2016年8月26日金曜日

イエレンFRB議長講演 於 ジャクソンホール の傾向と対策【アヴァトレード・ジャパンのサンプルメルマガ】

本日は、アヴァトレード・ジャパンに取引口座をお持ちのお客さまにだけ配信している無料メルマガのサンプルをご紹介します。著者は、新進気鋭の夜型アナリスト大当たり亮さんです。

(サンプルメルマガ)

アヴァトレード・ジャパンでFX口座をお持ちのみなさま、大当たり亮です。

しつこいと思われるかも知れません。今週三度目の登壇となりました。今夜日本時間では11時から予定されている、米カンザスシティー連銀年次シンポジウム(於「ジャクソンホール」)でのジャネット・イエレンFRB議長による講演が予想以上に注目度が高くなっています。

アヴァトレード・ジャパンさんから、注意喚起のメルマガを作ってくれと言われたわけです。月曜日のメルマガにも取り上げたのですが覚えていらっしゃいますか???オリンピックの感想というか無駄話が長すぎて、そんなもの読み飛ばしたですって!?はい、大当たりのせいですね。

それに、月曜日は「ジャクソンホール」のことだけではなくて、
「黒田日銀総裁が23日にFinTechフォーラムで挨拶ということで、そこで金融政策の先行きに対する発言をするかどうかといったところは円の動向に大きな影響を与えそう・・・」だとも並列してお書きしましたが、蓋を開けて見ればまったくの無風。大当たりどころか大はずし狼少年になってしまいました 泣。

そんなこともあって、今週は、ドル円をはじめとして、みなさまのあいだにもファンが多いポンド円ですら、凪の相場となりました。

以前より、大当たりが書いているとおり(?)、ボラが低い状態は相場がマグマというかエネルギーを貯めこんでいる状態です。ジャクソンホールでのイエレン発言の前には動きたくても動けないという市場参加者の気持ちがあらわれていますよね。

識者の意見はいろいろとわかれています。鷹派発言をするのではないか?でもそれは織り込み済みなのではないか?いやたとえ織り込み済みでも利上げが具体化すれば一転円安ドル高ではないか?日欧オセアニアは利下げやマイナス金利がイケイケドンドンのブームですが、利下げが予想通りでも発表後乱高下することが繰り返されています。何が折り込み済なのかまったくわからない相場です。ニュースを見るよりチャートだけを見ていたほうが勝率が高いように思います。

それに、今夜については、イエレン議長のどんな一言がいつ飛び出してどう反応するかまったく予測がつきません。思い込みは禁物ですね。

ところで、今更気が付きました。FRB議長は、ポール・ボルカー氏を最後に、アラン・グリーンスパン氏、ベン・バーナンキ氏、そしてジャネット・イエレン女史と三代続けてユダヤ系なんですね。ボルカー議長は当時のレーガン大統領に解任されたとされているのに対して、グリーンスパン議長以降は「禅譲」だったと言えます。これら三人のユダヤ系エリート経済学者に共通するのは、やはりユダヤ系で幼いころの貧困から這い上がって世界的な経済学者となったミルトン・フリードマンの考え方を重視ないし信奉していることです。ざっくり言えば、金融市場は完全に放置プレイにしちゃうとしばしば混乱を起こすから中央銀行は不要だとは言えないけど、余計なことはしてはいけない、という考え方。どこかの島国のバズーカ発砲しているセントラルバンカーとは真逆なんですね。

円安を待望しているみなさんには旱天の慈雨になるかも知れない今夜のイベント。ポジションにはくれぐれもご留意ください。

最後に、つまらない話。ジャクソンホールというのは街の名前なんです。コンサートホールのホールじゃないですよ。このホールは穴のホール(Hole)です。Hallじゃないんです。登壇するのはジャネット・イエレンさんです。ジャネット・ジャクソンさんじゃありませんから。アヴァトレード・ジャパンの丹羽社長がこのことを知らなかったらしいので、自慢をかねて書き留めておきます。

