2011年8月17日水曜日

経営統合の予感

今朝のウォールストリートジャーナルは、「When Google Meets Moto」と題して、モトローラ役職員へのインタビューに基づいて、グーグルによる同社への株式公開買付発表のフォローアップ、買収する方とされる法の企業文化の違いを解説しています。

When Google Meets Moto

一緒になるのが宿命だった両者が、長年、企業文化や風土の著しい違い(かたやハードウェア会社で官僚的、かややソフトウエア会社で自由奔放、それに知能指数の違いが20!?などなど)ゆえに擦れ違ってきたが、それを乗り切って云々、、、ということで、日本でも90年代初頭に大ヒットした映画「恋人たちの予感」(原題は「When Harry Meets Sally」)の、おそらくHarry(ビリー・クリスタル)=Google、Sally(メグ・ライアン)=Motorora(Mobility)と擬えて、残念ながら余り綺麗に韻は踏んでいませんが、書かれたこじつけ記事(しかしそれなりに面白い)です。

もうひとつ残念なのは、「恋人たちの予感」の配給元は20世紀フォックスですから、WSJと同じく、今最も話題のルパート・マードック帝国の一員なのです。

この記者は出世のツボを押さえていると言えるでしょうか!?
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2011年8月16日火曜日

Google Rush と Gold Rush

今朝のウォールストリートジャーナルフィナンシャルタイムズニューヨークタイムズはグーグルによるモトローラ(・モビリティ・ホールディングス)への株式公開買付発表のニュースで持ち切りです。

買収予定金額125億ドル(金曜日の終値比63%ものプレミアム)は、同社によるユーチューブ買収(当時非公開)や、マイクロソフトによるスカイプ買収(同じ)同様またはそれら以上に驚くべき数字であり事実です。

そんななか、常に味のある報道で定評のあるニューヨークタイムズは、オーストラリアにおけるゴールドラッシュの模様を伝えています。中国に次ぐ第二の金生産国であるオーストラリアでは巨大企業による鉱業生産の傍ら、主としてこれまでは定年後の趣味で片田舎で《砂金》を集めるひとたちが居たらしいのですが、今年だけで23%も急上昇した金価格に釣られて、これまでとはケタ違いの人達、それも若者やシドニーなどで高収入を得ていた人達が定職を捨てて群がっている。《砂金》ツアーも急増しているが、週末だけ趣味程度に来ているのではなく片田舎の村に定住する人達が爆発的に増えているのだそうです。
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2011年8月15日月曜日

日本橋さくら通りの桜の幹が余り太くない理由


フェニックス証券は外堀通りと日本橋さくら通りの角のあたりにあります。

東京駅八重洲北口の中心街とも言える日本橋さくら通りには外堀通りからの入り口付近に石碑があります。これによりますと、

☆通りの桜の木は昭和10年に植えられた。

★ところが、昭和20年3月の大空襲で、町とともに灰燼に帰した。

☆爾来10年有志が復興への意欲で力をあわせた結果、昭和31年に桜並木が復活した。

とのことです。外堀や内堀の土手に植わる桜の大木に比べて、幹が細い桜並木の正体は、ビル陰で日照量に恵まれないことだけではなさそうです。戦後は遠くになりにけりとは必ずしも思えない、66回目の敗戦記念日です。
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2011年8月12日金曜日

空売り規制では金融危機は収束できない

3年前に「裸の空売り」という記事を書きました。

http://phxs.blogspot.com/2008/07/blog-post_16.html

Naked Short Salesとは、空売りをする時点では、現物株の仮株の手当てがまだなされていないものを指します。記事当時のファニーメイやリーマンなど巨大金融機関だけでなく、アジア通貨危機のときのアジア諸国など、直ちに換金が出来ない固定資産を巨額の借入(レバレッジ)で支えている巨大かつ歪なバランスシートというものは、その資産を売り急いだ場合には、バランスシートの価値(ファイヤーセールス・バリュー)が著しく不当に低い評価を受ける、それは可哀そうではないか、という観点から、しばしば規制当局によって正当化されるものです。

昨夜これがフランス当局によってBNPパリバやソシエテジェネラルなど大手上場金融機関の株式について発動されました。これが上記理由に照らして正当かどうかの侃侃諤諤(かんかんがくがく)は敢えて措き、その効能について考えてみましょう。

3年前に書いた記事は、2008年7月のものです。つまり、リーマンショックはその2ヶ月後なのです。ハゲタカファンドや投機筋や規制、金融行政だけのせいには、リーマンショックは出来ないと考えるべきでしょう。

空売り規制は金融危機を収束させるものではなく、むしろより本格的な危機の前兆くらいの場所に位置すると予想します。

後々、「S&Pショック」と命名されるかどうか良く判らない今月の金融市場の混乱は、

①主役である米国債が暴落しているわけではないこと、

②大暴落した株価が反発に転じたきっかけは中央銀行による国債購入など金融緩和政策の拡大の発表でした(米国だけでなくイタリアとスペインについても然り)が、財政規律という本筋の問題を根治する処方箋とは読み取れないこと、

③では国債も株式も通貨も皆駄目だったら商品(先物)が全面高かと言えば、金を除いて大暴落であること

などなど、理屈では説明がつかないことだらけです。

リーマンショック後は、紆余曲折を経て、「ウォールストリートの不始末でメインストリートに迷惑をかけたのだから財政出動は当然」という議論に、軍配が上がりました。

2008年から2011年にかけて、「先進諸国」の政界と経済界は、リーマンショック以前の生活水準を維持するために、金融を財政でカバーしうるとの前提のもとになりふり構わずやってきたわけですが、やはりそれは無い物ねだりだったと判り始めたことが、この8月危機の本質なのではないかと疑っています。

金融危機をボラティリティで測るならば、昨年5月のギリシャショックは、今年3月の震災(というよりも原発事故)直後の危機より遥かに長かったわけですが、今回の仮称「S&Pショック」はそれよりも長引く可能性が十分あると考えられます。
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