ガス供給制限に対し、EUは中立を保つ(1/5IHT)
ロシアとウクライナの間の天然ガス価格に関する条件闘争は3年前にも起きていた。前回はウクライナ側を支援したEUだが、今回は仲裁役を務めず中立を決め込む、とインターナショナル・ヘラルド・トリビュン紙。

EU圏は、そのガス需要の25%をロシアに依存しており、更にそのうちの80%がウクライナ経由。月曜日ロシアが通告した更なるウクライナへの締め付けはヨーロッパを打撃する。特に、ブルガリア、ルーマニア、チェコ、ハンガリーは直ちに緊急事態に陥るとの報道も。

それでも、今回は、

★ロシアはエネルギー価格の暴落に直面していること

★ウクライナは経済危機に直面しており、ロシアが要求しているガス価格を支払うとなると、IMFが合意した経済援助資金(約160億㌦)相当分が一挙に枯渇すること

紛争当事者双方に弱みがある点が、2006年の同様の紛争と異なる点だと指摘。

昨日発売の「週刊ダイヤモンド」。長期連載中の櫻井よしこさんのコラムのなかで外相・陸奥宗光の言葉「兵力の後援なき外交はいかなる正理に根拠するも、その終極に至りて失敗を免れざることあり」を取り上げています。櫻井氏は「日本が、米中合同管理体制への従属を避ける道はたったひとつ。外交と軍事は一体であることを認識し、自衛隊を国軍とすること」と説きます。

その先、一足飛びに「集団的自衛権の行使を可能にする」ということに結びつける。または万能の切り札としての集団的自衛権が先ずありき、という議論をするから、非現実的な抵抗に遭うのだというのが個人的感想ですが。自衛隊はソープランドと同じだ、違憲だが合法だ、という解釈改憲の泥沼からはそろそろ卒業しなければならないのは事実。しかし、自衛権と集団的自衛権の差は著しく、そこに歯止めを掛けて、大国の論理で自衛隊派遣について日本国独自の裁量を奪われるようなことがあっては絶対にならない。余計なおせっかいであったイラク介入で力尽きた米国が、もはやイスラエル対ハマスに実効的な介入が出来ない状況に陥る中、前掲の天然ガス紛争。世界が多極化すると思われる中、与野党論客には大国の利益代表ではない立場で議論をしてほしいものです。

陸奥宗光の言葉「兵力の後援なき外交」。「兵力」と並べて、エネルギーなど天然資源も加えておくべきと、前掲のインターナショナル・ヘラルド・トリビュン紙は物語っているようです。
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2009年1月2日金曜日

明けましておめでとうございます

今朝も外国為替部の職員に混じって元気に出勤。御屠蘇を飲んでいる場合ではありません。

日頃お世話になっている日経CNBCのスタッフの皆さんも恐れる(!?)テレビ酷評家の七転び八起きは、年末年始の地上波番組の大半は無視しつつ、お決まりのNHK「紅白歌合戦」、テレ朝「朝まで生テレビ元旦スペシャル」、最後にNHKスペシャル「激論2009 世界はどこへ そして日本は」を観“戦”。

紅白歌合戦で天邪鬼の私がじぃ~んと来たのは、前川清さんがクールファイブを背景に懐かしの名曲「東京砂漠」を歌ったところ。2008年ヒットしたかどうかに拘らず選曲することが目玉だった2008年の紅白。前川清さんに「東京砂漠」を歌ってもらうことは先月のダイア建設倒産よりも以前に決まっていたのでしょう。

かつて民放局名自体タブーであったNHK。近年は著しく態度が柔らかくなってきているのは読者の皆さまもお気づきの通り。それにしても、懐かしの名曲以外は殆どCM楽曲。崖の上のポニョにしてもあそこまで大仰に宮崎アニメに時間を割いて日本テレビにエールを送る必要があるのか?七転び八起きブログの10倍以上読まれているから嫉妬しているわけではないですが、羞恥心+PABOに混じって出てきたフジテレビの旗は一体何なのか?地上波民放各局が構造不況の傷を舐め合うべく、お互いがお互いの番組を取り上げる品の無い相互乗り入れの動きに、NHKが同調する必要は全く無い筈。

さて、ここからが本題。テレ朝とNHKの討論番組はいずれも派遣切り問題に時間が割かれていました。派遣切りが終身雇用と年功序列の既得権益にのさばる正規雇用(家族としての正社員)の犠牲であるとか、非正規雇用を法律で禁止したところで失業率が上がるだけ(敢えて私が補えば、旧法借家を定期借家に根こそぎ置き換えるのを旧社会党が拒んだ結果、家賃利回りが高止まっただけで社会厚生に何ら貢献していないのと同じこと)という規制緩和論者の主張は多勢に無勢で針の筵に立たされていました。製造業の非熟練労働(単純労働)の分野においては直ちに同一価値労働同一賃金を適用すべきだし、ワークシェアも可能で、企業経営者がそれを厭う理由はないでしょう。

問題は、非熟練労働分野において日本はアジア諸外国に比べ圧倒的に比較劣位にあるということ。熟練労働の分野においてはワークシェアは不可能であるということです。私は自民党政権の肩を持つ義理もへったくりも無い人間ですが、非正規雇用の範囲を拡大したこと、自動車が売れなくなったのは有効需要(≒公共工事)が足りないからだという自民党に対する失政批判は的を射ているでしょうか?自動車が売れないのは景気循環よりも石油価格急騰(今はピーク時の半分なのに売れないのですから!)よりも多機能化・高性能化の行き詰まり(これはエレクトロニクスにも当て嵌まる)と(特に若年層の)生活様式の変遷でしょう。

バブル世代以前に新卒採用され終身雇用と年功序列が未だに当たり前だと考えている既得権者の多くは、自動車は若い頃の夢でありステータスシンボルであり、より短視眼的には女性にモテるための道具だった。それが現在は携帯でのコミュニケーション能力に置き換えられた。違うでしょうか?

