2009年1月30日金曜日

為替操作国呼ばわりされた中国と偽ドル工場呼ばわりされた北朝鮮

●為替操作国と名指された中国、米国新政権に対して、最大級の非難-欧州外遊中の温総理(1/29FT)
ダボス会議出席をはじめとする欧州各国歴訪で、自国に次ぐ世界2番目の輸出大国ドイツを訪れた温家宝総理。メルケル首相との対談後の記者会見で「人民元政策は市場のニーズに合致したものであり、柔軟性に富んでいる。

先週、ガイトナー米財務長官が、長年の“タブー”を破り、中国に対して、輸出を保護するために人民元を人為的に操作していると批判したことに対する声明。世界の為替相場がジェット・コースターのようなボラティリティに晒されているが、それが中国のせいにされるとはけしからん、と。

ところで、温首相が訪ねたドイツは、ほんの20年弱前までは半分は共産圏でした。2月号のFACTA(月刊:ザ・ファクタ)で、人気コラムを連載中の手嶋龍一さんは、東ドイツ出身の欧州中央銀行(ECB)政策担当者をベルリンまで訪ねてきた北朝鮮高官が、

「わが朝鮮民主主義人民共和国が偽ドルを刷っていると中傷するものがいる。笑わせてはいけない。偽ドルというが、ニクソン・ショックで金とドルの兌換をやめてしまったドル紙幣のどこがホンモノだと言うのか」

と語ったという話を伝え聞いたと書いておられます。偽物のようなホンモノ、ホンモノのような偽物。このテーマは、昨年来、当ブログで追っかけていたものですが、北朝鮮高官の「不換紙幣自体が偽物」発言はさすがに詭弁。しかし、通貨とは何ぞや?不換紙幣とは何ぞや?基軸通貨とは何ぞや?なかなか痛いところを突いた、見事な詭弁です。

西側社会への意外にも太い地下水脈、贋金作りという大罪を平然と弁護する詭弁能力。勿論、皮肉で申し上げているのですが、北朝鮮の国力はあなどれないと感じます。

【本日最大のニュース】
わが処女作「“為替力”で資産を守れ!」(アスキー・メディアワークス、1,260円)が、いよいよ本日発売開始となります。昨日今日のブログの土台となっている、深くてわかりやすい経済その他の読み解き術が満載の書籍。

今日の東京はあいにくの雨ですが、傘をさしてさっそく「書店へGo!」

ついでに、

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2009年1月29日木曜日

意外とミーハーな私【号外】

只今、打ち合わせ先から銀座線で会社に戻ったのですが、日本橋で地下鉄から降りたところ、福井日銀前総裁が乗り込んでこられました。先方は、高島屋の買い物袋を持っておられ、当方は、フェニックス証券謹製のエコ・バックを偶然持っていたので、「これからはコチラをお使い下さい」と差し出そうかと一瞬考えましたが、どうしても直ぐにトイレに行きたかったので諦めました。

福井前総裁を間近に拝謁するのは実に17年振り。初回である前回は、福井氏が日銀理事として金融制度審議会に出席されていたとき。大蔵省(当時)の一室で、色んな人が色んなことを言うのですが、その中で福井理事(当時)の発言は断トツに切れ味があったのを今でも覚えています。

果たして、グリーンスパン氏が五番街で買い物をしたあと、地下鉄で家に帰るでしょうか?細かいことを言うときりがないですが、日本は良い国だと一瞬思った、夜の一こまでした。速水総裁の時期の議事録が公開され始めています。そのうち、福井総裁時期のも詳しくわかるわけで、とても楽しみですが、そのころは日本は景気が回復しているのでしょうか?わたしは、日本の景気回復は、中国より遥かに遅く、米国にすら先を越されると見ています。短期=円高、長期=円安。そのココロは、是非、『“為替力”で資産を守れ!』を御笑読ください。
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2009年1月28日水曜日

FX業者は絶滅するのか!?(其の参)

昨年の日本経済新聞、今週の読売新聞、NHKの報道にもありました

「FX会社の顧客資産に、《証券会社並みの》全額信託保全を義務付けへ」

の話。いよいよ来週にも、内閣府令改正案が金融庁から公表され、同時にパブリックコメント募集となりそうです。

改正のポイントは3つ。

①FX顧客から預った証拠金(=顧客資産)は、全額、信託銀行で区分管理されなければならない。

これまでの区分管理ルールは、預金(但し別名義口座)、一部信託(残りはカバー先の外国銀行等への差入証拠金)という方法が許されていたのが、今後は駄目になるということ。

最大の論点だったLG(Letter of Guarantee=信託銀行がカバー先の外国銀行等に差し入れる保証書)方式が認められるかどうか、の結論も、原則駄目ということになりました。原則に対する例外は、債務不履行時のLG実行の際、カバー先債権が顧客返還債権に劣後する信託保全のみ。