2016年5月2日月曜日

パナマ文書の徹底追及のまえに円高

日銀金融政策決定会合(4月27日~28日)での追加緩和策見送りを受けて、ドル円は4円程度という急激な円高となりました。翌29日には、米国財務省が、中国だけでなく日本も、自国の通貨を意図的に安く誘導する為替操作への監視する対象とすると発表、ドル円は輪を掛けて円高となりました。木曜日と金曜日の2日間だけで、ドル円は6円前後も円高ということで、これは変化率で較べても、2008年3月のベア・スターンズ危機のときと同程度の衝撃だと言えます。

唐突ながら、熊本の震災のことに触れざるを得ません。地震予知など無意味だという議論が喧しい今日このごろ。ただ、国家予算を投じてでも続けるべきかどうかということについてであれば、もうずいぶん長い間、この方面の国家予算は削られてきているようです。昨夜のNHKサイエンスZEROでは、「南阿蘇村の地すべりが、表層の火山灰だけで起きていたのであれば、阿蘇大橋を吹き飛ばすほどのパワーには至らなかったはず。その下の溶結凝灰岩がクラック(※)や柱状節理(※)に沿って地震で崩れた。地すべりのエネルギーの想定外の大きさは、この表層の下にまで及ぶ根こそぎの崩落にあった」と自らも被災された研究者が説明しておられました。

(※)カルデラ噴火の噴出物が自らの重さと熱で溶解し、その後冷えたために、硬く固まるのだが、その冷え方が急すぎて、割れ目ができる。

阿蘇山のカルデラ噴火は、それによって九州全土がたかだか1週間で出来上がったほどの大量の噴出物を遠方にまでうず高く吹き飛ばすものです。阿蘇=九州を例外あつかいしてはならないことがたいせつで、箱根や穂高も過去に同じような形態の噴火の実績があること、またそのような記録も痕跡もない火山のために、関東甲信越だけでも、クラックや柱状節理に特徴づけられる溶結凝灰岩が多様な地形を作っています。

断層や地質のことを知れば知るほど、巨大地震や火砕流被害などから、日本列島は逃れようがないという思いに至ります。阿蘇山や南海トラフや日本海溝だけが震源ではないからです。

しかし、あきらめないための知識だけでなく、あきらめるための知識を与えてくれるのもまた科学だと言えます。

為替や株価を予想できるわけでもない経済学には、地震予知以上に、国家予算が削減されても致し方無いところでしょう。それでも、最近ではアベノミクス、もう少しさかのぼると、ソ連型社会主義経済や中国型社会主義経済など、壮大な実験が、好むと好まざるとにかかわらず、行われてきたわけで、その結果を冷静に分析することは、わたくしたちに有益な知識を与えてくれるはずです。

ときに、世の中はゴールデンウィークなので、天気予報と道路交通情報が気になるという方が多いことでしょう。このふたつが異なるのは、渋滞のピークの予想は、自分一人が予想を信じてピークを外そうと思っても、似た行動をする人が多いと、外した時間帯がまたピークになっていたということが起こりやすいが、天気予報ではそのようなことは起きない(多くのひとが晴れの日に行動を集中させたからと言って、それが低気圧や前線を呼びこむことは無い・・・人だかりが上昇気流をもたらすとは大袈裟すぎます)。経済分析がややこしい一面として、理論や予想に対して、この人間たちのひとりひとりの、ときに独立した、ときに独立したつもりが独立していない、意思決定がもたらす正や負のフィードバックの存在が大きいことではないでしょうか???