私は民主党枝野議員や日本共産党穀田議員の人道的な視点は嘘ではない、政治家にありがちな票田を目の前にした偽善ではないと信じて疑いません。しかしながら、両先生の派遣切りへの対応:「正社員ですら倒産寸前では解雇できる。内部留保をシコタマ溜め込んだ企業が一期赤字くらいで派遣切りは許されない」(枝野氏)、「非正規雇用の範囲を製造業分野に拡大させてしまった以前の法律に直ちに戻すべき」(穀田氏)は間違いです。むしろ改革が不十分で正規雇用分野における終身雇用と年功序列が解体されていないことが問題なのです。

今世紀初頭のITバブル崩壊時に我が国を襲ったデフレで、メガバンクがあと一つでも少なければ、銀行員正社員の数をもっと減らせられていれば、日本の銀行はサブプライム関連商品をはじめとする運用益に頼らずに済む経営体質を手に入れていたかも知れない。ポールソン財務長官がリーマンを破綻させたのはゴールドマンサックスのOBとしてかも知れないが、ビジネスモデルが臨界点に達していた投資銀行の間引きは避けられないという判断が根底にあったと思われます。本日報道されているバンカメによるメリルの買収完了。ここでも、買収側の筈のバンカメ職員にも解雇の波は容赦なく打ち寄せているのです。

若年層の生活様式については、アルコールを飲まなくなった。特に麹臭漂う日本酒が敬遠された。よって全国の酒蔵がどんどん消滅し、杜氏さんの数が過去5年で半分以下になった、という話を当ブログでしました。中小零細企業の廃業や倒産は、派遣切りと全く同じ扱いであり、大企業にのみ許された終身雇用・年功序列と対をなすものです。しかし腕利きの杜氏さん達は、現実を受け入れ、異業種異分野に活路を求め再就職を志していらっしゃいます。決して彼等からは、日本酒が売れないのは有効需要が足りないからだとか、飲酒運転の規制強化はやり過ぎだとか筋違いの言い訳は聞こえて来ないのです。

規制緩和論者の鬼の首を取ったかの如き「会社は株主の物ではない」という議論。日本株の下落幅が金融危機発祥の地米国よりも酷いのは外需頼みだったからという議論。このような感情論が横行する風土そのものが日本株の低迷(純資産倍率1倍を割り込んだ上場企業の多さ)の原因なのです。「赤字に陥ったからといって、内部留保が枯渇するまでは首切りや配置転換や業態転換をしなくても良いんだよ。法律が守っているから」と民主党や日本共産党に応援していただければ雇われ社長の仕事は随分楽になります。でも、そうしたら起業家や株主は日本から益々ソッポ向くでしょう。失業者の再雇用に最も必要な資源は、公共事業でもなければ社会保障でもない。新たな産業を生み出し育てうる優秀で果敢な起業家や経営者なのです。

最後に、誤解のないように所得再分配と雇用のセーフティネットについて申し添えます。派遣切りに遭遇している人達の殆どが、生まれ育った境遇が原因(親が貧しく教育機会に恵まれなかった)だとすれば、つまり格差の“拡大”だけでなく、格差の“固定化”(貧困の再生産)も、現在の日本では進行してしまっているという客観的データがあるのであれば、所得再分配(累進課税強化と生活保護強化)と雇用のセーフティネットを応急的に強化し、格差逆転可能な社会インフラを築くべきです。確かに、東大生の親の収入が、慶大生のそれと同様、全国大学でトップクラスという現状は打開しなければなりません。ちなみに私は中学生時分から進学塾や予備校は、教育の機会均等を保障した憲法に違反すると彼方此方で主張し、同級生達からそこまで言うなよと咎められたものでした。

しかし一方、世の中悪いことばかりではない。「コネ採用」という言葉、今では死語だと信じたい。カネ+コネ+学歴がないと大企業には入れないという時代が終わったのは、失われた10年の米国からの外圧やらグローバル競争のお陰ではないでしょうか。東大卒だから企業パーソンとして優秀な筈だと思い込んで採用する大企業の経営者や、重役や大株主や大口顧客の子息だから面接で特別待遇しなければと考えている人事担当が未だ現存したとしたら、そんな会社はこれから数年の不況のなかで間違いなく滅びるでしょう。

公教育の充実(含む貧困層への教育バウチャー制度)だけで格差逆転可能な社会が実現するとは言いません。が、“良い学校を出て一流企業や一流官庁に入れば死ぬまで安心”という戦後長く続いた日本社会が瓦解したことは決して悪いことではない。むしろこのガラガラポンはもっと進めるべきであり、人生の節目節目に逆転可能なチャンスがある制度設計こそ、グローバル化の正の遺産。この側面を忘れて、規制緩和論者を罵倒する堰を切った声・声・声に騙されてはいけない。

やはり長くなってしまった年頭所感。どうか今年もよろしくお願い致します。
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