2009年8月5日水曜日

イチローとチヒロ-「クールジャパン」の尖兵


昨年12月に開催させていただいたフェニックス証券主催チャリティ・オペラ・コンサート~世界の名曲をフェニックス証券からあなたへで特別出演をしてくださった我が国ヴァイオリン界の若手ホープ印田千裕さん。プロのオペラ歌手の皆さん同様、ギャラなしでご無理をお願いした御礼をしなければならない立場なのに、逆に素敵なサロンコンサートに呼んでいただきました。

LOHASを提唱し続ける雑誌ソトコト株式会社木楽舎 取締役社長日谷潔さんに心から感謝)の取材収録を兼ねた「ロハスクラシック音楽サロン」。等々力渓谷脇の中島薫さんの御自宅は都心とは思えない自然溢れる環境。実際、渓谷に鬱蒼と茂る木々から木漏れ日とともに蝉時雨までがサロンに届きます。クラシックのコンサートは外部の雑音を遮断して鑑賞するのが通常ですが、超一流の音楽にとっては自然の“ざわめき”が邪魔になるどころか寧ろ妙なる調和を醸しだすのだと教えてくれたロハスな空間でした。

「ロハスクラシック音楽サロン」だけでなくシャネル・ピグマリオン・デイズ・クラシックコンサートもプロデュースされている坂田康太郎さんが過不足のない司会進行。敷居が高いと思われがちなオペラやクラシックを何とか身近な存在にしたいという坂田さんの仕事振りに100%共感します。

フェニックス証券のチャリティを終えた後、東京文化会館でのリサイタル、米国公演、NHKFM「名曲リサイタル」出演等、大活躍の印田千裕さんの凄いところは、前述のチャリティで聴かせてくれたサラサーテやパガニーニの超絶技巧や、マスネ(タイスの瞑想曲)その他オペラとのシナジーの演出という器用さだけでなく、これまで(世界が注目していたにもかかわらず)日本ですら埋もれてしまっていた日本人作曲家の作品を掘り起こし自らの手で広めようとしているところです。キャリア途上のクラシック演奏家にとってプログラム構成上無名の曲を沢山取り入れるというのは興業的には大きなリスクを伴うにもかかわらず、です。その積極果敢な印田千裕さんの姿勢を、プロデューサー兼司会の坂田康太郎さんが素敵にお披露目してくれていたのが印象的でした。

サロンでは、伊藤(及川)哲也さんセレクトによるワインを頂きながら、株式会社テレネットの目黒社長(本当に久しぶり。御縁に感謝です)、株式会社第一物産の黄恵蘭社長(キムチを買いに行きます)、松竹株式会社の吉積サイモンさん(私の100倍歌舞伎に詳しいイギリス人)、株式会社チャイナアクセスの嘉賀宮社長、三菱商事証券の相宅社長、株式会社ウェーブの梶原取締役、そしてファクタ出版株式会社の宮嶋代表取締役と暫し歓談を楽しませていただきました。

「クールジャパン」の尖兵は、野球(注)ではイチロー、ヴァイオリンではチヒロだとの思いを馳せたひと時でした。
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(注)クールジャパンの定義は良く判りません。スポーツに用いることは通常無いかも知れませんが、イチローの芸術的な打撃と守備に日本人らしいクールさを認め表現させていただきました。サムライとしての尖兵は野茂英雄でしょう。
(注)ソトコトの取材は別の月のものも同時開催されていて、そちらは同じく坂田さん司会でソプラノの安藤赴美子さん。驚くべき声の持ち主です。

2009年8月4日火曜日

バンカメに罰金?メリル買収に絡んで・・・

リーマンブラザースの破綻と同じ日にメリルリンチ(救済)買収を発表したことで全米1位の銀行に躍り出ることになったバンカメ。米SECが偽計取引だとして33百万㌦の罰金を科したのは、

★2008年11月に「500億㌦でメリルを買収したい。メリルには役職員への年末ボーナス等を合併期日まではバンカメ側の同意なしには払わせない」としてバンカメ株主の同意を書状で求めていた。

★ところが実際にはバンカメはメリル側が58億㌦のボーナス支給を既に認めていた(米SECによると)。

★58億㌦というのは買収額の12%にも相当する。ボーナス支給の承認は株主宛には配布されなかった別の書状で明らかだと。

★2008年12月5日にバンカメ側もメリル側も合併を承認。その3日後にメリルはボーナス支給(36億㌦)を決定。支給日は12月31日で合併期日の前日。直後にメリルは2008年の年次決算276億㌦の赤字を発表。