経済学については、財市場と金融市場が混同されやすい(混同されてもしかたがない)事情があります。金融市場、すなわち、通貨(貨幣)の需要と供給を論ずるときに、通貨(貨幣)以外に一般的な経済財(例えば、イワシやキャベツのように豊漁(豊作)なら価格が下落、不漁(凶作)なら価格が上昇するもの)にたとえてよいのかどうか???この簡単そうで難しい問題の答えは、管理通貨(≒不換紙幣?)と兌換紙幣(≒金属通貨?)で違ってくるかどうか???不換紙幣≒管理通貨>兌換紙幣>金属通貨と、あいまいな線の引き方をしたのは、ひとくちに管理通貨と言っても、現在のG7ほか多くの国が採用しているように最初から金などの貴金属との兌換を保証していない通貨もあれば、表向き貴金属との兌換を保証しているが実際にはそのような貴金属を通貨発行高の一部しか支払準備として保管していない通貨もある。また、兌換紙幣>金属通貨という不等号を使いましたが、貨幣改鋳などによる通貨発行益が狙われる場合も考慮しなければなりません。ですから、古今東西で、通貨の管理通貨らしさと商品通貨らしさのブレンドはまちまちであるということになります。

金融緩和を、量的に、しかも異次元に行えば、イワシが豊漁となるのと同じように、値段は下がるだろうと多くの人が予想し、またなかにはその予想はまちがっているけど、間違うひとが多い場合にはいっしょに間違わないと大怪我をするということで、円の通貨価値が下落した。これがアベノミクスによる円安です。

どうやら多くのひとが間違えに気づいたという説明はマイナス金利でも円高?欧州の銀行不安と世界経済の減速だけで説明できるのか??(2016年2月10日)に譲ります。日銀がどんなに必至に民間銀行保有の日本国債を吸い上げても、市中銀行に対して個人や企業が保有している預金の残高(≒マネーサプライ)は殆ど増えないということです。

ここではより深刻な別の側面を。よしんば市中銀行(民間銀行)の預金を増やせたとしても、物価上昇(通貨価値下落)をもたらすことが出来ない。

これについては異論があると思います。恒等式と考えられている、
PQ=MV
(ここでPは物価、Qは取引高、Mは貨幣量、Vは貨幣流通速度)

Vを事後的に、つまり外生変数であるP、Q、Mによって決まる内生変数であるとしてしまえば確かに恒等式ですが、それでは何の意味も持ちません。Vが安定的かそうでないかが、長くケインジアンとマネタリストの争点であったわけです。

争点により焦点を当てるならば、中長期的には、ケインジアンもマネタリストに賛成で、Mを無理矢理増やしても、中長期的には同程度の物価上昇を招くだけで、政策目的であるQ(その代理変数である国民所得など)の上昇を達成することは出来ないとされています。

さて、Mを貨幣量、すなわち貨幣供給と貨幣需要(流動性選好)の合致するところで決まる数量としているわけです(用語の混乱についても、マイナス金利でも円高?欧州の銀行不安と世界経済の減速だけで説明できるのか??をご参照ください)が、貨幣に対する需要(流動性選好)ってそもそもいったい何でしょうか?

日常と非日常とを問わず「おカネが欲しい!」「無担保でおカネを貸して欲しい!」というときのおカネは、たぶん99%は、所得や富や(経済)財が欲しくてそのために費消するためのおカネが欲しいのであって、最終目的物であるお米とか電化製品とかを最初から無料でもらいたいというのと同じ意味です。残り1%は、週末の冠婚葬祭のための祝儀不祝儀だったり、外国為替証拠金取引の証拠金入金だったりかも知れません。

貨幣に対する需要を流動性選好と呼ぶとき、「お金が欲しい」と発話する意味合いから「物欲」を取り除くことで、支払手段としての貨幣の性格がはじめて浮かび上がります。

ありとあらゆる経済財のなかから、貨幣というものを特別扱いするのであれば、①売買契約における買主にとって、②金銭消費貸借契約における借主にとって、③雇用契約における雇主にとって、物々交換や代物弁済や差金決済(≒企業間信用)では埒が明かなくて、どうしても強制通用力があったり一般社会が交換手段として認めている貨幣が必要で、そのためには当面不要の手持ちの財産を処分(売却または質入れなど)をしても構わない、と考えるのが流動性選好です。

わたくしは、上記①>②>③で状況の差こそあれ、インターネットが普及するなどの高度情報化社会においては、世の中全体が一個ないしは数個のポータルを通じて売りたいもの買いたいもののスペックと価格という情報がインデックス化されている巨大なフリーマーケットになっているので、そうでなかった時代ほど、商取引の媒(なかだち)として貨幣が果たさなければならない役割は激減していると見ます。つまり、物々交換の時代に逆戻りしても、欲しいものと要らないものの交換費用がたいして嵩まないということです。

まだ話は終わっていませんが、賢明な読者のみなさんは、日本やEUのような社会では、マイナス金利を極(きわ)みとした金融緩和が空転している理由がおわかりいただけるのではないでしょうか?

