2013年2月12日火曜日

アベノミクスの行方~投資家セミナー無事終了

結果報告だけとはまた何事かとのお叱りを承知で書かせていただいております。今回も主催者はわたくしどもではなくて、かれこれ8年ほどお付き合いのある生命保険会社ご出身で最近は独立をされて様々な事業主をされている方です。年齢層さまざまな方々が約30名ほど集まり、1時間ちょっと好き勝手なことをお話させてもらいました。

その後、多くのみなさまと壇上で雑談。これが楽しかったです。国の中枢にいらっしゃる憂国の官僚、超をつけるのは失礼ながらも超ベテランの不動産鑑定士、日中を股にかけてアパレル事業を創業された実業家、などなど、何に投資をしたら良いのかというテーマを発展させて、これから世界はどうなるのか、ということで大いに盛り上がりました。

為替のリアルのセミナーを行うのはちょうど1年ぶり。一年前の今頃は、ユーロ圏の財政危機の解決法がそう簡単には見つからないという話をしました。今回は、ユーロ圏とそれ以外のEUとの間での移民の流れに変化が出てきていること。さらに、アメリカ、アジアを見渡して、人口移動という観点から国力、為替力、とアプローチしてみました。なんだかアベノミクスの評価と無関係に思われるかも知れませんが、マクロ経済学の範疇でのアベノミクスに対する評価はすでに百家争鳴状態。あえて奇妙な切り口を提供させてもらいました。

是非次回も、という話になり、わたくしのほうからは不動産市況から見た為替というテーマを提案したところ、反応は上々。ゲストもお呼びしたいところですが、この点は主催者さまどう思われるでしょうか。

次回こそこちらのブログからお知らせしたいと思います。
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2013年2月1日金曜日

アヴァトレード・ジャパン株式会社(MT4、ミラー、CFD,,,)

読者のみなさま、たいへんご無沙汰しております。年末のごあいさつも、年始のごあいさつも出来ずに、寒中お見舞いどころか、本日を以って2月を迎えてしまいました。節分です。鬼は外、福は内でございます。

非常に唐突ではありますが、本日付で、アヴァトレード・ジャパンというイスラエル系のFX会社の日本法人の社長に就任しました。上司とも言えるイスラエル人たちと何度か会話をして本日に至ったわけですが、そこから感じたこの会社のマネジメントの性格や民族性というのは、、、

★(わたくし自身を上回る)ケチ、
★(もしかしたらわたくし以上かも知れない)ワーカホリック、
★(それと関係しますが)よく食べるのによく頭を使ってよくしゃべるせいか太ってはいない、うるさくて管理志向は強いが論理的で理不尽ではない、、、

というところです。

もちろん本日以降このような第一印象は変化していくでしょうし、ネガティブな面もいっぱいでてくるのでしょう。まだ、シリア問題についても、イラン問題についても話をしていません。年末もメリークリスマスとは言いませんでした。。。

アヴァのイスラエル人たちとの出会い以上に、7年半、やはり雇われ社長という立場で悪戦苦闘してきたフェニックス証券が、金融商品取引業廃業(2013/1/28付)のみならず、解散・精算、役職員全員解雇となった理由のほうが不可思議で複雑で分析と解説に値するテーマだと思われ、ほとぼりが冷めたころに(?)また情報発信を行い、そういうことが健全な資本主義の世の中に貢献するのであれば、ちょっとはよいかなと思っているところです。

ここのところ経験しているユニークな境遇がいろいろな形で伝わった結果、今月、都内某所の超有名大学の大学院(ビジネススクール)で、さすがに本日現在ではこのブログでは書くことが憚られるそのような内容について、とくに(上場)企業のガバナンスがどうあるべきか、講義をさせていただく機会を得ました。