LGに依存して《全額信託だぁ!》と顧客保護をアピールしていたFX会社にとっては、茫然自失となるルール改正なのです。

②ロスカットルールが存在しない業者、または機能していない業者に対する取締り。

対面中心のFX会社に該当業者が存在するらしく、当然のルール改正だと思われます。

③極端な低スプレッド、極端な高レバレッジを標榜しているFX会社に対して、適正なリスク=リターンのビジネスになっているのかどうか監督監視を強める

最後のポイントは内閣府令改正ではなく、監督指針改正で対応するそうです。

金融庁としても、上記のうち特に①が、FX業界に凄まじい激変をもたらすことは承知のうえです。すなわち、
①’LG方式は認めるが、全額信託は義務付け
①”一部信託(+カバー先預託)は認めるが、預金は認めない
という比較的緩やかな規制強化案と比較検討していたものの、まさしくリーマンショックにより、LG方式を特別扱いする道理は消えた。よって最も厳しい規制強化案に落ち着いたと考えられます。

今後の猶予期間中に、増資等により自己資本規制比率を増やせる業者がどれだけあるかにもよりますが、現時点では、区分管理に関して①”に落ち着いていたとしても、業界の3分の1以上が、①’であれば3分の2以上が廃業または業務停止に追い込まれるという意見があります。

ましてや、今回の結論①では、生き残れるのは健全経営の極々僅かなところに留まってしまう
でしょう。パブコメで大手を含む殆どの業者からの反論-特に《LGだけは全て認めろ》等-が予想されますが、逆に、「有事でのカバー先優先のLG」は認められなくなるぞ、と金融庁に指導され、わざわざ高コストな区分管理方法に変更した優良業者にとっては中途半端な妥協は許されないでしょう。

今日のブログはフラッシュニュース。本来はもう少し背景なり、区分管理の意味合いや重要性、そして上記③の「向こう見ずなスプレッド競争やレバレッジ競争」への影響について解説をしたいところです。私自身は、幸いにも、こうした動向を相当適度予見することが出来て、FX会社を経営してきたつもりです。

おかげさまで、明後日発売の『“為替力”で資産を守れ』で、今日のフラッシュニュースと同時に解説申し上げたい内容を、一章を割いて、たっぷり書かせていただくことが出来ました。FX取引に関わりのある皆様、どうぞ書籍をお手にとってご覧になってください。

参考過去記事:
FX業者は絶滅するのか!?(其の壱)
FX業者は絶滅するのか!?(其の弐)
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2009年1月27日火曜日

為替だけではない米中の保護主義合戦の火ぶた

●ガイトナー氏を財務長官に正式指名、米国上院(1/27WSJ)
先週、中国に対して経済「冷戦」の宣戦布告をし物議を醸した同氏。オバマ陣営の閣僚人事のなかで最もトラぶった財務長官ポストがこれで解決したとWSJ紙はブレイキング・ニュースで伝えました。

●人民元問題で論争を避ける、IMF長官(1/26FT)
「為替操作国」だとレッテルを張るかどうかが問題ではない、とドミニク=ストラス=カーン長官。しかし、「中国政府は為替操作を自覚しているのは明らか。人民元が実力以下にしか評価されておらず、より柔軟な変動相場に晒されるべきだとIMFは繰り返し主張してきた」とFT紙とのインタヴューで答えた。

人民元を巡っては、IMFは2007年に「米国政府寄り」に政策転換をしているが、それ以前のIMF首脳は、米国政府の代弁者としてIMF自体が人民元引き上げを扇動する動きを批判している。

●化石燃料依存からの脱却を-オバマ新大統領(1/26FT)
自動車の燃料効率の基準をより厳しくする一方、米国内各州に対して温暖化ガスの削減目標を設定。

温暖化対策を怠っていたブッシュ政権から大きな政策転換だとFT紙は報じるが、新大統領は「中国とインドも同調することが必要。全世界の協調なしに、米国がひとり温暖化対策に踏み切ることはありえない」とも語っている。

真面目な車作りを続けてきたメーカーにとっては、燃料効率と温室効果ガスの基準厳格化は買い替え需要を煽るのでプラスの材料の筈。しかし、旧ビッグスリーにとっては、肺炎患者が乾布摩擦を処方されるようなものかも知れません。

ブッシュ政権と異なり、原油高政策を採る必然性のない(?)オバマ政権としては、必ずしも中国とインドを牽制することなく、自国完結型の環境政策をぶち上げても良かったのではないかと思うのですが、、、政権発足後、まだ1週間足らずで、米中は為替と環境と両面で軋み始めております。
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