PQ=MV
(Pは物価、Qは取引高、Mは貨幣量、Vは貨幣流通速度)

に戻ると、日本やEUで起きていることは、Mを引き上げても、PもQもあがらないというケインジアンVSマネタリストの論点とは違う次元のことです。

Mが引き上げられたぶん、Vが反比例的に減少するということでしょうか???

そんなことはあってはならないでしょう。Vの安定は強すぎる仮説だとしても、Vが有意に減少するならば、単位時間あたりの預金口座の入出金頻度が減少する⇒現預金の占有者の交代頻度が減少する⇒入出金の時間差の対策のためのバッファー、、、これこそが取引需要としての流動性選好ですが、これが減少するので、Mは減少(銀行貸出を返済)するはずだからです。

答えは、この恒等式が間違っている(右辺と左辺が等しくない)わけではないが、PQが名目取引量を表してはいない(物々交換、代物弁済、差金決済、現物支給においてはQに乗ぜられるPはゼロだが、これはあたりまえのこととして、物価がゼロに下落したわけではない)ということです。

・・・・・・これも、あきらめるための知識です。大きくて非効率な政府を目指す財政政策は論外として、金融緩和も国民の生活など助けてはくれない。何もかわらない。という性質の社会に生きていることを知れば、自らの技術を高めて仕事を愛する、願わくば仕事と相思相愛になる、そういう堅実な努力以外に生きる道はない。カネの生る木はないという覚悟です。


2016年4月12日火曜日

ドナルド・トランプ氏と核抑止力とパナマ文章

わたくしは東京都知事選挙のたびにドクター中松さんに清き一票を投じていますが、毎度死票になっています。

我が国の地方公共団体の首長選挙で波乱が起きないわけではないけれど、今回の米大統領選挙のように、民主党ではバーニー・サンダース氏が、共和党ではドナルド・トランプ氏が現実的な候補として浮上し、想定外に善戦しているというところが、米国二大政党のあり方や大統領選挙の仕組みの面白さ奥深さであるとして、例「年」になく、日本の低俗メディアですらも繰り返し報道する背景です。

良くも悪しくも、日本の低俗メディアが繰り返し報道することによって、ドナルド・トランプ氏の存在は、我が国一般大衆のなかにも深く刻み込まれることになりました。

わたくしのブログの愛読者のみなさまは、わたくし同様、変わり者だと考えられますので、安心していますが、そうでないみなさまは、おそらくは日本の低俗メディアが繰り返す報道によって、「(まさか)ドナルド・トランプ氏が大統領になったら、日米関係はどうなってしまうのか?日本の安全保障はどうなってしまうのか?」と素直に不安がっておられるかも知れません。

まず、米国大統領が、良くも悪しくも、ロシアの(プーチン)首相とか中国の(習近平)国家主席のような絶対権力者ではないこと。おそらくは、わけありで、我が国では、政治とカネの問題(米国におけるロビイスト活動)や責任内閣制と大統領制の比較などを教育するにもかかわらず、本筋を迂回しています。いっそのこと、パナマ文書から勉強したほうが良いのではないかと・・・・・・・

なので、何割かの確率で、ドナルド・トランプ氏が米国大統領になれたとしても、キャタピラー社の重機でメキシコ国境に壁を作ったり、在日米軍を撤去させたりできるとは必ずしも言えないのです。

ところで、わたくしは、自由貿易論者であるだけでなく、移民賛成派です(「移民受け入れ賛成」という言い方はしません。「受け入れ」という表現が上から目線で失礼至極です。有能な(※)外国人には頭を下げてでも来てもらいたいものですが、頭を下げただけで来てもらえるはずがありません。有能な(※)投資家や労働者がじゅうぶん活躍できる=じゅうぶんな自由や機会がある、、、と思ってもらえる必要があります)。