日本の企業が業態を問わず元気になるために、アベノミクスもカンフル剤となりうると期待しますが、より抜本的には、これまで当ブログがしつこく書いてきたガバナンス欠如やモラルハザードの問題に切り込まなくてはならないと考えています。それを、抽象論ではなく、自らの具体的な経験に基づいて、ただし固有名詞は伏せながら、解説、伝道していきたいと考えています。

あらためて、これからもよろしくお願いいたします。

アヴァトレード・ジャパン株式会社
代表取締役社長 丹羽広


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2012年11月15日木曜日

TPPと穀物法とレオンチェフ・パラドックス

いよいよ衆議院選挙。へそ曲がりのわたくしは、その結果そのものよりも、「TPP参加賛成だが脱原発」という政党と、「TPP参加反対だが、脱『脱原発』」という政党と、どちらを支持するのかという意思決定のほうに関心があります。

究極の選択になるかも知れませんが、財界には優秀なブレイン、企画スタッフがいますから、数字で以って、良き参謀役を務められると思います。

尤も、現時点で、最大野党の自民党が「TPP反対だが、脱『脱原発』」政党ですよ、と自らをハッキリさせたわけではないし、ハッキリさせるのかどうかも良くわかりません。民主党も同様でしょうが、開き直った人間の強みとは恐ろしいもので、野田首相は、今なら、自らの政党を定義づけるというリスクを取れてしまうのかも知れません。理想は、第三極なるものも含めて、これらをハッキリさせること。現役議員の政党間リシャッフルというのは、今となってはなかなか“忙しい”でしょうけど、あっても良いと思われるし、あるべきだと思います。

TPP参加に賛成と言っても、直ちに関税が撤廃されるわけではないし、それどころか、いまさら議論にすら参加させてもらえないかも知れません。しかし、今やシェールガス大国としてエネルギーの雄として躍り出たオバマ大統領率いる米国とすれば、脱原発を騒ぐことはもはや減点対象ではなくて、TPP賛成は勿論加点対象で、そっちの政党を支援するでしょう。

何処の誰からカネを貰っているのかよくわからないネトウヨは別として、支持率が1%割れたとしても、ここ数日の野田首相の立ち居振る舞いは、愈以って、松下政経塾の面目躍如というところです。

松下、、、と言えば、今日の日の丸家電の惨憺たる状況。証券業界や商品先物業界と大差ないように見えて、ひとつ大きく違うのは、20世紀後半の英国車メーカーの如く、無くなれば良いと言い捨てられるものではないことだと思います。

家電メーカーの経営者にも様々な判断ミスはあったにせよ、経営に失敗は付き物です。円高、最低賃金、整理解雇要件の厳しさ、これらのうちひとつだけでも自由度があれば、失敗の修正は可能だったと思います。

整理解雇要件の厳しさは、法律上のタテマエとしては労働者の人権を守ってきたと言われていますが、実態はそうではなく、労使ともに不幸にさせる、ルーズルーズの関係(ウィンウィンの真逆)にあるということを、このブログで繰り返し書いて参りました。

そこできょうは残りの2つをセットで。。。円高について日銀だけを犯人にしてもどうにもなりません。最低賃金を政治で弄るのは、何となく、無理でしょう。これらふたつを一挙に“裏道経由”で解決する緒がTPPです。

このような議論は、200年も昔のイギリスで、穀物法闘争として経験済み、実証済みです。経済学者リカードのプロパガンダとちょっと違ったのは、自由貿易は、産業革命のドライバーたる産業資本に味方して工業品の輸出を更に伸ばしただけでなく、イギリスの農業にも黄金時代をもたらしたということです。産業資本家と地主階級という対立するふたつのセクターをウィンウィンの関係にさせたようです。

日本の農業は、後継者不足による就農人口の低下、自給率の低下というプロパガンダで覆い尽くされています。実際のところは、前者は農業の効率化の証でもあり、後者はカロリーベースで計算された誤謬の結果です。