以上はWSJ紙の要約。FT紙によると、バンカメは(というかルイス前CEOほか前役員陣は)本件で別途、株主代表訴訟を抱えている。

バンカメの前CEOルイス氏と言えば、メリル買収はバーナンキFRB議長とポールソン財務長官(当時)に脅されて不承不承決めたものだった。両高官の議会証言は済んでいますが、まだ疑惑が晴れたとは言い切れないなかでの、今回のSECによる調停。我が国の失われた10年以前にみられた伏魔殿が米国金融にしっかり存在しています。

関連記事
http://phxs.blogspot.com/2009/07/blog-post_16.html
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2009年8月3日月曜日

レバレッジ規制へのパブコメと金融庁の回答

実は、先週金曜日に日経CNBCで生本番が始まる前、簡単な打ち合わせで「レバレッジ規制のほうはパブコメと金融庁の回答はまだなんですよね」とコメンテーターの直居敦さんから聞かれ、「現時点ではそうなんですが、何となく今日あたり出てもおかしくないんです」と答えてオンエアとなったのでした。
案の定、勘が当たっており、番組中のレバレッジ規制に関する解説(キャスターの原田恵理子さん)の原稿から「近々公表の予定」というのを削除しておいて良かったということになりました。

話題のパブコメはこのように金融庁のホームページに載っています。
http://www.fsa.go.jp/news/21/syouken/20090731-6/01.pdf

これほど関心の高いパブコメは稀有なせいか、極めてユニークな内容になっています。普通のパブコメは、法令解釈に関する質問とか、法令引用等のミスプリの指摘が殆どなのですが、レバレッジ規制に関するパブコメは、「そもそも反対」「いやいや賛成」という総論的というか初歩的なコメントが多数寄せられていることが特徴です。

私は番組でレバレッジ規制は「最善ではないが次善の策だ」と申し上げました。それでも敢えて賛成論のなかにいい加減な論拠を持つコメントも混在していることを指摘しておきたいと思います。そのひとつが、

「委託証拠金倍率25 倍(4%)というのは、信用取引の3.3 倍(30%)と比べると極端に高すぎるという感をぬぐえない。」

という意見。為替の各通貨ペアと株式の制度信用取引の銘柄とで流動性やボラティリティを比較する以前に、制度信用取引においては、日中(立ち合い中)の瞬時の値洗いも制度化されておらず、したがって日中の強制ロスカットも出来ないどころか、追証請求の期限も翌々日の正午などと“悠長”な制度になっていることを理解してのコメントでしょうか。証券業界においては、店頭FXに比べて近代化が著しく遅れている株式インフラを十分反省したうえでパブコメに参加してもらいたいものです。
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2009年8月1日土曜日

汗はかかずも、話がチンプンカンプン

日経CNBCに再登場することは、田舎の両親には伝えていませんでしたが、七転び八起きブログで知っていたのか、二人仲良くテレビの前に座って観ていたそうです。

資産形成とは全く無縁の人生を送ってきた両親。番組の感想は「話がまるでチンプンカンプンだった」「髪型が変わったなぁ」「今回は汗をかいてなかったなぁ」、、、以上です。

反省すべきは、昨日もまた台本を無視して喋ってしまったために、時間配分が滅茶苦茶になり、喋りたかったことの半分くらいしかカバーできなかったこと。とくに「これからのFXはどうなって行くのでしょうか?」という原田恵理子キャスターからの質問に対し、「ミセス・ワタナベ的キャリートレードは終わっている」「高レバ・低スプ頼みの超短期スキャルピングも減るだろう」そしてレバレッジ規制後はいよいよ「資産形成のためのFX」が現れる。手数料ぼったくりの投資信託や外債投資よりは、穏便なレバレッジのFXのほうが金融商品として絶対に優れているという事実が、意図的なスリッページ等の悪徳業者が駆逐された後、徐々に認知されていく筈だ。消え失せるのは資産形成とは無縁の投機の場としてのFXに過ぎず、金融機関に支払うべき正当な取引コストを真面目に捉える投資家にとってのFXは寧ろこれから広まる筈だ、との一言を言い忘れてしまったことです。

近日中に、フェニックス証券のホームページに動画を公開する予定です。
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