保護貿易や人工中絶反対や銃規制強化反対などの政策には反対です。

しかし、「在日米軍を撤退させ、日本には核武装を許すべき」という発言は、快哉。米国の有権者に向かって発せられた言葉である点、さらに意味が大きいです。

少なくとも、我が国においては、右翼の方も、左翼の方も、こういうことを言いません。もっとも、右(左)翼の定義も右(左)翼の方々毎に違っているかもしれない。。。。。。ドイツのヒトラー政権もリビアのカダフィ政権もロシアのスターリン政権も中国や北朝鮮の歴代政権もみな自称社会主義です。

わたくしは、インターネット規制をかいくぐってパナマ文章を垣間見たロシア人達や中国人達が、共産党をぶっつぶしてほんとうの社会主義革命を起こすための非合法国民戦線を立ち上げることを期待します。

そういう活動を物心両面で支援するぞーと、心の底から言えるひとこそドナルド・トランプ氏なのではないかと。たとえ、人気取り(ポピュリズム)のためだといぶかる人がいたとしても、この時期、その何百倍もの人たちはあらためてドナルド・トランプ氏を評価することでしょう。

パナマ文章というパンドラの箱を空けたのは米国共和党筋の策略であるという情報があり、説得力があります。

何が言いたかったのかと言えば、我が国は大東亜戦争敗戦と同時に作られた冷戦構造(日本においては逆コース)のなかで、真の右翼、真の左翼、というものが姿を消した。。。。。が、そもそも真の・・・などという定義は無意味であると留保せざるを得ないというのが上記斜線です。

で、本来、真の右翼、真の左翼であれば、同じうして、ドナルド・トランプ氏という軍事同盟の相手方大統領候補に言われるまえに、「在日米軍を撤退させ、日本には核武装を許すべき」というドクトリンを発すべきだったところです。

そんな発言をして多少なりとも結社できたとしても、偽の右翼からも偽の左翼からも叩きのめされ、ドクター中松さんほどの支持も得られないのは百も承知です(ドクター中松氏が、この点で、わたくしに共感されるかどうかはまったく調べておりませんので、あしからずご了承ください)。

ところで、核については注釈が必要でしょう。平和利用であれ軍事利用(の予備として)であれ、核を押し付けられることがあってはなりません。

わたくしは福島第一原発のような粗悪品が米国から押し付けられたものであり、我が国側で協力したのが讀賣新聞その他原子力村のなかまたちだったということなのか???そんな陰謀説は出鱈目で、第四次中東戦争以降のエネルギー政策を我が国のリーダー達が真剣に考えたうえで、天然資源輸入に依存しない経済体質を急いで作り上げるためには目先のコストが安い原発を増やさざるをえないと苦渋の判断をした結果だったのか???判断するにじゅうぶんな情報を持っていません。

いっぽう、軍事目的ということでは、核か地上戦かという究極の選択をせまられている現代国際社会では自ずと結論が出ています。地政学上の緊張という点では、中東と極東では大差がないにもかかわらず、なぜ北朝鮮はシリアやイラクみたいになっていないか、よーく考える必要があります。

もっとも、フランスのように、核を保有していても、自爆テロには無力である点は留保しておかなければなりません。

義務と権利がさかさになった集団的自衛「権」を押し付けられるまえに、不平等条約の最たるものである核拡散防止条約のタブーが取り払われるまえに、憲法改正(憲法第九条)問題を論ずるのは亡国そのものでした。ドナルド・トランプ氏の核抑止論を大いに参考にして、議論を振り出しに戻すべきなのです。

