2009年6月4日木曜日

FXレバレッジ規制と「ベター・レギュレーション」そして『大証FX』

明日、大証FX参加のための「登録の種別の変更」の申請に行って参ります。取引所FXを取り扱うには、第一種に加え、第二種の金融商品取引業者でなくてはならないのです。

金融庁と言えば、先日の佐藤長官の記者会見
http://www.fsa.go.jp/common/conference/com/2009a/20090601.html

FXについてだけでなく、今日の我が国金融の様々な綻びを走馬灯のように味わえる秀逸なオムニバス。レバレッジ規制に対して、「ベター・レギュレーションという観点から如何か?」という記者の質問への回答の中に、金融ビッグバン(特に、証券会社の登録制と外為法改正)以来の“正流”と逆流、そして国会議員と民間金融ブローカーという登場人物との舞台のうえで狂言回しを演ずる監督当局の思いがジワジワっと読みとれます。
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2009年6月3日水曜日

フィアット=クライスラーに「ちょっと待った!」

一昨日の「七転び八起き」ブログで、クライスラーがフィアットへの事業売却で早くも連邦破産法11条保全命令が撤回される見通しだとお伝えしたばかりでしたが、フィアットにとって飛んだ邪魔者が現れました。WSJ紙の臨時速報によると、「『伊フィアットへの事業売却』を軸とした連邦破産法11条によるクライスラー再生案」に異議申し立てをしたのは、インディアナ州年金基金のグループ。教職員の退職金の運用その他を預かっている大口債権者曰く、「自分たちの額面42百万㌦のクライスラー向け債権は担保付なのに、配当が額面比たった29%とは。。。無担保債権者の代表格、UAW=全米自動車総連が債権カットの見返りに新生クライスラー株を割当られるくらいなら、担保付債権者の配当を増やすべきだ」と。

この事案は、プレパッケージ型(受け皿フィアットを事前に用意しておく)倒産ですら、モラルハザード回避という点では万能ではないという、倒産法の難しさを抉っています。

我が国で言えば、倒産法には、破産法、民事再生法、会社更生法や会社法(特別清算)等、数あれど、担保付債権者が倒産手続きとは独立して担保物件を任意に売却できない(別除権が認められない)のは会社更生法だけ。(共益債権その他の問題を無視すれば)、担保付債権者の配当が100%に満たない限り、無担保債権者の配当は0%。その原則を曲げてでも、関係者協議により破綻企業の再生課題を優先するだけの社会的な意義があるかどうかは一概には断定できない問題です。

尤も、こちらのインディアナ州教職員組合のハゲタカ様、「クライスラーには再生の価値が無い、破綻による清算にすべきだ」という正論を吐いておられるというよりは、2008年7月に誰かしらから購入した債権(@額面の43%)が、29%に留まる配当だと大損が確定するので往生際悪く抵抗している、ということのようですが・・・

伊フィアットは、今月15日までに“更生終了”することが受け皿(スポンサー)になってあげる条件だとしているので、本件異議申し立てでゴタゴタが長引けば、GMのごとく、“法的な無法状態”になりかねません(尚、無法状態とは言い過ぎ。11条申請が受理されており、債務者クライスラーの占有の下、米国財務省が資金供給を行なっているわけですが、同ハゲタカ教職員組合は「金融機関でもないクライスラーへのDIPファイナンスにTARP(金融安定化法案の7000億㌦)を流用するのは違法だ」とまで罵っているようです)。

ところで冒頭、「フィアットに思わぬ邪魔者が・・・」と書きました。実は、邪魔者のお陰で再生計画が“御破算”になって、それでもクライスラーを買いたくてしょうがないという状態であれば、暖簾代は寧ろ安く収まるのかも知れません。本当の邪魔者は、「トヨタならもっと高い暖簾代を払える。プレパッケージは不公平だ」と待ったを掛けること。今更それはないでしょうが、或る程度はブラフが可能。我が国では東ハト倒産の事例で、プレパッケージされていたユニゾン・キャピタルが再入札の結果、事前譲渡価額より48億円をも上回る負担を強いられるという珍事がありました。否、資本主義たるもの、それが普通で、長銀(⇒瑕疵担保条項で悪評のリップルウッド)のときには誰ひとり「ちょっと待った!」が現れなかったのは何故でしょう?
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2009年6月2日火曜日

【東京証券取引所】第三者割当に対する新たな規制案

「七転び八起き」が前々職で大変お世話になった弁護士の吉村龍吾先生が、“第三者割当増資”規制案(by東証)を送ってきてくださいました。
東京証券取引所における第三者割当に対する新たな規制案の概要
このレポートのなかで、特に印象に残ったのが、「大規模希釈化や支配権の移転が取締役会レベルの判断でこれまで容易に行われてきたことに対する重大なメッセージ」とのコメント。ハゲタカなどの強欲こそ、米国発金融危機の戦犯だと溜飲を下げている場合では、少なくとも株主の利害を無視した保身の取締役会にとっては、ないことを意味しております。
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2009年6月1日月曜日

GM連邦破産法11条申立ては日本時間今夜9時?

Kマートなどの大型倒産事例の経験者、アル・コッホ氏が、同申請直後に企業再生請負人として指名されるとWSJ紙の観測。

コッホ氏は、既にこれまでアウトサイダーの立場でGM経営陣と定期的な打ち合わせに参加しており、GM清算時のシミュレーション分析を担当。無担保債権者への配当はゼロだ、との分析結果だったとは、とある筋の情報。

日本時間今夜9時(米国東部時間午前8時)のチャプター・イレブン申請よりも、注目したいのが、日本時間深夜(午前0時55分~)のオバマ大統領の演説。伊フィアットがスポンサー(再生管財人)として内定(プレ・パッケージ)されていたクライスラーの事例と異なり、GMには現時点で民間ベースの引き取り手はいない(辛うじて、独オペル⇒加マグナくらい)。上述のコッホ氏が挑戦しなければならない最大の仕事は、旧GMの、サタン、ハマー、サーブ、ポンティアック等のブランドや20個もの工場の売却。

有名ブランドや資本投下済の工場が廉価で「ばら売り」されるのなら、と甘い期待を寄せてはなりません。自動車産業の“ハゲタカ”は楽ではないのです。記憶に新しい、クライスラーを損切った独ダイムラー。90年代においては英国名門(?)ローバーを買収するも“ハゲタカ”に僅か10ポンド(2000円以下!)で見切り売却させられた独BMW(その後も、“MGローバー”は経営再建を果たせず、“ハゲタカ”は失敗に終わる)。

オバマ大統領の趣旨は、「倒産はやむを得ないとしても、廃業は避けたい。そのために米国は国家介入せざるを得ない」という方向だと予想しますが、新GM(ガバメント・モーターズ)の車なんて、誰が買うのでしょうか?

今朝のWSJ紙オンライン版のトップ面は、上記GMの最新情報と、クライスラーがフィアットへの事業売却で早くも連邦破産法11条保全命令が撤回される見通しとの報道、そしてトヨタ・レクサスの新型車の広告宣伝、と自動車関連の情報満載でした。
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