農業でしか喰えない、、、と嘆く工場労働者やサービス業従事者、産業資本化も出てくるでしょう。しかし、農業では喰えない、、、という嘆きは(植民地時代の後遺症で内戦状態だったり、コーヒー豆やゴムの木や綿花しか植わっていない農地を別とすれば)言語矛盾になります。

変化への対応を国民に求められない政党に、強い日本を語る資格はないでしょう。さて、そういう議論がこれから1ヶ月でできるかどうか。

と、偉そうに書いているわたくし自身も、柔軟性と瞬発力を身につけていかなければいけないと、自戒しているところです。

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2012年10月1日月曜日

薄煕来と毛沢東と反日デモ

スペインの国債の利回り以上に心配なのは、中国の景気後退が想定外のハードランディングとならないかどうかだ。多くの真面目な企業経営者や投資家は共通しているのではないかと思います。

薄煕来の公職追放の主たる原因は、不正蓄財とその財産の海外逃避の画策に関わった妻によるイギリス人協力者殺害疑惑です。

この不正蓄財の金額は、我が国で毎年夏と冬にジャンボ宝くじの一等賞を取り続けたとしても、何十年も掛かるという、まさに日本という小宇宙においては天文学的数字なのです。

たぶん99%以上の日本人は、人間が一生にどんなに贅沢な暮らしを続けても食い潰すことができない程度の蓄財にはさすがに関心がないと思います。そのレベルの何十倍、何百倍の蓄財をしたくなる心境というのを無理矢理想像すると、日頃顔を突き合わせている「同僚」とのあいだで、嫉妬と競争を繰り返しながら、モラル劣化を増幅させつつ、不正蓄財の表面上の数字を膨らませてきたということでしょうか。

もしそうだとすると、中国共産党のエリート部分の貯金は大変なレベルであり、中国の国内の貧富の格差は、一般に公開されているジニ係数よりもっとひどい数字ということになります。

共産主義を錦の御旗としつつも、実際には、暴力と陰謀によって中原を支配した過去の王朝となんら変わらなかったのが毛沢東そのひとです。しかし、貧富の格差が問題となり不平不満として実感されるときに、ひとびとが求めるのが、あの大躍進や文化大革命のころのほうが良かったという幻想とそれに基づく集団催眠的な示威活動です。

それをまた確信犯的に利用しようとしたが最後は挫折したのが薄煕来だったのかも知れません。

聖人君子たちによる禅譲の時代が終わったあとの、殷の時代以降の中国の王朝の変遷は、上述のごとく、地球上の他の地域には見られない抜本的で暴力的な政権交代の連鎖です。その歴史の端末に位置するのが中国共産党になります。共産主義の仮面を被った私利私欲の重商主義者集団の蛮行は、さすがにここまでインターネットが発達した社会のまえでは脆いように思えます。

尤も、毛沢東回顧のトレンドと集団催眠の力は大きい。尖閣問題も、そこに対する絶好のアシストになっているとの反論もあるでしょう。

日本の場合は、バブル崩壊を失われた20年の真犯人のように呼ぶのが一般的ですが、わたしはバブルの崩壊は富の再分配に大きな役割を果たしたと思ってもいます。しかし中国で同じことが起こった場合、日本のような「実質的共産主義」的世界が実現するでしょうか?

わたしは全く逆で、格差問題が臨界点を超す恐れがあると考えています。

日本の場合は、バブルとその崩壊は、ほとんどの知的エリートと経済エリートは翻弄されたほうの立場だったのに対して、中国の場合は、エリートたちによる集団的かつ確信犯的な相場操縦であったと見られ、リスク資産の分布は、意外なほど、(超)富裕層には少ない、、、つまりもう逃げ切りが図られている、、、と考えられ、もしそれが本当だとすると、これからの中国は、既に許しがたい貧富の格差がさらに広がり、政治と経済のインフラがぶち壊される前代未聞のリスクがあると思われます。
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