「パナマ文書と円高」について、稿をあらためます。そのうえでいま、アベノミクスが葉桜状態だと揶揄されようと、この3年間のアベノミクスは経済学上も大きな意味があったことを書くつもりです。前パラグラフで亡国と書きましたが、安倍内閣は何も、好きで嫌われて、安全保障問題に取り組んだとは思えません。先述のカダフィ政権みたいな長期である必要はないですが、安定政権の扇の要だと思ってもらえる状況下で、安倍晋三=ドナルド・トランプ会談が実現したら、歴史が変わるかも知れないと、まじめに楽しみにしています。

2016年4月6日水曜日

ロシアも日本も自国通貨建て国債に依存している限り国家破綻はありえない

アベノミクスが剥がれ落ちてきそうなきょうこのごろ。タイトルを含む3つの予想についてきょうから検討していきます。3つとも、財政学や金融論で異論駁論の絶えない言説です。

Ⅰ.主権政府は、国内通貨の国債等に依存しているかぎり、倒産しない。

直感的には正しい。が、正しいにしても、

法定通貨=不換紙幣であることに加えて、固定相場制に組み込まれていない(少なくとも好きなときに離脱できる)ことが必要だと思います(例:ギリシャ2015においては、通貨ユーロをギリシャにとって自国通貨だが固定相場制から離脱できない不換紙幣だった)。

以下、直感を検証していきます。

倒産、破綻の定義について。

①債務不履行(弁済能力がない場合)
②債務不履行(弁済能力はあるが弁済意思がない場合(※))
③金融支援(私的整理)
④(債務不履行は起こしていないが)利払を含めた累積債務額が発散することにより実質破綻

を区別することは議論の精緻化のためには必要。この点、ロシア1998については、①または②に該当したのは何と自国通貨建て債務であった(※直感を信ずれば、①はありえないことになるので、②だったか???)キリエンコ首相(代行当時)に真意を聞く必要あり。

これらを踏まえても、財政ファイナンス(中央銀行による自国国債の買い切りオペ)が可能であれば、理論上、①は発生しないと考えられますが、②、③、④が発生しうるという点では外国通貨建て債務と同じ。

さて、財政赤字で『破綻』の恐れがある場合とない場合とをどこで線引するかでいくつかの伝統的な考え方があります。
(1)建設国債はOKだが特例国債はNG、
(2)市中消化はOKだが中央銀行消化はNG
(本論にあるように中央銀行消化(の選択肢を残しておくこと)こそが重要だという考え方も)
(3)徴税権(や「預金凍結」権や「外貨預金外貨送金制限」権)の及ぶ国内消化はOKだが外国債は(自国通貨建てでも)NG
(4)外国債でも自国通貨建てならOKだが外国通貨建てはNG
(5)発行代金の資金使途を問わず、国債の引き受け手を問わず、自国通貨建てかどうかを問わず、現役世代と将来世代の間の所得移転のパラメータが十分大きければ(コーナーソリューションが起きていなければ)OK=中立命題、



等です。このような百家争鳴の議論において、『破綻』が何を意味するのか?国際私法上の債務不履行の定義(definition)①∨②が問題となっているのか、格付機関ごときの同定義①∨②∨③それに限定(define)せず累積債務の発散をも含めているのか?取り決めが必要でしょう。

ここでは、財政赤字が発散しても、議論は収束させたいので 笑、
「①さえ回避できれば良い。そのためにも、発行代金の使途、引き受け手、は問題とならず、中央銀行による(無制限の)引受という選択肢と、自国通貨建て(に限る)発行ということが条件だ」という命題を検討することとします。

・・・確かにこれは十分条件のように思われます。ただし②③④を回避する必要条件ではありません。さらに、1998ロシアは①ではなくて②だったと言い切れるかどうか問題は残ります。

・・・では必要条件でしょうか?直感的にはそうなのですが、②③④の状態だが①の状態ではない国の通貨価値は限りなくゼロに近いかも知れないが正の値であってゼロではないのであれば、外国通貨建て債務を自国建て債務に借り換えさせるに十分な大きい(が無限大ではない)額の中央銀行引受が可能だということになります。つまり、財政ファイナンスが好きなだけできるという前提であれば、累積ソヴリン債務が自国通貨建てかどうかは五十歩百歩(五十歩一億歩かも知れないとしても)ということです。